第3章『魔剣ラグネル』 2
シェリダン港を出港した船は、特に何事もないまま無事にダアト港へとたどり着いた。
そして、ここからダアトまでは徒歩でしばらく歩くことになる。
レイノス達はダアト目指して歩を進め、そして途中にある第四石碑の丘までやってきた。
無論のんびりとしている場合ではないので、特に何をするでもなくその丘を通り抜けようとしたのだが…
「あの…」
「ん?」
突然、声をかけられる。
呼び止められたレイノスは、声の主の方へと振り向く。
「なんだ?俺急いでるんだけど」
「失礼ですが…もしかしてあなたは、ファブレ家のご子息の方じゃありませんか?」
「そうだけど…あんたいったい誰だよ?」
「ああ…僕は……」
「導師ロストロ様!?」
レイノスを呼び止めた男――歳はレイノスやリンより少し下だろうか――その少年が名乗るのを遮るように突然驚きの声をあげたのは美女に変装したセネリオだった。
そう、その少年こそ前導師フローリアンと22年前の大戦の英雄の一人アニス・タトリンの間に生まれた息子にして、現ダアト教会導師・ロストロ・タトリンであった。
「す、すみません!導師様とは知らず、仲間が失礼な口の利き方してしまって…ほら!レイノス、あなたも頭下げて」
「ご、ごめんなさい!」
目の前の人物の素性を知って、リンは慌ててレイノスが無礼な口の利き方をしたことを謝罪する。
リンに促されてレイノスも恐縮した様子で謝る。
しかしロストロは穏やかな笑みを浮かべると、言った。
「別にいいですよ。むしろさっきみたいな口調で話してくれて構わないです。ていうか敬語とかめんどいし」
「め、めんどいって…」
穏やかな見た目と導師という肩書に反したくだけた態度に、レイノス達は呆気にとられた様子だった。
「まあ、そういうわけでレイノス、普通にしゃべってくれていいですよ。あなたの方が年上のようですし。後さん付けもなしで呼び捨てで」
「…分かった、ロストロ」
ロストロの要求により、レイノスは普通にため口で会話をすることにした。
目の前の人物が導師だという事を考えると、恐れ多い気持ちもないではないが、レイノスとしてもこちらのしゃべり方の方がどちらかといえば楽なのである。
「それで、ロストロ。なんで俺のことを…?」
「あなたの父上の昔のころの写真を母によく見せてもらっていたのでね。その焔の髪の色といい、あまりにそっくりだったのでもしかしたらと思ったんですよ」
自分のことを知っていた理由を尋ねるレイノスに対し、ロストロは父親であるルークの写真が自分とそっくりだったからだと答えた。
「えっと…ロストロ様」
「ロストロ」
「はい…えっと、私はリンディス・ガラン・ガルディオスと言います」
「なるほど、あなたはガイラルディア伯爵のご子息なんですね」
様付で呼ぶリンに対し、しっかりと呼び捨てにするよう釘を刺すロストロ
リンは気を取り直して自己紹介をする。
「ボクはクノンだヨ〜」
「……………」
「…あ、こいつはちょっとわけありで名乗れないんだ」
続いてクノンが自己紹介をするが、セネリオは名乗らない。というか名乗れない。
フードを深くかぶり、無言を貫くセネリオ。
そんな彼をレイノスが訳ありだからとフォローを入れてごまかした。
「それでレイノス、あなた達がここにいるのは、やはり例のファブレ公爵の娘…あなたの妹さんの誘拐事件と関係があるんですか?」
「はい、実は…」
レイノスは(セネリオの指示もあり)クラノスのことには触れずに事のあらましを語った。
ダアト教会がクラノスと繋がっている可能性もあるため、うかつに話すことはできない。
「なるほど…あなたはシスk……妹思いなんですね」
「…今、すげー失礼なこと言おうとしなかったか?」
「いえいえそんなこと。それより、それなら明日ダアトの僕の部屋まで来てくれませんか?明日までにその賊についての情報を集めて教えてあげますので」
「本当か!?」
ロストロの提案に身を乗り出すレイノス。
ロストロはにこりと笑うと、コクリと頷いた。
「では僕はそろそろ行きます。みなさん気を付けてくださいね」
「ああ、ありがとうなロストロ!」
こうして、導師ロストロという期待の持てる情報源にありついたレイノス達は、再びダアトの街へと歩き出した。
スキット「ロストロ・タトリン」
クノン「あの導師サマ、一日で情報集めるとか言ってたけどほんとにそんなことできるのかな?」
レイノス「なんとかなるって!ロストロを信じようぜ!」
リン「あの子、別れる時少し寂しそうにしてた…」
セネリオ「導師という立場もあり、友と呼べるものに恵まれず生きていたからな」
リン「友達…いないの?」
セネリオ「六神将の一人にあいつと同じくらいの歳のやつがいて、導師はそいつによく話をしようとするんだが、上手くいかなくてな」
リン「そうなんだ…」
セネリオ(まあ上手くいかないのはその六神将が重度の人間不信なことが原因なんだがな…)
そして、ここからダアトまでは徒歩でしばらく歩くことになる。
レイノス達はダアト目指して歩を進め、そして途中にある第四石碑の丘までやってきた。
無論のんびりとしている場合ではないので、特に何をするでもなくその丘を通り抜けようとしたのだが…
「あの…」
「ん?」
突然、声をかけられる。
呼び止められたレイノスは、声の主の方へと振り向く。
「なんだ?俺急いでるんだけど」
「失礼ですが…もしかしてあなたは、ファブレ家のご子息の方じゃありませんか?」
「そうだけど…あんたいったい誰だよ?」
「ああ…僕は……」
「導師ロストロ様!?」
レイノスを呼び止めた男――歳はレイノスやリンより少し下だろうか――その少年が名乗るのを遮るように突然驚きの声をあげたのは美女に変装したセネリオだった。
そう、その少年こそ前導師フローリアンと22年前の大戦の英雄の一人アニス・タトリンの間に生まれた息子にして、現ダアト教会導師・ロストロ・タトリンであった。
「す、すみません!導師様とは知らず、仲間が失礼な口の利き方してしまって…ほら!レイノス、あなたも頭下げて」
「ご、ごめんなさい!」
目の前の人物の素性を知って、リンは慌ててレイノスが無礼な口の利き方をしたことを謝罪する。
リンに促されてレイノスも恐縮した様子で謝る。
しかしロストロは穏やかな笑みを浮かべると、言った。
「別にいいですよ。むしろさっきみたいな口調で話してくれて構わないです。ていうか敬語とかめんどいし」
「め、めんどいって…」
穏やかな見た目と導師という肩書に反したくだけた態度に、レイノス達は呆気にとられた様子だった。
「まあ、そういうわけでレイノス、普通にしゃべってくれていいですよ。あなたの方が年上のようですし。後さん付けもなしで呼び捨てで」
「…分かった、ロストロ」
ロストロの要求により、レイノスは普通にため口で会話をすることにした。
目の前の人物が導師だという事を考えると、恐れ多い気持ちもないではないが、レイノスとしてもこちらのしゃべり方の方がどちらかといえば楽なのである。
「それで、ロストロ。なんで俺のことを…?」
「あなたの父上の昔のころの写真を母によく見せてもらっていたのでね。その焔の髪の色といい、あまりにそっくりだったのでもしかしたらと思ったんですよ」
自分のことを知っていた理由を尋ねるレイノスに対し、ロストロは父親であるルークの写真が自分とそっくりだったからだと答えた。
「えっと…ロストロ様」
「ロストロ」
「はい…えっと、私はリンディス・ガラン・ガルディオスと言います」
「なるほど、あなたはガイラルディア伯爵のご子息なんですね」
様付で呼ぶリンに対し、しっかりと呼び捨てにするよう釘を刺すロストロ
リンは気を取り直して自己紹介をする。
「ボクはクノンだヨ〜」
「……………」
「…あ、こいつはちょっとわけありで名乗れないんだ」
続いてクノンが自己紹介をするが、セネリオは名乗らない。というか名乗れない。
フードを深くかぶり、無言を貫くセネリオ。
そんな彼をレイノスが訳ありだからとフォローを入れてごまかした。
「それでレイノス、あなた達がここにいるのは、やはり例のファブレ公爵の娘…あなたの妹さんの誘拐事件と関係があるんですか?」
「はい、実は…」
レイノスは(セネリオの指示もあり)クラノスのことには触れずに事のあらましを語った。
ダアト教会がクラノスと繋がっている可能性もあるため、うかつに話すことはできない。
「なるほど…あなたはシスk……妹思いなんですね」
「…今、すげー失礼なこと言おうとしなかったか?」
「いえいえそんなこと。それより、それなら明日ダアトの僕の部屋まで来てくれませんか?明日までにその賊についての情報を集めて教えてあげますので」
「本当か!?」
ロストロの提案に身を乗り出すレイノス。
ロストロはにこりと笑うと、コクリと頷いた。
「では僕はそろそろ行きます。みなさん気を付けてくださいね」
「ああ、ありがとうなロストロ!」
こうして、導師ロストロという期待の持てる情報源にありついたレイノス達は、再びダアトの街へと歩き出した。
スキット「ロストロ・タトリン」
クノン「あの導師サマ、一日で情報集めるとか言ってたけどほんとにそんなことできるのかな?」
レイノス「なんとかなるって!ロストロを信じようぜ!」
リン「あの子、別れる時少し寂しそうにしてた…」
セネリオ「導師という立場もあり、友と呼べるものに恵まれず生きていたからな」
リン「友達…いないの?」
セネリオ「六神将の一人にあいつと同じくらいの歳のやつがいて、導師はそいつによく話をしようとするんだが、上手くいかなくてな」
リン「そうなんだ…」
セネリオ(まあ上手くいかないのはその六神将が重度の人間不信なことが原因なんだがな…)
■作者メッセージ
というわけで導師ロストロの登場でした
出番の少ないキャラですが、なんかこのキャラの製作者である方が後付でかなり設定を盛っていたような記憶があります
出番の少ないキャラですが、なんかこのキャラの製作者である方が後付でかなり設定を盛っていたような記憶があります