第4章『仮面の戦士』 4
「さてと、それじゃあ俺は自分の部屋で待機してるんで、用があったら呼んでくれよ」
そういって自分の部屋の場所を伝えると、ミステリアスは部屋から去って行った。
「怪我した人の治療、終わったわ」
ミステリアスと入れ違いで、リンが部屋へ戻ってきた。
「あの仮面の人、部屋に来てたみたいだけど、何話してたの?」
「ああ、クノンが戻ってきたら話す」
リンの問いに、セネリオがそう答える。
魔物の大群が押し寄せてきたことにより、船はいたるところが激しい損傷を受けていた。
シェリダンで整備士をしているクノンもその修理を手伝っているのだが、作業はかなり難航しているようだ。
「あう〜、タダイマ〜…」
それからしばらくして、クノンが戻ってきた。
かなり疲れたようで、いつものような元気がなく、グッタリとした様子であった。
「クノン!船の修理終わったのか!?」
「あ〜、それなんだけどさぁ…」
レイノスの問いに、クノンは言いにくそうな様子を見せる。
その時、船内放送が流れてきた。
『えー、ご乗船の皆様、まことにご迷惑をおかけしますが、この船は現在進路を変えケテルブルク港へと向かっております。繰り返します、この船は現在…』
「そういうこと、さすがにこの海上で修理するのは応急処置程度が精一杯だったヨ」
「そっか…」
クノンの話にガックリとうなだれるレイノス。
これでまた、スクルドとの距離が広がってしまったのだ。
「…いやまあ、仕方ねえよな。クノン、修理お疲れ様。ゆっくり休めよ」
「ソウスル〜…」
レイノスのねぎらいの言葉にだるそうに答えたクノンはそのままベッドへとダイブした。
本当に疲れているようだ。
「俺はちょっと外出てくる…」
そういってレイノスは客室を出て行った。
(アルセリア・ステファニー…)
ミステリアスは一人沈痛な面持ちで、一人の少女のことを思い出していた。
ロストロの頼みでレイノス達の旅に同行することになったが、その旅の仲間に彼女がいるなど予想外であった。
(…関係ねえ。俺は○○○○じゃねえ。ミステリアス・ソルジャーだ。あの子とは何の接点もない他人だ)
そうだ、関係ない。
○○○○という男は死んだ。
今ここにいるのは、導師の付き人ミステリアス・ソルジャーなのだ。
「…ん?あそこにいるのは…」
ふと、甲板に人がいるのを発見した。
そこにいたのは、レイノスだった。
声をかけようかと思ったが、やめた。
彼のもとに、リンと呼ばれていた少女が現れたのだ。
「お邪魔虫は退散するとしますかね」
そういって、ミステリアスは甲板から出て行こうとして…
甲板の出入り口である階段に、クノンとアルセリアがいた。
「あ、仮面さん〜。コンニチハ〜」
「あ、ミステリアスさん、どうも」
クノンとアルセリアはそれぞれミステリアスに挨拶する。
「何やってるんだお前等?」
「いやあ、お坊ちゃんとお嬢様の間でドキドキイベントが起こりそうだからさ〜♪」
「く、クノンさん、やっぱり覗き見なんてダメですよ!部屋に戻りましょう」
「エ〜♪ヤダヤダぁ♪」
「可愛らしく言っても駄目です!ミステリアスさんも何か一言…」
「おお確かに!そいつを見逃すのはもったいないな!よし、付き合うぜクノン!」
「み、ミステリアスさん!?」
「お〜、仮面さん、話が分かるねえ♪仲良くやっていけそうだよ」
「そうと決まればさっそく二人の会話に聞き耳立てるとしようぜ!」
「まったく、この人たちは…」
意気投合する二人に、あきれ果てるアルセリアであった。
「レイノス」
リンは、甲板で一人海を眺めているレイノスに声をかける。
「リン…」
「雪国のケテルブルクが近いから、寒くなってきてるわ。これ着て」
「サンキュー」
礼を言ってリンから毛布を受け取る。
そして、再び海を眺めた。
「…部屋に戻らないの?風邪ひくよ?」
「しばらくこうしてたいんだ」
「…そっか、じゃあ私も付き合うよ」
「ほっといてくれ、今は一人でいたい気分なんだ」
ぶっきらぼうにそう言って、拒絶の意を示した。
リンが少し傷ついたような顔をしたが、すぐに首を振った。
「一人でいたって、嫌なことばっかり頭に浮かんで気なんか晴れないよ」
そう言うとリンは…レイノスの身体を抱きしめた。
「り、リン!?」
「ねえレイノス、一人で抱え込まないでよ。あなたは一人じゃない。セネリオも、クノンさんも、セリアも…それに私だっている」
「仲間…か」
「一人では重い岩でも、二人なら、三人なら、ずっと軽くなる。だから…ね?いっしょにいるよ」
「リン…」
ほとんど無意識のうちに、レイノスもリンの身体を抱きしめていた。
彼女の優しさが伝わってきて、胸がジーンと熱くなってくる。
「ありがとう、本当にありがとうな…」
レイノスは泣いていた。
今までずっと不安を心のどこかで一人抱えてきた。
だけど、自分は一人じゃないと分かると、不思議と肩の荷が下りた。
そして…今まで我慢してきた涙が、溢れ出してきたのだ。
「今は我慢なんかしなくていいよ。顔…隠してあげるから」
「ああ…ああ……!」
スキット「居辛い空気」
リン『今は我慢なんかしなくていいよ。顔…隠してあげるから』
クノン「これは…なんていうかボクたち……」
ミステリアス「本気でお邪魔虫だな…」
アルセリア「レイノスさん、リンさん…」
クノン「さすがにこの空気に茶々入れる気にはなれないネ」
ミステリアス「だな、二人に気づかれないうちに退散しよう」
そういって自分の部屋の場所を伝えると、ミステリアスは部屋から去って行った。
「怪我した人の治療、終わったわ」
ミステリアスと入れ違いで、リンが部屋へ戻ってきた。
「あの仮面の人、部屋に来てたみたいだけど、何話してたの?」
「ああ、クノンが戻ってきたら話す」
リンの問いに、セネリオがそう答える。
魔物の大群が押し寄せてきたことにより、船はいたるところが激しい損傷を受けていた。
シェリダンで整備士をしているクノンもその修理を手伝っているのだが、作業はかなり難航しているようだ。
「あう〜、タダイマ〜…」
それからしばらくして、クノンが戻ってきた。
かなり疲れたようで、いつものような元気がなく、グッタリとした様子であった。
「クノン!船の修理終わったのか!?」
「あ〜、それなんだけどさぁ…」
レイノスの問いに、クノンは言いにくそうな様子を見せる。
その時、船内放送が流れてきた。
『えー、ご乗船の皆様、まことにご迷惑をおかけしますが、この船は現在進路を変えケテルブルク港へと向かっております。繰り返します、この船は現在…』
「そういうこと、さすがにこの海上で修理するのは応急処置程度が精一杯だったヨ」
「そっか…」
クノンの話にガックリとうなだれるレイノス。
これでまた、スクルドとの距離が広がってしまったのだ。
「…いやまあ、仕方ねえよな。クノン、修理お疲れ様。ゆっくり休めよ」
「ソウスル〜…」
レイノスのねぎらいの言葉にだるそうに答えたクノンはそのままベッドへとダイブした。
本当に疲れているようだ。
「俺はちょっと外出てくる…」
そういってレイノスは客室を出て行った。
(アルセリア・ステファニー…)
ミステリアスは一人沈痛な面持ちで、一人の少女のことを思い出していた。
ロストロの頼みでレイノス達の旅に同行することになったが、その旅の仲間に彼女がいるなど予想外であった。
(…関係ねえ。俺は○○○○じゃねえ。ミステリアス・ソルジャーだ。あの子とは何の接点もない他人だ)
そうだ、関係ない。
○○○○という男は死んだ。
今ここにいるのは、導師の付き人ミステリアス・ソルジャーなのだ。
「…ん?あそこにいるのは…」
ふと、甲板に人がいるのを発見した。
そこにいたのは、レイノスだった。
声をかけようかと思ったが、やめた。
彼のもとに、リンと呼ばれていた少女が現れたのだ。
「お邪魔虫は退散するとしますかね」
そういって、ミステリアスは甲板から出て行こうとして…
甲板の出入り口である階段に、クノンとアルセリアがいた。
「あ、仮面さん〜。コンニチハ〜」
「あ、ミステリアスさん、どうも」
クノンとアルセリアはそれぞれミステリアスに挨拶する。
「何やってるんだお前等?」
「いやあ、お坊ちゃんとお嬢様の間でドキドキイベントが起こりそうだからさ〜♪」
「く、クノンさん、やっぱり覗き見なんてダメですよ!部屋に戻りましょう」
「エ〜♪ヤダヤダぁ♪」
「可愛らしく言っても駄目です!ミステリアスさんも何か一言…」
「おお確かに!そいつを見逃すのはもったいないな!よし、付き合うぜクノン!」
「み、ミステリアスさん!?」
「お〜、仮面さん、話が分かるねえ♪仲良くやっていけそうだよ」
「そうと決まればさっそく二人の会話に聞き耳立てるとしようぜ!」
「まったく、この人たちは…」
意気投合する二人に、あきれ果てるアルセリアであった。
「レイノス」
リンは、甲板で一人海を眺めているレイノスに声をかける。
「リン…」
「雪国のケテルブルクが近いから、寒くなってきてるわ。これ着て」
「サンキュー」
礼を言ってリンから毛布を受け取る。
そして、再び海を眺めた。
「…部屋に戻らないの?風邪ひくよ?」
「しばらくこうしてたいんだ」
「…そっか、じゃあ私も付き合うよ」
「ほっといてくれ、今は一人でいたい気分なんだ」
ぶっきらぼうにそう言って、拒絶の意を示した。
リンが少し傷ついたような顔をしたが、すぐに首を振った。
「一人でいたって、嫌なことばっかり頭に浮かんで気なんか晴れないよ」
そう言うとリンは…レイノスの身体を抱きしめた。
「り、リン!?」
「ねえレイノス、一人で抱え込まないでよ。あなたは一人じゃない。セネリオも、クノンさんも、セリアも…それに私だっている」
「仲間…か」
「一人では重い岩でも、二人なら、三人なら、ずっと軽くなる。だから…ね?いっしょにいるよ」
「リン…」
ほとんど無意識のうちに、レイノスもリンの身体を抱きしめていた。
彼女の優しさが伝わってきて、胸がジーンと熱くなってくる。
「ありがとう、本当にありがとうな…」
レイノスは泣いていた。
今までずっと不安を心のどこかで一人抱えてきた。
だけど、自分は一人じゃないと分かると、不思議と肩の荷が下りた。
そして…今まで我慢してきた涙が、溢れ出してきたのだ。
「今は我慢なんかしなくていいよ。顔…隠してあげるから」
「ああ…ああ……!」
スキット「居辛い空気」
リン『今は我慢なんかしなくていいよ。顔…隠してあげるから』
クノン「これは…なんていうかボクたち……」
ミステリアス「本気でお邪魔虫だな…」
アルセリア「レイノスさん、リンさん…」
クノン「さすがにこの空気に茶々入れる気にはなれないネ」
ミステリアス「だな、二人に気づかれないうちに退散しよう」
■作者メッセージ
ちょっとレイリンイベントを挟んでみた
幼馴染CPっていいよね!
幼馴染CPっていいよね!