ピンク髪の少女はどんどん落下していき、このままでは怪我どころではないと確信し、俺は無我夢中で走り出した。

「間に合えっ！！」

間一髪、少女を受け止める事に成功した。その反動で倒れ、視界が逆さまとなった。

「レイ君大丈夫！？」
「あ、あぁ……何とか」

とは言った物の身体全体が痛い。あんな高所から落ちてきたとなると相当の重さとなり、俺に降りかかる際に身体に大きな負荷を掛ける為、暫く起き上がれそうに無さそうだ。

「いってぇ……」

身体の痛みを堪えながら顔を上げると、そこには目を閉じたままのピンク髪の少女の姿があった。俺の上に乗っている為、こちらは思うように動けない。

「一体……何が？」
「うぅ……」

その時ピンク髪の少女が目を開き、起き上がった。現在俺の上に座っているような感じであり、その様子を見たクロナは少しムッとしている。

「ここ……どこ？」

ピンク髪の少女は見慣れぬ景色に困惑し、そして俺に気がついた。

「あっ！」

少女は飛び上がり、俺から降りた。その為やっと俺も立ち上がる事が出来る。

「ごめんなさい！」
「いや、良いよ。それより……君は？」
「私？」

彼女は自分の事を指差してそう言った。その場にいるほぼ全員が頷き、少女は自身の名前を名乗った。

「リズベットって言うの、宜しく」
「変わった名前だな」
「ダーク、初対面の相手に失礼だぞ」

リズベットと言う名前を聞いたダークが感想を延べ、それをライガが突っ込んだ。歳上二人を無視してディアは冷静に聞いた。

「なぁリズベット、君は何故空から落ちてきたんだ？」
「落ちてきた？空から！？」

ディアの発言を聞いてリズベットは信じられないと言うような表情で空を見た。相変わらず闇色のままで、より一層不気味に見えた。

「その様子だと、何かあるようですね」
「鈴神？」
「話してもらえますか？貴女に何があったのかを」

わからない事が多すぎるこの状況の中冷静な鈴神はこの事態を何とかするため、行動を起こす。

「わかった、話す」
「でもその前に、場所を変えよっか」

クロナの提案で俺達は結局ボウリング場へ行く事になった。歩きながら多数決をしたら5VS3で呆気なく決まり、現在向かっている途中だ。

リズベットは何か思い詰めたような表情をしている。俺は先頭を歩かず、彼女が心配な為あえて最後尾で見守る事にした。

そう言えば先程多数決をしたときに違和感を覚えた。一体何か冷静に考えてみると、答えがすぐにわかった。

「そう言えば、ヒトミは？」
「そういや来てないな、どうしたんだろうな？」

そう、俺の一つ年下の妹、ヒトミがいないのだ。レイディアントスターは俺、クロナ、ダーク、フィオ、ライガ、ディア、鈴神、紫音、そしてヒトミの９人なので、先程の多数決で八人しか票が挙がらなかった時すぐに違和感を覚えた。

「連絡してみたら？」
「うん」

フィオに言われ、俺は携帯でヒトミに電話を掛ける。しかし、どれだけ掛けても一切出てこなかった。

「出ない……？」
「なんかあったのか…？」
「ねぇレイ君、家にいたときヒトミちゃんはいた？」
「いや、出発前にヒトミの部屋を覗いたけど、いなかった。声を掛けても返事が無かった」

電話にも出ない、家にいなければどこにもいない。ヒトミは何処へ行ってしまったのだろうか？リズベットが突然落ちてきた事やあの闇色の空と何か関係があるのだろうか？

「……考えすぎても仕方無いよね」
「うん」