第8章『決着!シュレーの丘』 6
走る。
走る。
レイノス・フォン・ファブレはひたすら走っていた。
幼馴染のリンディス・ガラン・ガルディオスをさらった、賊の頭ゼウスを追って。
「リン…!」
幼馴染の顔を思い出して、レイノスの胸が痛む。
『私も一緒に行くわ、レイノス一人じゃ心配だもん』
そういって、危険な自分の旅に同行してくれた。
『今は我慢なんかしなくていいよ。顔…隠してあげるから』
焦りと不安を抱える自分の心情を察して、慰めてくれた。
『…分かったわ。セリア達の方には私が行くから、レイノス、あなたはスクルドを追いなさい』
そして、進むべき道を決断しきれない自分の背中を押してくれた。
「はは、俺、リンに助けられてばっかだな」
長年の付き合い故か、リンはいつも俺の心情を察し、フォローしてきた。
これじゃあ、男として恰好がつかない。
「今度は…俺がお前を助ける番だ。待ってろよ、リン!」
「はあ、はあ、はあ…」
息を切らしつつも、レイノスは口に笑みを浮かべる。
良かった。追いついた。
「ああ、誰だてめえ…」
リンを抱えた大男は、後ろを振り向きレイノスの姿をじろりと見る。
男の肩には、ロープで両腕を縛られ、口にガムテープを貼られたリンの姿があった。
「俺はレイノス・フォン・ファブレ。てめえがさらったスクルドの兄貴で…今背負ってるそいつ…リンの仲間だ」
「…ほう。貴族サマのお坊ちゃんが、よくここまで来たもんだ。褒めてやるぜ」
「てめえに褒められたって嬉しくねえよ、小山の大将!」
「誰が小山の大将だあ!?俺にはゼウスって名前があんだよ!」
レイノスとゼウスは、そこでお互いを睨みあい、威嚇する。
やがて口を開いたのは、レイノスの方だった。
「あんたらの部下の強い奴ら3人は全員倒した。お前等の一団が壊滅するのも時間の問題だ。そいつを…リンを置いて降参しろ」
レイノスは、ゼウスに対して降伏の勧告をする。
するとゼウスは…
「降参だと…?は、はは、ぎゃははははははははははははははは!!」
突然、大声で笑いだした。
それも、とてつもなく下品な笑い方だ。
「調子に乗るなよ、小僧。誰がてめえの指図なんか受けるかよ!」
ゼウスは、リンをその辺に投げ捨てると大きな斧を構えた。
「てめえ、リンを乱暴に扱うんじゃねえ!」
「黙れガキが!止めたきゃ力づくで来いよ!貴族のお坊ちゃまごとき、この俺の剛腕で吹き飛ばしてやるよ!」
ゼウスが大斧を振り上げ、レイノスに向けて叩きつける。
レイノスはどうにか剣で攻撃を受け止めるが、思いっきり後ろに後退させられてしまう。
「く…なんてパワーだ」
あまりのパワーに、腕が少し痺れている。
まともに食らえば、致命的と言えるだろう。
「それでも…負けねえ!リンは、俺の手で取り戻すんだ!行くぜ小山の大将!」
「やれるものならやってみやがれ!返り討ちにしてやるぜぇ!」
レイノスの剣と、ゼウスの斧が激突する。
戦いの、開幕だ。
走る。
レイノス・フォン・ファブレはひたすら走っていた。
幼馴染のリンディス・ガラン・ガルディオスをさらった、賊の頭ゼウスを追って。
「リン…!」
幼馴染の顔を思い出して、レイノスの胸が痛む。
『私も一緒に行くわ、レイノス一人じゃ心配だもん』
そういって、危険な自分の旅に同行してくれた。
『今は我慢なんかしなくていいよ。顔…隠してあげるから』
焦りと不安を抱える自分の心情を察して、慰めてくれた。
『…分かったわ。セリア達の方には私が行くから、レイノス、あなたはスクルドを追いなさい』
そして、進むべき道を決断しきれない自分の背中を押してくれた。
「はは、俺、リンに助けられてばっかだな」
長年の付き合い故か、リンはいつも俺の心情を察し、フォローしてきた。
これじゃあ、男として恰好がつかない。
「今度は…俺がお前を助ける番だ。待ってろよ、リン!」
「はあ、はあ、はあ…」
息を切らしつつも、レイノスは口に笑みを浮かべる。
良かった。追いついた。
「ああ、誰だてめえ…」
リンを抱えた大男は、後ろを振り向きレイノスの姿をじろりと見る。
男の肩には、ロープで両腕を縛られ、口にガムテープを貼られたリンの姿があった。
「俺はレイノス・フォン・ファブレ。てめえがさらったスクルドの兄貴で…今背負ってるそいつ…リンの仲間だ」
「…ほう。貴族サマのお坊ちゃんが、よくここまで来たもんだ。褒めてやるぜ」
「てめえに褒められたって嬉しくねえよ、小山の大将!」
「誰が小山の大将だあ!?俺にはゼウスって名前があんだよ!」
レイノスとゼウスは、そこでお互いを睨みあい、威嚇する。
やがて口を開いたのは、レイノスの方だった。
「あんたらの部下の強い奴ら3人は全員倒した。お前等の一団が壊滅するのも時間の問題だ。そいつを…リンを置いて降参しろ」
レイノスは、ゼウスに対して降伏の勧告をする。
するとゼウスは…
「降参だと…?は、はは、ぎゃははははははははははははははは!!」
突然、大声で笑いだした。
それも、とてつもなく下品な笑い方だ。
「調子に乗るなよ、小僧。誰がてめえの指図なんか受けるかよ!」
ゼウスは、リンをその辺に投げ捨てると大きな斧を構えた。
「てめえ、リンを乱暴に扱うんじゃねえ!」
「黙れガキが!止めたきゃ力づくで来いよ!貴族のお坊ちゃまごとき、この俺の剛腕で吹き飛ばしてやるよ!」
ゼウスが大斧を振り上げ、レイノスに向けて叩きつける。
レイノスはどうにか剣で攻撃を受け止めるが、思いっきり後ろに後退させられてしまう。
「く…なんてパワーだ」
あまりのパワーに、腕が少し痺れている。
まともに食らえば、致命的と言えるだろう。
「それでも…負けねえ!リンは、俺の手で取り戻すんだ!行くぜ小山の大将!」
「やれるものならやってみやがれ!返り討ちにしてやるぜぇ!」
レイノスの剣と、ゼウスの斧が激突する。
戦いの、開幕だ。
■作者メッセージ
というわけで、賊頭ゼウスとの決戦開始です!