第4章『仮面の戦士』 5
しばらく時間が経ち、船はケテルブルク港に着いた。
船に降りる直前、レイノス達は船長さんと出会い、何度もお礼を言われた。
「船は急ピッチで直すからな、明日には終わらせる!あんたたちはケテルブルクのホテルでゆっくり休んでてくれ!」
そういって船長さんは、ホテルの代金まで持ってくれるのだという。
さすがに悪いと思いつつも、感謝とお詫びのしるしだと譲らなかった。
「リンディス様」
船から降りると、一人の女性がレイノス達の前に現れた。
歳は五十はありそうだが、まだまだ美人という言葉が通用する知的な印象の眼鏡の女性であった。
女性は、リンの姿を見ると彼女に声をかける。
リンの方も女性の正体に気づく。
「もしかして…ネフリーさん?」
「はい、お久しぶりです」
「こちらこそ!ジェイドさんにはいつもお世話になってます」
そう、女性の正体はケテルブルクの知事・ネフリーであった。
ネクロマンサーの異名を持つジェイド・カーティスの妹であり、リンとも面識があった。
「なるほど、スクルド様を助けるために旅を…」
「はい、どうしても妹を助けたいんです!」
「…分かったわ。グランコクマにいる兄さんに連絡を入れておくわ」
「ありがとうございます!」
ネフリーに礼を言うと、レイノス達はケテルブルクへと向かった。
「ウッハア♪おっきなホテルだねえ」
ケテルブルクのホテルに辿り着くと、クノンが歓声をあげる。
「こ、こんなところにタダで泊まるなんて、ほんとにいいんでしょうか?」
一方アルセリアの方は少し恐縮しているようだ。
「まあ、せっかくの船長さんの厚意だし、甘えさせてもらおうぜ」
そういうとレイノスはホテルの中へ入り、他もレイノスに続いて入って行った。
「ねえねえ坊ちゃん、雪合戦しようヨ♪」
部屋に荷物を置くと、クノンがレイノスに向けて言った。
「…お前、船の修理で疲れてたんじゃないのかよ。休めよ」
「まあまあ、もうすっかり元気百倍サ♪それとも、お坊ちゃんはボクに負けるのが怖いの?」
「な!そんなんじゃねえぞ!」
「アッハハ〜♪弱虫お坊ちゃん〜」
「おい!こら待てクノン!」
挑発しながら部屋を出るクノンを、レイノスが追いかけて言った。
「…子供か、あいつらは」
そんな二人の様子を、セネリオが呆れた様子で眺める。
窓から外を見てみれば、既にもう二人の雪合戦は開始されていた。
「街の外で素振りでもしてくる」
そういうとセネリオも部屋から出て行った。
「さあてと、俺はどうするかね」
「あら?ミステリアスさん、一人ですか?」
一人男部屋にとり残されたミステリアス。
そんな彼のところへ、アルセリアが現れた。
「セネリオは街の外で素振り、レイノスとクノンは向こうの方で雪合戦やってるいたいだぜ」
「わあ、雪合戦ですか。楽しそう」
「せっちゃんも混ざったらどうだ?」
「う〜ん…ミステリアスさんはどうするんですか?」
「そだなあ…雪国美女でもナンパするか」
「……そんな仮面で女の子に迫ったら、捕まりますよ。暇なら、いっしょに街を見て回りませんか?」
「お?せっちゃんの方からナンパか!?いわゆる逆ナン?おとなしそうな顔して結構アクティブ…」
「ち、違いますよ!ナンパなんてしてません!」
真っ赤になって否定するアルセリア。
初心な反応に笑いを漏らすミステリアス。
「ま、いいさ。行こうぜ」
「ふふ、子供たちが雪合戦してます。元気に走り回って、かわいいですね」
「こら待てー!クノンー!」
「にゃはははははは!お坊ちゃんの球なんてあったんないよ〜ダ!」
「…でっかい子供が混じってたな」
「あ、あはははは…」
目の前を通り過ぎて行った見覚えのある人影に、ミステリアスは呆れた表情となり、アルセリアはひきつった笑いを漏らすのであった。
「これがカマクラ…大きいですねぇ」
巨大な鎌倉に、アルセリアは見上げながら感心する。
「…………………………」
「ふふ、ミステリアスさんも驚きと感動のあまり声も出ないみたいです」
「…なあ、セリア」
「どうしたんです?ミステリアスさん」
「…こんだけ立派な出来だと、銃弾でもぶち込んで崩してやりてえと思わねえ?」
「だ、駄目ですよ!中に人だっているんですから!」
「手が冷てえ…」
「アウー…」
一方その頃、レイノスとクノンはホテルへ戻ろうとしていた。
「もう、二人とも雪合戦するなら手袋くらいしなさいよ」
二人の様子を呆れたように見つめるリン。
そう、手袋もせずに雪合戦をしていた二人の手は、すっかり冷たくなってしまっていた。
そのため、ホテルのストーブで暖を取ろうとしているのだ。
ちなみにリンは途中から二人の雪合戦に混じったのだが、しっかり手袋を装備していた。
「ねえねえお坊ちゃん♪」
「なんだよクノン、ニヤニヤして」
「お坊ちゃんはストーブなんていらないんじゃないかなあ?」
「なんでだよ、まだ手冷えてるぞ」
「いや〜、だからさあ♪そこにいるお嬢様に手でも握ってもらえばいいんじゃない?」
「「なぁっ!?」」
クノンの言葉に、レイノスとリンは真っ赤になった。
その反応を見たクノンは、二人に呆れたような視線を向ける。
(エー…なにその反応。この二人、船の中で抱きしめあったりとかしてたくせに、手を握るのでこの反応なワケ?)
「そ、その、レイノス?」
「な、なんだよ」
「手…握ろうか?」
「い、いいよ別に!」
「そっか…」
「あ、いや…別に嫌ってわけじゃなくて……」
(なんかすごい二人の世界出来上がってるし!?うわあ、オモシロ♪)
お互いに顔を真っ赤にしながら不器用なやり取りをする若い男女二人を、クノンはすぐ横で楽しそうに眺めるのであった。
「……………」
セネリオは剣を振る。
「……………」
魔剣ラグネルとエタルドを振る。
「……………」
無言で振り続ける。
「……………」
いつまでも振り続ける。
スキット「腹黒コンビ結成」
クノン「ヤッホー仮面さん、お嬢ちゃん♪」
アルセリア「機嫌がよさそうですね、クノンさん」
クノン「いやだってさあ、あれみてよ♪」
ミステリアス「あれは、レイノスとリンか」
アルセリア「手を繋いでますね」
レイノス「……………」
リン「……………」
レイノス「あ…のさ」
リン「うん……」
レイノス「いや…なんでもない」
リン「うん……」
レイノス「……………」
リン「……………」
ミステリアス「うっはあ!青春してるぜ!」
アルセリア「お二人とも、初心なんですね…」
ミステリアス「ようし、ここは愛の伝道師ことミステリアス様に任せろ!」
クノン「あ!ボクも行く!」
アルセリア「ちょ、お二人とも!?」
ミステリアス「ヒューヒュー、お二人さん♪お熱いねえ」
レイノス「な、ミステリアス!?」
クノン「二人とも、真っ赤になっちゃってカワイイね♪」
リン「な…別に真っ赤になんてなってないです!」
ミステリアス「たく、船の中じゃいちゃいちゃしてたくせに、手を繋いだくらいでそんなに真っ赤になるかねえ」
レイノス「な…甲板のあれ、見てたのかよ!?」
クノン「ダイジョブダイジョブ、すぐに消えたからちょっとしか見てないッテバ♪」
リン「見てたんじゃないですか!」
アルセリア「二人とも、やめてください!レイノスさん達、困ってるじゃないですか!」
ミステリアス「水臭いこと言うなよせっちゃん!いっしょに船での二人の蜜月を見た仲だろ?」
レイノス「な、セリアも見てたのかよ!」
アルセリア「わ、私は二人を止めようとして…」
セネリオ「…戻ってみれば、騒がしいやつらだ」
クノン「いやあ、仮面さん。面白いね♪」
ミステリアス「まったくだ、からかいがいのあるやつらだぜ♪」
セネリオ「この腹黒コンビめ」
船に降りる直前、レイノス達は船長さんと出会い、何度もお礼を言われた。
「船は急ピッチで直すからな、明日には終わらせる!あんたたちはケテルブルクのホテルでゆっくり休んでてくれ!」
そういって船長さんは、ホテルの代金まで持ってくれるのだという。
さすがに悪いと思いつつも、感謝とお詫びのしるしだと譲らなかった。
「リンディス様」
船から降りると、一人の女性がレイノス達の前に現れた。
歳は五十はありそうだが、まだまだ美人という言葉が通用する知的な印象の眼鏡の女性であった。
女性は、リンの姿を見ると彼女に声をかける。
リンの方も女性の正体に気づく。
「もしかして…ネフリーさん?」
「はい、お久しぶりです」
「こちらこそ!ジェイドさんにはいつもお世話になってます」
そう、女性の正体はケテルブルクの知事・ネフリーであった。
ネクロマンサーの異名を持つジェイド・カーティスの妹であり、リンとも面識があった。
「なるほど、スクルド様を助けるために旅を…」
「はい、どうしても妹を助けたいんです!」
「…分かったわ。グランコクマにいる兄さんに連絡を入れておくわ」
「ありがとうございます!」
ネフリーに礼を言うと、レイノス達はケテルブルクへと向かった。
「ウッハア♪おっきなホテルだねえ」
ケテルブルクのホテルに辿り着くと、クノンが歓声をあげる。
「こ、こんなところにタダで泊まるなんて、ほんとにいいんでしょうか?」
一方アルセリアの方は少し恐縮しているようだ。
「まあ、せっかくの船長さんの厚意だし、甘えさせてもらおうぜ」
そういうとレイノスはホテルの中へ入り、他もレイノスに続いて入って行った。
「ねえねえ坊ちゃん、雪合戦しようヨ♪」
部屋に荷物を置くと、クノンがレイノスに向けて言った。
「…お前、船の修理で疲れてたんじゃないのかよ。休めよ」
「まあまあ、もうすっかり元気百倍サ♪それとも、お坊ちゃんはボクに負けるのが怖いの?」
「な!そんなんじゃねえぞ!」
「アッハハ〜♪弱虫お坊ちゃん〜」
「おい!こら待てクノン!」
挑発しながら部屋を出るクノンを、レイノスが追いかけて言った。
「…子供か、あいつらは」
そんな二人の様子を、セネリオが呆れた様子で眺める。
窓から外を見てみれば、既にもう二人の雪合戦は開始されていた。
「街の外で素振りでもしてくる」
そういうとセネリオも部屋から出て行った。
「さあてと、俺はどうするかね」
「あら?ミステリアスさん、一人ですか?」
一人男部屋にとり残されたミステリアス。
そんな彼のところへ、アルセリアが現れた。
「セネリオは街の外で素振り、レイノスとクノンは向こうの方で雪合戦やってるいたいだぜ」
「わあ、雪合戦ですか。楽しそう」
「せっちゃんも混ざったらどうだ?」
「う〜ん…ミステリアスさんはどうするんですか?」
「そだなあ…雪国美女でもナンパするか」
「……そんな仮面で女の子に迫ったら、捕まりますよ。暇なら、いっしょに街を見て回りませんか?」
「お?せっちゃんの方からナンパか!?いわゆる逆ナン?おとなしそうな顔して結構アクティブ…」
「ち、違いますよ!ナンパなんてしてません!」
真っ赤になって否定するアルセリア。
初心な反応に笑いを漏らすミステリアス。
「ま、いいさ。行こうぜ」
「ふふ、子供たちが雪合戦してます。元気に走り回って、かわいいですね」
「こら待てー!クノンー!」
「にゃはははははは!お坊ちゃんの球なんてあったんないよ〜ダ!」
「…でっかい子供が混じってたな」
「あ、あはははは…」
目の前を通り過ぎて行った見覚えのある人影に、ミステリアスは呆れた表情となり、アルセリアはひきつった笑いを漏らすのであった。
「これがカマクラ…大きいですねぇ」
巨大な鎌倉に、アルセリアは見上げながら感心する。
「…………………………」
「ふふ、ミステリアスさんも驚きと感動のあまり声も出ないみたいです」
「…なあ、セリア」
「どうしたんです?ミステリアスさん」
「…こんだけ立派な出来だと、銃弾でもぶち込んで崩してやりてえと思わねえ?」
「だ、駄目ですよ!中に人だっているんですから!」
「手が冷てえ…」
「アウー…」
一方その頃、レイノスとクノンはホテルへ戻ろうとしていた。
「もう、二人とも雪合戦するなら手袋くらいしなさいよ」
二人の様子を呆れたように見つめるリン。
そう、手袋もせずに雪合戦をしていた二人の手は、すっかり冷たくなってしまっていた。
そのため、ホテルのストーブで暖を取ろうとしているのだ。
ちなみにリンは途中から二人の雪合戦に混じったのだが、しっかり手袋を装備していた。
「ねえねえお坊ちゃん♪」
「なんだよクノン、ニヤニヤして」
「お坊ちゃんはストーブなんていらないんじゃないかなあ?」
「なんでだよ、まだ手冷えてるぞ」
「いや〜、だからさあ♪そこにいるお嬢様に手でも握ってもらえばいいんじゃない?」
「「なぁっ!?」」
クノンの言葉に、レイノスとリンは真っ赤になった。
その反応を見たクノンは、二人に呆れたような視線を向ける。
(エー…なにその反応。この二人、船の中で抱きしめあったりとかしてたくせに、手を握るのでこの反応なワケ?)
「そ、その、レイノス?」
「な、なんだよ」
「手…握ろうか?」
「い、いいよ別に!」
「そっか…」
「あ、いや…別に嫌ってわけじゃなくて……」
(なんかすごい二人の世界出来上がってるし!?うわあ、オモシロ♪)
お互いに顔を真っ赤にしながら不器用なやり取りをする若い男女二人を、クノンはすぐ横で楽しそうに眺めるのであった。
「……………」
セネリオは剣を振る。
「……………」
魔剣ラグネルとエタルドを振る。
「……………」
無言で振り続ける。
「……………」
いつまでも振り続ける。
スキット「腹黒コンビ結成」
クノン「ヤッホー仮面さん、お嬢ちゃん♪」
アルセリア「機嫌がよさそうですね、クノンさん」
クノン「いやだってさあ、あれみてよ♪」
ミステリアス「あれは、レイノスとリンか」
アルセリア「手を繋いでますね」
レイノス「……………」
リン「……………」
レイノス「あ…のさ」
リン「うん……」
レイノス「いや…なんでもない」
リン「うん……」
レイノス「……………」
リン「……………」
ミステリアス「うっはあ!青春してるぜ!」
アルセリア「お二人とも、初心なんですね…」
ミステリアス「ようし、ここは愛の伝道師ことミステリアス様に任せろ!」
クノン「あ!ボクも行く!」
アルセリア「ちょ、お二人とも!?」
ミステリアス「ヒューヒュー、お二人さん♪お熱いねえ」
レイノス「な、ミステリアス!?」
クノン「二人とも、真っ赤になっちゃってカワイイね♪」
リン「な…別に真っ赤になんてなってないです!」
ミステリアス「たく、船の中じゃいちゃいちゃしてたくせに、手を繋いだくらいでそんなに真っ赤になるかねえ」
レイノス「な…甲板のあれ、見てたのかよ!?」
クノン「ダイジョブダイジョブ、すぐに消えたからちょっとしか見てないッテバ♪」
リン「見てたんじゃないですか!」
アルセリア「二人とも、やめてください!レイノスさん達、困ってるじゃないですか!」
ミステリアス「水臭いこと言うなよせっちゃん!いっしょに船での二人の蜜月を見た仲だろ?」
レイノス「な、セリアも見てたのかよ!」
アルセリア「わ、私は二人を止めようとして…」
セネリオ「…戻ってみれば、騒がしいやつらだ」
クノン「いやあ、仮面さん。面白いね♪」
ミステリアス「まったくだ、からかいがいのあるやつらだぜ♪」
セネリオ「この腹黒コンビめ」
■作者メッセージ
なんかスキットが本編な気がしなくもないw
最後はクノンとミステリアスの腹黒コンビでしたーw
最後はクノンとミステリアスの腹黒コンビでしたーw