第4章『仮面の戦士』 2
グランコクマへ向かうため、一行はダアト港から船へと乗った。
ダアトからグランコクマまではかなり距離があり、既に乗船から3日目となっていた。
船の客室にて、レイノスは歩き回っていた。
同じところを、何度も何度もうろうろうろうろしていた。
「レイノス、少しは落ち着きなさいよ」
そんなレイノスの様子に、リンが呆れたように声をかける。
「いやだってよお、もう3日だぜ?そろそろ着いてもいいんじゃないか?」
「もうすぐダってば、お坊ちゃん」
なかなかグランコクマへ着かないことに焦りを募らすレイノスに、あと少しだとクノンが励ます。
「まったく鬱陶しい奴だ。暇なら剣の手入れでもしたらどうだ?」
そういうセネリオは、先ほどからラグネルとエタルドの手入れをしている。
かれこれ1時間以上だ。
「美しい剣だ…」
時々剣を眺めながら恍惚の表情を浮かべている。
剣術好きのレイノスからしても、やや理解を超える趣味だった。
「あれ、そういやセリアは?」
ふとあたりを見回すと、アルセリアの姿が無かった。
レイノスの問いに、リンとクノンが答えた。
「セリアなら、船の中を見て回ってるわよ」
「おフネの旅が初めてだからって、ウキウキしちゃって、カワイイネ♪」
「風が気持ちいいな…」
船の甲板に、アルセリアはいた。
彼女はダアトのあるパダミヤ大陸から出るのは初めてで、当然のことながら船に乗るのも初めてだった。
新大陸へのあこがれも胸の内にあったが、こうした機会が訪れるまで不思議と出る気は起きなかった。
色々とイヤなこともあったけれど、住めば都。
心の奥底に、故郷への愛着が染みついていたのかもしれない。
「あら?」
ふと、甲板に自分以外の人物がいることに気づく。
相手の方もこちらに気づき、近づいてくる。
「やあ、また会ったね」
「あの時の仮面さん…」
そう、目の前にいたのは船に乗る前に出会った仮面の男であった。
「こんな可愛い子に覚えてもらえてるなんて、光栄だな」
「か、可愛いだなんてそんな…というか、そんな仮面かぶってたら嫌でも忘れませんよ」
「はは、違いない」
「よろしければお名前を窺ってもよろしいでしょうか?」
「名前?ああ…俺の名前はミステリアス・ソルジャーだ!」
「み、ミステリアス・ソルジャー!?」
「ああ、カッコいい名前だろ?」
「え、ええと…」
お世辞にもセンスがいいとはいいがたい名前にアルセリアは苦笑する。
というか、あからさまに偽名な気がするのだが。
「それで、お嬢さんの名前は?」
「あ、はい、…私はアルセリア・ステファニーと申します」
「………アルセリア・ステファニー?」
ミステリアスはアルセリアの名前を聞くと、驚いた様子で目を見開いた。
「…あの、私の名前がなにか?」
「ああいや、なんでもない。なんでもないんだ…」
「そうですか…」
「あー、それじゃあせっちゃん」
「せ、せっちゃんって…」
「あ、この呼び方嫌か?」
「い、いえ…ただ、そういう呼び方されるのが初めてだったので…」
そう言いつつも、どことなく嬉しそうな表情を浮かべるセリア。
どうやら新鮮な呼び名がお気に召したようだ。
「そっか。それじゃあせっちゃん、船に乗るとき、赤髪の男といたよな?」
「あ、はい。レイノスさんのことですか?というか口調変わってません?」
「口調は気にするな。…やっぱあいつがレイノスか。なあ、アイツと会って話がした……」
ドゴォォォッォォォォォォオオオオオオン!!
「きゃあ!」
「大丈夫か、セリア」
「は、はい…それより今の大きな揺れは…」
「魔物が襲ってきたみたいだ」
「なるほど魔物が…えええ!?」
ミステリアスの言う通り、甲板には数匹の魔物がこちらを睨んでいた。
しかもどんどん数が増えている。
乗客の騒ぐ声から察するに、甲板以外の場所にも現れているようだ。
「セリア。ここは俺がなんとかするから、お前は他の奴らと合流しろ!」
「ひ、一人で大丈夫なんですか!?」
「は、これくらいどうってことねえ!さっさと行け!」
「は、はい!」
ミステリアスの指示に従い、アルセリアは甲板を出ると、パニック状態の他の乗客を押しのけながら、レイノス達のいる客室を目指した。
ダアトからグランコクマまではかなり距離があり、既に乗船から3日目となっていた。
船の客室にて、レイノスは歩き回っていた。
同じところを、何度も何度もうろうろうろうろしていた。
「レイノス、少しは落ち着きなさいよ」
そんなレイノスの様子に、リンが呆れたように声をかける。
「いやだってよお、もう3日だぜ?そろそろ着いてもいいんじゃないか?」
「もうすぐダってば、お坊ちゃん」
なかなかグランコクマへ着かないことに焦りを募らすレイノスに、あと少しだとクノンが励ます。
「まったく鬱陶しい奴だ。暇なら剣の手入れでもしたらどうだ?」
そういうセネリオは、先ほどからラグネルとエタルドの手入れをしている。
かれこれ1時間以上だ。
「美しい剣だ…」
時々剣を眺めながら恍惚の表情を浮かべている。
剣術好きのレイノスからしても、やや理解を超える趣味だった。
「あれ、そういやセリアは?」
ふとあたりを見回すと、アルセリアの姿が無かった。
レイノスの問いに、リンとクノンが答えた。
「セリアなら、船の中を見て回ってるわよ」
「おフネの旅が初めてだからって、ウキウキしちゃって、カワイイネ♪」
「風が気持ちいいな…」
船の甲板に、アルセリアはいた。
彼女はダアトのあるパダミヤ大陸から出るのは初めてで、当然のことながら船に乗るのも初めてだった。
新大陸へのあこがれも胸の内にあったが、こうした機会が訪れるまで不思議と出る気は起きなかった。
色々とイヤなこともあったけれど、住めば都。
心の奥底に、故郷への愛着が染みついていたのかもしれない。
「あら?」
ふと、甲板に自分以外の人物がいることに気づく。
相手の方もこちらに気づき、近づいてくる。
「やあ、また会ったね」
「あの時の仮面さん…」
そう、目の前にいたのは船に乗る前に出会った仮面の男であった。
「こんな可愛い子に覚えてもらえてるなんて、光栄だな」
「か、可愛いだなんてそんな…というか、そんな仮面かぶってたら嫌でも忘れませんよ」
「はは、違いない」
「よろしければお名前を窺ってもよろしいでしょうか?」
「名前?ああ…俺の名前はミステリアス・ソルジャーだ!」
「み、ミステリアス・ソルジャー!?」
「ああ、カッコいい名前だろ?」
「え、ええと…」
お世辞にもセンスがいいとはいいがたい名前にアルセリアは苦笑する。
というか、あからさまに偽名な気がするのだが。
「それで、お嬢さんの名前は?」
「あ、はい、…私はアルセリア・ステファニーと申します」
「………アルセリア・ステファニー?」
ミステリアスはアルセリアの名前を聞くと、驚いた様子で目を見開いた。
「…あの、私の名前がなにか?」
「ああいや、なんでもない。なんでもないんだ…」
「そうですか…」
「あー、それじゃあせっちゃん」
「せ、せっちゃんって…」
「あ、この呼び方嫌か?」
「い、いえ…ただ、そういう呼び方されるのが初めてだったので…」
そう言いつつも、どことなく嬉しそうな表情を浮かべるセリア。
どうやら新鮮な呼び名がお気に召したようだ。
「そっか。それじゃあせっちゃん、船に乗るとき、赤髪の男といたよな?」
「あ、はい。レイノスさんのことですか?というか口調変わってません?」
「口調は気にするな。…やっぱあいつがレイノスか。なあ、アイツと会って話がした……」
ドゴォォォッォォォォォォオオオオオオン!!
「きゃあ!」
「大丈夫か、セリア」
「は、はい…それより今の大きな揺れは…」
「魔物が襲ってきたみたいだ」
「なるほど魔物が…えええ!?」
ミステリアスの言う通り、甲板には数匹の魔物がこちらを睨んでいた。
しかもどんどん数が増えている。
乗客の騒ぐ声から察するに、甲板以外の場所にも現れているようだ。
「セリア。ここは俺がなんとかするから、お前は他の奴らと合流しろ!」
「ひ、一人で大丈夫なんですか!?」
「は、これくらいどうってことねえ!さっさと行け!」
「は、はい!」
ミステリアスの指示に従い、アルセリアは甲板を出ると、パニック状態の他の乗客を押しのけながら、レイノス達のいる客室を目指した。
■作者メッセージ
ミステリアスの設定は、思い切って大幅に変えることにしました
後、彼の設定に伴い、アルセリアの設定も微妙に変わっています
後、彼の設定に伴い、アルセリアの設定も微妙に変わっています