第3章『魔剣ラグネル』 4
レイノスは、賊の情報を集めるべくダアトの街を駆けずり回っていた。
そして道行く人に話しかけてはスクルドをさらった賊について訊ねる。
だが、なかなかいい情報に巡り合うことはできない。
「すみません」
しかしそれでもあきらめずにレイノスはまた情報を求めて声をかける。
「はい、なんでしょうか」
レイノスが声をかけた人物は、歳はレイノスやリンと同じか少し上くらいの少女であった。
どことなく親切そうな雰囲気を醸し出しており、レイノスに声をかけられて嫌な顔一つせずにニコリと微笑んだ。
「バチカルの誘拐事件について知らないか?」
「ああ…ファブレ家の御令嬢がさらわれたっていう…」
「そいつは俺の妹なんだ!なにか知ってることがあったら教えてくれないか」
そういってレイノスは少女に詰め寄る。
少女は突然詰め寄って来られてキャッと小さな声をあげ、レイノスは慌てて少女から離れた。
「わ、悪い…脅かすつもりはなかったんだ」
「い、いえ……その、賊について私が知ってることはありません」
「そっか…」
少女の返答にレイノスはガクリと肩を落とす。
そんなレイノスの様子を少女はじっと見ると、口を開いて言った。
「あなたは…妹さんをとても大事に想ってるんですね。危険を承知で旅に出て、こんなところまでやってきて…」
「当たり前だろ。スクルドは俺の妹で、家族なんだから」
「家族…ご両親の方は止めなかったんですか?」
そう問われて、少しバツが悪そうな表情になるレイノス。
「止められたさ。親父や親父の友達は俺が無理をする必要なんてないんだって止めるし、母さんはスクルドだけじゃなく俺も大切な息子なんだって止めてきた」
「……………」
「だけど、それでも俺はじっとなんかしてられなくて家を飛び出そうとして…親父には見つかっちまったけど、結局無理を通して見逃してもらって、旅に出たんだ」
「ご両親とも…あなたや妹さんのことを愛していらっしゃるんですね」
「今でも、あの日必死に俺を止めようとしてくれた母さんには、悪いと思ってるんだ。だからこそ、俺は絶対にスクルドと一緒に、バチカルへ帰る。親父や母さんに俺やスクルドの元気な姿を見せてやりたいんだ」
「家族…幸せ……」
レイノスの話を聞いて、少女はなにかを呟きながらうつむいている。
「私…決めました」
そして、やがて顔をあげると、レイノスに向けて言った。
「あなたの妹さんを助ける旅…私も連れて行ってください」
「え……!」
突然の少女の宣言にレイノスは目を丸くする。
「戦闘に関しては多少は心得もあります。足手まといになるつもりはありません」
「いや、でも…いいのか?」
「あなたの妹さんを…家族を大切に想うその心に感銘しました。私も同行させてください!」
「…分かった、一緒に行こう。…えっと」
「アルセリア・ステファニーです。親しい人はアルセリアかセリアと呼びます」
「そっか…俺はレイノス・フォン・ファブレ。よろしくなアルセリア!」
こうして、賊の情報こそ手に入らなかったが、レイノスはアルセリアという新たな仲間を加えることとなった。
スキット「家族は大事に」
アルセリア「レイノスさん」
レイノス「ん?どうしたアルセリア」
アルセリア「ご両親を、妹さんを……いつまでも大切にしてあげてくださいね」
レイノス「へ?あ、ああ…」
アルセリア「あなたにとっては当たり前の存在でも、それはきっと…かけがえのないものだから」
レイノス「ああ、分かってる」
そして道行く人に話しかけてはスクルドをさらった賊について訊ねる。
だが、なかなかいい情報に巡り合うことはできない。
「すみません」
しかしそれでもあきらめずにレイノスはまた情報を求めて声をかける。
「はい、なんでしょうか」
レイノスが声をかけた人物は、歳はレイノスやリンと同じか少し上くらいの少女であった。
どことなく親切そうな雰囲気を醸し出しており、レイノスに声をかけられて嫌な顔一つせずにニコリと微笑んだ。
「バチカルの誘拐事件について知らないか?」
「ああ…ファブレ家の御令嬢がさらわれたっていう…」
「そいつは俺の妹なんだ!なにか知ってることがあったら教えてくれないか」
そういってレイノスは少女に詰め寄る。
少女は突然詰め寄って来られてキャッと小さな声をあげ、レイノスは慌てて少女から離れた。
「わ、悪い…脅かすつもりはなかったんだ」
「い、いえ……その、賊について私が知ってることはありません」
「そっか…」
少女の返答にレイノスはガクリと肩を落とす。
そんなレイノスの様子を少女はじっと見ると、口を開いて言った。
「あなたは…妹さんをとても大事に想ってるんですね。危険を承知で旅に出て、こんなところまでやってきて…」
「当たり前だろ。スクルドは俺の妹で、家族なんだから」
「家族…ご両親の方は止めなかったんですか?」
そう問われて、少しバツが悪そうな表情になるレイノス。
「止められたさ。親父や親父の友達は俺が無理をする必要なんてないんだって止めるし、母さんはスクルドだけじゃなく俺も大切な息子なんだって止めてきた」
「……………」
「だけど、それでも俺はじっとなんかしてられなくて家を飛び出そうとして…親父には見つかっちまったけど、結局無理を通して見逃してもらって、旅に出たんだ」
「ご両親とも…あなたや妹さんのことを愛していらっしゃるんですね」
「今でも、あの日必死に俺を止めようとしてくれた母さんには、悪いと思ってるんだ。だからこそ、俺は絶対にスクルドと一緒に、バチカルへ帰る。親父や母さんに俺やスクルドの元気な姿を見せてやりたいんだ」
「家族…幸せ……」
レイノスの話を聞いて、少女はなにかを呟きながらうつむいている。
「私…決めました」
そして、やがて顔をあげると、レイノスに向けて言った。
「あなたの妹さんを助ける旅…私も連れて行ってください」
「え……!」
突然の少女の宣言にレイノスは目を丸くする。
「戦闘に関しては多少は心得もあります。足手まといになるつもりはありません」
「いや、でも…いいのか?」
「あなたの妹さんを…家族を大切に想うその心に感銘しました。私も同行させてください!」
「…分かった、一緒に行こう。…えっと」
「アルセリア・ステファニーです。親しい人はアルセリアかセリアと呼びます」
「そっか…俺はレイノス・フォン・ファブレ。よろしくなアルセリア!」
こうして、賊の情報こそ手に入らなかったが、レイノスはアルセリアという新たな仲間を加えることとなった。
スキット「家族は大事に」
アルセリア「レイノスさん」
レイノス「ん?どうしたアルセリア」
アルセリア「ご両親を、妹さんを……いつまでも大切にしてあげてくださいね」
レイノス「へ?あ、ああ…」
アルセリア「あなたにとっては当たり前の存在でも、それはきっと…かけがえのないものだから」
レイノス「ああ、分かってる」
■作者メッセージ
5人目の仲間、アルセリアの加入です
加入イベントのボリュームはGAYMで書かれた時に比べだいぶ増やしてます
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