第2章『シェリダンの兎』 5
「「「魔神剣(拳)!!!」」」
男性陣3人の掛け声と共に、地面を這う3つの衝撃破がブレイドレックスを襲う。
しかし、ブレイドレックスはひるむ様子すらない。
そんな敵に臆することもなく、セネリオとクノンの二人が素早い速さで敵に向かって走り、一気に間合いを詰める。
「臥竜閃!」
「掌底破!」
セネリオとクノン、二人の技がブレイドレックスにヒットする。
「双牙斬!」
二人に遅れてやってきたレイノスもまた技を決める。
しかし……
「グオオオオオオオオ!!」
雄叫びと共に、ブレイドレックスが尻尾を振り回した!
「うわっ!」
「ちっ!」
「ニャニャ!?」
尻尾による攻撃を受けた前衛3人は吹き飛ばされるものの、なんとか受け身を取って再び武器を構える。
そして、セネリオはちらりと後ろを見ると、後衛に指示を出す。
「リン、こいつの弱点は火だ。火属性の譜術で援護を頼む」
「…ごめん。まだ火属性の術覚えてないの」
「ち……」
リンの話を聞いて舌打ちするセネリオ。
まだ旅を始めて間もなく、お互いの戦力を十分に把握し切れていなかった。
(それにしてもあの敵の身体に刺さっていた剣があったが…あれはもしや)
魔神剣を放った直後に間合いを詰めた際、一瞬だが見えた剣。
その剣に、セネリオは見覚えがあった。
(…まあいい。倒して確かめてみれば分かることだ)
セネリオは気を取り直して、改めてリンに指示を出す。
「…しかたがないか。ともかく譜術で動きを止めてく…」
「ファイアボール!」
セネリオがリンに指示を出そうとしたその時。
リンとは違う声で、火属性の術が放たれた。
一同は術が放たれた方向を見る。
「それ、もう一発!ファイアボール!!」
術者の正体は、レイノスであった。
レイノスの譜術はよく効いているらしく、ブレイドレックスはわずかに怯んだ様子だ。
「それっ!いただき!!」
――FOF変化――
「イラプション!!」
レイノスの2発のファイアボールにより生じたFOF。
それを目ざとく見つけたリンは、ロックブレイクを変化させて火属性の譜術、イラプションを放った。
それによりブレイドレックスはさらに大きなダメージを負う。
「ひゅ〜、お坊ちゃまとお嬢様、やるじゃン♪」
「…よし、レイノス。お前は今回はリンと共に譜術での援護を頼む。壁役は俺たちに任せろ」
セネリオの指示にレイノスは頷く。
彼としては前線で戦っていたいところだろうが、強敵が相手で有効な技が自分の譜術となれば仕方がない。
「後ろはオレとリンに任せとけ!頼んだぜ!セネリオ、クノン!」
それから戦闘はレイノス達のペースで進んでいった。
レイノスはひたすらファイアボールを撃ちまくり、リンも火属性ではないものの譜術で応戦する。
――FOF変化――
「臥竜斬月!」
「飛炎連脚!」
レイノスが発生させた火属性のFOFにより、セネリオやクノンもFOF技でブレイドレックスを追い詰めていく。
そして………
「これでとどめだ!」
その掛け声と共に、レイノスが詠唱を開始し…
――FOF変化――
「バーンストライク!!」
上空から降り注ぐ火炎が、ブレイドレックスに向かって落ちてくる。
「………グオオ…オ……」
レイノスの術を受け、ドサリと倒れたブレイドレックスは、ついに動かなくなった。
「オーズさん、もう大丈夫ですよ」
「ああ、あんた達。助かったぜ」
リンが治癒術を使いながら後方で待機していたオーズをねぎらう。
リンの治療を受けながらオーズは礼を言った。
「全く、へっぽこな音機関ばっかり作りやがっテ。それだからお前は蛆虫なンだよ」
「なんだとうクノン!」
一方でそんなオーズに毒舌をぶつけまくるのは無邪気な顔をしたクノン。
クノンの発言にオーズは憤慨の表情を浮かべる。
どうやら、また例の喧嘩を始める気のようだ。
「あれ、セネリオは…?」
近くにセネリオがいないことに気づいたレイノスは辺りを見回す。
セネリオは、少し離れたところで倒れているブレイドレックスの所へ向かっていた。
「なにしてんだ、セネリオのやつ…?」
「やはり、間違いない…これこそが俺の探し求めていたもの…」
セネリオは、ブレイドレックスの遺体を前に感嘆の声を漏らした。
その目が指し示すのは、ブレイドレックスの身体に刺さる一本の剣。
「見つけたぞ…エタルド!」
その剣は、セネリオがずっと探し求めていた剣だった。
もう一つの魔剣ラグネルと対となる剣であり、二つそろえることによりその真価を発揮する。
そしてラグネルは、セネリオの愛剣であった。
(だが惜しいな。ラグネルはオラクル脱走の際にダアトに置いてきてしまった。早く取り戻す必要がある…!)
胸に一つの決意を宿しつつ、セネリオはレイノス達のところへと戻って行った。
スキット「魔剣」
レイノス「セネリオ!どこいってたんだよ!」
セネリオ「すまない、これを取りに行っててな」
レイノス「なんだそれ?綺麗な剣だな」
セネリオ「これは魔剣エタルド。さっきの魔物の身体に刺さっていた」
レイノス「へぇ〜すごい剣なんだな!」
セネリオ「…いや、この剣だけでは駄目だ。この剣はもともと二刀流用…対となる魔剣…ラグネルがなければ真の力を発揮しない」
レイノス「二刀流?」
セネリオ「ああ、そしてラグネルは俺の愛剣で今はダアトにある。…元々二刀流の訓練も受けていたからな。戦闘に支障が出ることはないから安心しろ」
レイノス「そういや、リンの剣も綺麗だよな」
セネリオ「あれも魔剣の一つ、レヴァンテインだ。使用者の譜術の能力を最大限まで引き出す力を持っている」
レイノス「そっかあ!いいなあ、オレも魔剣欲しい!」
スキット「初めてのボス戦」
クノン「いやあ、さっきの魔物てごわかったネェ〜♪」
リン「うん、だけど、みんなで力を合わせて、なんとか倒すことが出来てよかった」
レイノス「……そうだな」
クノン「ありゃ?お坊ちゃま嬉しそうじゃないネ」
レイノス「いやだってよう…状況的に仕方なかったとはいえ後方支援だったのがさ…地味っていうかつまんねえっていうか、もっと前衛で動き回りたかったっていうか…」
リン「…悪かったわね。地味でつまんなくて」
レイノス「い、いや、そんなつもりじゃ…」
リン「ふん!」
セネリオ「戦闘において後衛の役割は重要だ。今のパーティだと今回のような例外を除きリン一人しかいないだけになおさらな」
レイノス「……すいませんでした」
男性陣3人の掛け声と共に、地面を這う3つの衝撃破がブレイドレックスを襲う。
しかし、ブレイドレックスはひるむ様子すらない。
そんな敵に臆することもなく、セネリオとクノンの二人が素早い速さで敵に向かって走り、一気に間合いを詰める。
「臥竜閃!」
「掌底破!」
セネリオとクノン、二人の技がブレイドレックスにヒットする。
「双牙斬!」
二人に遅れてやってきたレイノスもまた技を決める。
しかし……
「グオオオオオオオオ!!」
雄叫びと共に、ブレイドレックスが尻尾を振り回した!
「うわっ!」
「ちっ!」
「ニャニャ!?」
尻尾による攻撃を受けた前衛3人は吹き飛ばされるものの、なんとか受け身を取って再び武器を構える。
そして、セネリオはちらりと後ろを見ると、後衛に指示を出す。
「リン、こいつの弱点は火だ。火属性の譜術で援護を頼む」
「…ごめん。まだ火属性の術覚えてないの」
「ち……」
リンの話を聞いて舌打ちするセネリオ。
まだ旅を始めて間もなく、お互いの戦力を十分に把握し切れていなかった。
(それにしてもあの敵の身体に刺さっていた剣があったが…あれはもしや)
魔神剣を放った直後に間合いを詰めた際、一瞬だが見えた剣。
その剣に、セネリオは見覚えがあった。
(…まあいい。倒して確かめてみれば分かることだ)
セネリオは気を取り直して、改めてリンに指示を出す。
「…しかたがないか。ともかく譜術で動きを止めてく…」
「ファイアボール!」
セネリオがリンに指示を出そうとしたその時。
リンとは違う声で、火属性の術が放たれた。
一同は術が放たれた方向を見る。
「それ、もう一発!ファイアボール!!」
術者の正体は、レイノスであった。
レイノスの譜術はよく効いているらしく、ブレイドレックスはわずかに怯んだ様子だ。
「それっ!いただき!!」
――FOF変化――
「イラプション!!」
レイノスの2発のファイアボールにより生じたFOF。
それを目ざとく見つけたリンは、ロックブレイクを変化させて火属性の譜術、イラプションを放った。
それによりブレイドレックスはさらに大きなダメージを負う。
「ひゅ〜、お坊ちゃまとお嬢様、やるじゃン♪」
「…よし、レイノス。お前は今回はリンと共に譜術での援護を頼む。壁役は俺たちに任せろ」
セネリオの指示にレイノスは頷く。
彼としては前線で戦っていたいところだろうが、強敵が相手で有効な技が自分の譜術となれば仕方がない。
「後ろはオレとリンに任せとけ!頼んだぜ!セネリオ、クノン!」
それから戦闘はレイノス達のペースで進んでいった。
レイノスはひたすらファイアボールを撃ちまくり、リンも火属性ではないものの譜術で応戦する。
――FOF変化――
「臥竜斬月!」
「飛炎連脚!」
レイノスが発生させた火属性のFOFにより、セネリオやクノンもFOF技でブレイドレックスを追い詰めていく。
そして………
「これでとどめだ!」
その掛け声と共に、レイノスが詠唱を開始し…
――FOF変化――
「バーンストライク!!」
上空から降り注ぐ火炎が、ブレイドレックスに向かって落ちてくる。
「………グオオ…オ……」
レイノスの術を受け、ドサリと倒れたブレイドレックスは、ついに動かなくなった。
「オーズさん、もう大丈夫ですよ」
「ああ、あんた達。助かったぜ」
リンが治癒術を使いながら後方で待機していたオーズをねぎらう。
リンの治療を受けながらオーズは礼を言った。
「全く、へっぽこな音機関ばっかり作りやがっテ。それだからお前は蛆虫なンだよ」
「なんだとうクノン!」
一方でそんなオーズに毒舌をぶつけまくるのは無邪気な顔をしたクノン。
クノンの発言にオーズは憤慨の表情を浮かべる。
どうやら、また例の喧嘩を始める気のようだ。
「あれ、セネリオは…?」
近くにセネリオがいないことに気づいたレイノスは辺りを見回す。
セネリオは、少し離れたところで倒れているブレイドレックスの所へ向かっていた。
「なにしてんだ、セネリオのやつ…?」
「やはり、間違いない…これこそが俺の探し求めていたもの…」
セネリオは、ブレイドレックスの遺体を前に感嘆の声を漏らした。
その目が指し示すのは、ブレイドレックスの身体に刺さる一本の剣。
「見つけたぞ…エタルド!」
その剣は、セネリオがずっと探し求めていた剣だった。
もう一つの魔剣ラグネルと対となる剣であり、二つそろえることによりその真価を発揮する。
そしてラグネルは、セネリオの愛剣であった。
(だが惜しいな。ラグネルはオラクル脱走の際にダアトに置いてきてしまった。早く取り戻す必要がある…!)
胸に一つの決意を宿しつつ、セネリオはレイノス達のところへと戻って行った。
スキット「魔剣」
レイノス「セネリオ!どこいってたんだよ!」
セネリオ「すまない、これを取りに行っててな」
レイノス「なんだそれ?綺麗な剣だな」
セネリオ「これは魔剣エタルド。さっきの魔物の身体に刺さっていた」
レイノス「へぇ〜すごい剣なんだな!」
セネリオ「…いや、この剣だけでは駄目だ。この剣はもともと二刀流用…対となる魔剣…ラグネルがなければ真の力を発揮しない」
レイノス「二刀流?」
セネリオ「ああ、そしてラグネルは俺の愛剣で今はダアトにある。…元々二刀流の訓練も受けていたからな。戦闘に支障が出ることはないから安心しろ」
レイノス「そういや、リンの剣も綺麗だよな」
セネリオ「あれも魔剣の一つ、レヴァンテインだ。使用者の譜術の能力を最大限まで引き出す力を持っている」
レイノス「そっかあ!いいなあ、オレも魔剣欲しい!」
スキット「初めてのボス戦」
クノン「いやあ、さっきの魔物てごわかったネェ〜♪」
リン「うん、だけど、みんなで力を合わせて、なんとか倒すことが出来てよかった」
レイノス「……そうだな」
クノン「ありゃ?お坊ちゃま嬉しそうじゃないネ」
レイノス「いやだってよう…状況的に仕方なかったとはいえ後方支援だったのがさ…地味っていうかつまんねえっていうか、もっと前衛で動き回りたかったっていうか…」
リン「…悪かったわね。地味でつまんなくて」
レイノス「い、いや、そんなつもりじゃ…」
リン「ふん!」
セネリオ「戦闘において後衛の役割は重要だ。今のパーティだと今回のような例外を除きリン一人しかいないだけになおさらな」
レイノス「……すいませんでした」
■作者メッセージ
ブレイドレックス戦でした。
そしてセネリオのメイン武器の片割れも登場です
久しぶりの戦闘場面書き…この調子で頑張っていきたいです
そしてセネリオのメイン武器の片割れも登場です
久しぶりの戦闘場面書き…この調子で頑張っていきたいです