CROSS7【白いキリト】
俺――レイとリズとキリトの三人は離れ離れになってしまった仲間達を探すため、この歪んだ時空の謎を解き明かすため旅に出た。SAOの有名な人が共に戦ってくれるとなると、かなり頼もしく思えた。
「そう言えばキリト君、リズを連れ去ったやつ、見てない?」
「いや、俺は見てないな。その日は確かリズの店の近くは通ってない気がするし」
「ねぇレイ、どうして今そんなこと聞くの?」
「何か引っ掛かるんだ……リズ、確か連れ去ったやつは見覚えがあったんだよね?」
「え?えぇ……」
「性別や推定年齢はわかる?」
「確か……男だったわね。推定年齢は16才くらい」
「レイ、そう言う事か?」
「うん、犯人は身近な人の可能性がある。鳴冠でない事は確かだし……」
リズを連れ去った犯人は恐らく身近な人、その次元の存在である可能性が高いが、100%ではなく、鳴冠の存在もあり正直な話わからない。それにあいつはリーダーと言う言葉を口にしていた為、何かの組織の一員である事が伺える。
「にしても……この平原何処まで続いてんのよ〜!」
「……キリト君、ここらで少し休もうか」
「そうだな」
リズが歩き疲れたので一旦その場で休もうとした途端、突如俺達の前に見たことも無い怪物が現れ、俺達を取り囲んだ。
「な、何よこいつら!?」
「彼らは“シャドウ”。お前達とは異なる次元の魔物だ」
その言葉と共に現れたのはまるで白いキリト君とでも言うような少年だった。その少年が先程解説したシャドウと言う怪物は少年を襲わない、恐らくシャドウは彼が呼んだ物だろう。
「……っ!?あんたは!」
「どうしたリズ?」
「あいつよ!あいつが私の店に来て突然気絶させてきたやつよ!」
リズが白い髪の少年を指差してそう言った。確かに彼はキリト君によく似ているし、もしそうだとすれば見覚えがあると言う特徴とも一致する。
「やっと思い出したようだな、リズベット」
「あんたは……何者!?」
「俺はキリス。ある組織の副リーダーの一人で、見ての通り剣士さ」
確かにキリスの手には白い剣が握られていた。それは色を除けばキリト君の持つそれとほぼ同様の物で、俗に言う色違いと言うやつである。
「ある組織?」
先程キリスが言った言葉に反応したキリトが剣を抜き、何時でも攻撃出来るように構えた。
「名を“漆黒の影”と言う。我らはある目的の為に、その器を回収する」
キリスの所属する漆黒の影と言う組織も気になるが、それよりも俺達が驚愕したのは器と言う単語。なんとリズを指しながらそう言ったのだ。
「器……?リズの事を言ってるの!?」
「さてキリト。俺はお前と戦いたい、勝負しようぜ。もしお前が勝てば知ってる事を何でも話そう。しかし俺が勝てば……リズベットは貰っていく」
「きゃあっ!」
「リズっ!」
その瞬間リズがシャドウ達に拉致されてしまった。どうやらキリスは本当に今言った掛けをするようだ。
「リズ、反撃しろ!早く!!」
「それが出来ないのよ!!やろうとしてるけど、何故か何時も通りの力が出ないし、メイスも出てこない!」
キリトがリズに反撃を指示するが、リズは何故か抵抗出来なかった。自らの武器を出す事も敵わず、両腕をシャドウに捕まれ身動きが取れなくなっている。
「リズベットに首輪がついてるだろ?それは本来の力を封じる作用がある。俺達はそれを『黄泉』と呼んでる」
「黄泉……そんな物が!?」
「さて、そろそろやろうか。何ならそこの天パーも加わって良いぜ」
「天パー言うな!」
キリスの挑発に乗せられたのは皮肉だが、俺もキリトに加勢する為キーブレードを構えた。
「フッ、俺の力を見せてやる」
そう言うとキリスはもう片方の手に水色の剣を出現させ、二刀流となった。それを見てキリトは驚愕した。
「そんな……!?白いエリシュデータに、ダークリパルサーまで!?」
「始めに言っておく、お前達では俺には勝てない!」