第3章『魔剣ラグネル』 9
「フィーニア…」
シンシアの家に辿り着いたセネリオが出会ったのは、一頭の赤き龍であった。
シンシアの相棒であるドラゴン、フィーニアだ。
「久しぶりだな…」
甘えた様子ですり寄って来るフィーニアの頭をなでてやると、セネリオはシンシアの家へと侵入した。
人の気配に気を付けながら、セネリオは迷うことなく進んでいく。
シンシアの家には何度も来たことがあり、内部の構造はしっかりと頭の中に入っていた。
「あるとしたら…奴の部屋か」
ラグネルの居場所に当たりをつけたセネリオは、シンシアの部屋へと向かって歩いて行った。
「ちっ…」
シンシアの部屋へとやってきたセネリオは思わず舌打ちをする。
彼女の部屋のベッドの上にそれは――ラグネルはあった。
エタルドとよく似た、綺麗な剣であった。
しかしそのすぐ横には…シンシアが眠っていたのだ。
「……………」
セネリオは音を立てないようにそーっとベッドへと近づく。
そしてベッドまでたどり着くと、ラグネルに手を伸ばし、その手に掴んだ。
(よし…!)
掴んだラグネルをそのまま持ち上げる。
そして用事を済ませたセネリオは、そのままベッドから脱出しようとして…
「声くらいかけてくれてもいいんじゃない?」
後ろから聞こえてきた女性の声に、セネリオはぎくりとしながら後ろを振り向く。
「シンシア…!」
「久しぶりね、セネリオ」
セネリオはラグネルとエタルド、二本の剣を構える。
セネリオのその行動にシンシアは困ったような表情を浮かべる。
「ねえセネリオ、私たちのもとに戻る気は…」
「ない!!」
自分たちのもとへと戻ってくるように勧誘してくるシンシア。
それに対しセネリオは彼女が言葉を言い切る前にはっきりと拒絶の意思を示した。
「どうして!?あなただって、あんなにクラノス様のことを信頼していたじゃない!」
「クラノスはこの世界を揺るがしかねないとんでもないことをやろうとしている。はっきりとした目的はまだ分からないが…今の奴に従う気にはなれない!」
「クラノス様のやることに間違いなんてないわ!」
「…とにかく、俺はお前たちのもとに戻る気はない」
「そう…」
戻る気はないというセネリオの答えに、ガクリとうなだれるシンシア。
「…あなたが私たちの敵になるというのなら、私はあなたをここで倒さないといけない」
「く……!」
シンシアの言葉に、セネリオは警戒を強める。
封印術を掛けられている今、彼女との実力差は絶望的だ。
逃げ切るのは、困難といっていい。
「…だけど、今日の所は見逃すわ」
「……なに?」
しかし、シンシアから発せられた次の言葉は、意外なものであった。
自分を見逃すというシンシアの言葉に、セネリオは一瞬面食らう。
「オフの日はゆっくりと休みたいもの。だからあなたとも戦わないわ」
「シンシア、お前…」
「行きなさい、セネリオ。今度会ったとき、まだ私たちのもとに戻る気がないというのなら…その時は容赦しないわ」
そういうとシンシアは、ベッドに戻って再び横になった。
「すまない、シンシア。それと…ラグネルを預かってくれて助かった、ありがとう」
セネリオはそれだけ言うと、窓から飛び降り、去って行った。
「セネリオの、バカ…」
スキット「港へ」
セネリオ「どうにかラグネルを手に入れることができた…ダアト港で、レイノス達と合流するか」
シンシアの家に辿り着いたセネリオが出会ったのは、一頭の赤き龍であった。
シンシアの相棒であるドラゴン、フィーニアだ。
「久しぶりだな…」
甘えた様子ですり寄って来るフィーニアの頭をなでてやると、セネリオはシンシアの家へと侵入した。
人の気配に気を付けながら、セネリオは迷うことなく進んでいく。
シンシアの家には何度も来たことがあり、内部の構造はしっかりと頭の中に入っていた。
「あるとしたら…奴の部屋か」
ラグネルの居場所に当たりをつけたセネリオは、シンシアの部屋へと向かって歩いて行った。
「ちっ…」
シンシアの部屋へとやってきたセネリオは思わず舌打ちをする。
彼女の部屋のベッドの上にそれは――ラグネルはあった。
エタルドとよく似た、綺麗な剣であった。
しかしそのすぐ横には…シンシアが眠っていたのだ。
「……………」
セネリオは音を立てないようにそーっとベッドへと近づく。
そしてベッドまでたどり着くと、ラグネルに手を伸ばし、その手に掴んだ。
(よし…!)
掴んだラグネルをそのまま持ち上げる。
そして用事を済ませたセネリオは、そのままベッドから脱出しようとして…
「声くらいかけてくれてもいいんじゃない?」
後ろから聞こえてきた女性の声に、セネリオはぎくりとしながら後ろを振り向く。
「シンシア…!」
「久しぶりね、セネリオ」
セネリオはラグネルとエタルド、二本の剣を構える。
セネリオのその行動にシンシアは困ったような表情を浮かべる。
「ねえセネリオ、私たちのもとに戻る気は…」
「ない!!」
自分たちのもとへと戻ってくるように勧誘してくるシンシア。
それに対しセネリオは彼女が言葉を言い切る前にはっきりと拒絶の意思を示した。
「どうして!?あなただって、あんなにクラノス様のことを信頼していたじゃない!」
「クラノスはこの世界を揺るがしかねないとんでもないことをやろうとしている。はっきりとした目的はまだ分からないが…今の奴に従う気にはなれない!」
「クラノス様のやることに間違いなんてないわ!」
「…とにかく、俺はお前たちのもとに戻る気はない」
「そう…」
戻る気はないというセネリオの答えに、ガクリとうなだれるシンシア。
「…あなたが私たちの敵になるというのなら、私はあなたをここで倒さないといけない」
「く……!」
シンシアの言葉に、セネリオは警戒を強める。
封印術を掛けられている今、彼女との実力差は絶望的だ。
逃げ切るのは、困難といっていい。
「…だけど、今日の所は見逃すわ」
「……なに?」
しかし、シンシアから発せられた次の言葉は、意外なものであった。
自分を見逃すというシンシアの言葉に、セネリオは一瞬面食らう。
「オフの日はゆっくりと休みたいもの。だからあなたとも戦わないわ」
「シンシア、お前…」
「行きなさい、セネリオ。今度会ったとき、まだ私たちのもとに戻る気がないというのなら…その時は容赦しないわ」
そういうとシンシアは、ベッドに戻って再び横になった。
「すまない、シンシア。それと…ラグネルを預かってくれて助かった、ありがとう」
セネリオはそれだけ言うと、窓から飛び降り、去って行った。
「セネリオの、バカ…」
スキット「港へ」
セネリオ「どうにかラグネルを手に入れることができた…ダアト港で、レイノス達と合流するか」
■作者メッセージ
どうにか、書けた。
これ書くとき、二回もページ切り替わりで書き直しするはめになった。
しんどかった…
とりあえず、長いことご無沙汰してた時期もありましたが、これにて三章終了です!
これ書くとき、二回もページ切り替わりで書き直しするはめになった。
しんどかった…
とりあえず、長いことご無沙汰してた時期もありましたが、これにて三章終了です!