第8章『決着!シュレーの丘』 4
「レイトラスト!」
シノンのチャクラムが、フォルクス目がけて投げつけられる。
「なんのっ!こちらもレイトラストです!」
対するフォルクスもチャクラムを投げつける。
二つのチャクラムは空中でぶつかり合い、地面に落ちた。
両者は落下したチャクラムのもとへ、ほぼ同時に走る。
そして、先にチャクラムのもとへたどり着いたのは…シノンであった。
シノンは二つのチャクラムを手にすると、
「ブランディス!」
「があっ!?」
その場で回転し、フォルクスを二つのチャクラムで殴りつけた。
ブランディスはそこまで強力な技ではないのだが、フォルクスはわざと大きく後ろに吹っ飛ばされた。
次の攻撃への布石の為に。
「グレイブ!」
「きゃああああ!」
後退したフォルクスは詠唱を始め、そして譜術を発動させた。
シノンの足元に岩の槍が現れ、彼女を貫く。
譜術で地面に倒れたシノンに対し、フォルクスは追撃すべく再び詠唱を開始するが、
「っ!させない!雷電!」
すぐさま起き上がったシノンが、雷をまとったナイフを投げつける。
「ぐっ!身体が、痺れ…」
雷電をまともに食らったフォルクスは、身体が痺れて一時的に動けなくなる。
「まだだよ!土乱!」
続けてシノンは地属性の付与されたナイフを投げつけ、フォルクスに命中させた。
「おのれ、ガキが…!」
「負けない…!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やれやれ、前々から弱い奴だと思っていたが、あんな子供に手こずるほどとはな」
一方、戦いから少し離れた場所では、とある一人の女性が戦いの様子を観察していた。
彼女の名はグレイシア・ローグ。
神託の盾騎士団第六師団師団長にして、六神将の一人だ。
彼女は、アテネ&アレン戦の時からこの場にいて、戦いの様子を眺めていた。
(先の二人組との戦いと、今のこの戦いで、セネリオ達一行のデータはおおかた集まった。分かっていないのは…ファブレ家の長男だけか)
レイノスの戦闘データも得たいところだが、そちらは別行動中のルージェニアに任せてある。
今は、この戦いの行く末を見守るとしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
グレイシアは、改めてフォルクスとシノンの戦いを観察する。
(あの少女のナイフ捌き…まだまだ未熟だが、なかなか素質はあるな。おそらく鍛えればまだまだ伸びるだろう)
特に、最初のグレイブ以外は完全にフォルクスの詠唱を封じている的確さはなかなかだ。
とはいえ、シノンとフォルクスの戦いは、どちらも決め手に欠ける。
おそらく、まだまだ長引くだろう。
グレイシアは、周りで魔物退治をしているメンバーにも目を向ける。
「幻影刃!…イービル・スピア!」
(さすがはセネリオだな…封印術をかけられてなお、あれだけの実力を発揮するとは)
「ピコハン!それっ!」
(ファブレの令嬢…やはりこの中では一番未熟だな。まあ貴族のお嬢様の初陣としては、頑張っている方だが)
「崩襲撃!…獅吼滅龍閃!」
(一撃の火力は脅威だが、この六人の中ではファブレの令嬢の次に戦い慣れしてないようだな。今はそれほどでもないが、前の双子との戦いではあからさまに動きに迷いがあった)
「ツインバレット!…続けていくぜ!ストロングバレット!」
(この男は…)
グレイシアは、アテネ&アレン戦の最初から観察のためにここにいたため、このミステリアス・ソルジャーの戦いを最も長く見ている。
かなりの実力者…現時点ではセネリオすら上回るかもしれない。
だがグレイシアには、それ以上に気にかかることがあった。
(こいつの戦い…騎士団仕込みか?調べによれば、導師の付き人で、それ以前の経歴は不明らしいが…)
どうも、この男にはなにかありそうだ。
そして、気になるのはもう一人。
「掌底破!…散華猛襲脚!」
(スピードと打撃力の高さは相当で、こいつもかなりの実力者だが…しかし、この顔、どこかで見たような…)
ミステリアス・ソルジャー。
クノン。
この二人には、何か秘密がありそうだ。
クラノスに報告し、調査してみる必要がある。
シノンのチャクラムが、フォルクス目がけて投げつけられる。
「なんのっ!こちらもレイトラストです!」
対するフォルクスもチャクラムを投げつける。
二つのチャクラムは空中でぶつかり合い、地面に落ちた。
両者は落下したチャクラムのもとへ、ほぼ同時に走る。
そして、先にチャクラムのもとへたどり着いたのは…シノンであった。
シノンは二つのチャクラムを手にすると、
「ブランディス!」
「があっ!?」
その場で回転し、フォルクスを二つのチャクラムで殴りつけた。
ブランディスはそこまで強力な技ではないのだが、フォルクスはわざと大きく後ろに吹っ飛ばされた。
次の攻撃への布石の為に。
「グレイブ!」
「きゃああああ!」
後退したフォルクスは詠唱を始め、そして譜術を発動させた。
シノンの足元に岩の槍が現れ、彼女を貫く。
譜術で地面に倒れたシノンに対し、フォルクスは追撃すべく再び詠唱を開始するが、
「っ!させない!雷電!」
すぐさま起き上がったシノンが、雷をまとったナイフを投げつける。
「ぐっ!身体が、痺れ…」
雷電をまともに食らったフォルクスは、身体が痺れて一時的に動けなくなる。
「まだだよ!土乱!」
続けてシノンは地属性の付与されたナイフを投げつけ、フォルクスに命中させた。
「おのれ、ガキが…!」
「負けない…!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やれやれ、前々から弱い奴だと思っていたが、あんな子供に手こずるほどとはな」
一方、戦いから少し離れた場所では、とある一人の女性が戦いの様子を観察していた。
彼女の名はグレイシア・ローグ。
神託の盾騎士団第六師団師団長にして、六神将の一人だ。
彼女は、アテネ&アレン戦の時からこの場にいて、戦いの様子を眺めていた。
(先の二人組との戦いと、今のこの戦いで、セネリオ達一行のデータはおおかた集まった。分かっていないのは…ファブレ家の長男だけか)
レイノスの戦闘データも得たいところだが、そちらは別行動中のルージェニアに任せてある。
今は、この戦いの行く末を見守るとしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
グレイシアは、改めてフォルクスとシノンの戦いを観察する。
(あの少女のナイフ捌き…まだまだ未熟だが、なかなか素質はあるな。おそらく鍛えればまだまだ伸びるだろう)
特に、最初のグレイブ以外は完全にフォルクスの詠唱を封じている的確さはなかなかだ。
とはいえ、シノンとフォルクスの戦いは、どちらも決め手に欠ける。
おそらく、まだまだ長引くだろう。
グレイシアは、周りで魔物退治をしているメンバーにも目を向ける。
「幻影刃!…イービル・スピア!」
(さすがはセネリオだな…封印術をかけられてなお、あれだけの実力を発揮するとは)
「ピコハン!それっ!」
(ファブレの令嬢…やはりこの中では一番未熟だな。まあ貴族のお嬢様の初陣としては、頑張っている方だが)
「崩襲撃!…獅吼滅龍閃!」
(一撃の火力は脅威だが、この六人の中ではファブレの令嬢の次に戦い慣れしてないようだな。今はそれほどでもないが、前の双子との戦いではあからさまに動きに迷いがあった)
「ツインバレット!…続けていくぜ!ストロングバレット!」
(この男は…)
グレイシアは、アテネ&アレン戦の最初から観察のためにここにいたため、このミステリアス・ソルジャーの戦いを最も長く見ている。
かなりの実力者…現時点ではセネリオすら上回るかもしれない。
だがグレイシアには、それ以上に気にかかることがあった。
(こいつの戦い…騎士団仕込みか?調べによれば、導師の付き人で、それ以前の経歴は不明らしいが…)
どうも、この男にはなにかありそうだ。
そして、気になるのはもう一人。
「掌底破!…散華猛襲脚!」
(スピードと打撃力の高さは相当で、こいつもかなりの実力者だが…しかし、この顔、どこかで見たような…)
ミステリアス・ソルジャー。
クノン。
この二人には、何か秘密がありそうだ。
クラノスに報告し、調査してみる必要がある。