CROSS8【3刀流】
「一気に畳み掛けるよ!来て…エルシオン!」
早々に決着をつけるため、鳴冠の時と同様聖獣を召喚した。
「行くよ!」
エルシオンと共に攻撃を仕掛け、二つの攻撃を諸に喰らったように見えたキリスだったが、実際はあの二つの剣で受け止めていた。
「なっ!?」
「この程度か?キーブレードの勇者が聞いて呆れるぜ…」
そのままキリスは俺とエルシオンを弾き返し、さらに俺に向かって二刀流による超連続攻撃を仕掛けてきた。
「そんなっ!?スターバーストストリームまで!!」
「ぐっ!」
スターバーストストリームと言う技に俺は吹っ飛ばされ、エルシオンが再び攻撃を仕掛けるもそれも同じくスターバーストストリームにやられてしまった。
「くっ!だったら俺も!!」
キリト君も何処からか二つ目の剣を取り出し、なんとキリスと同様にスターバーストストリームをやって見せた。しかしキリスはそれを物ともしておらず、寧ろ片方の剣だけでいなしていた。
「なっ!?」
「弱い……本当にお前“黒の剣士”か?」
「今だ!」
キリスがキリト君に挑発している間を見計らい、風の魔法であるエアロラをぶつけるが、全く効いていなかった。実際当たってはいたのだが、傷一つついていない。
「それで不意打ちしたつもりか?」
その刹那、何かに身体を斬られたような痛みが走った。そう、キリスが音も立てずに一瞬で俺に近づき、攻撃したのだ。
「ぐはっ……!」
「レイ!!」
「さて……そろそろ始末するか。来い、ノーブルディモン!」
なんとキリスもまた聖獣を出した。その聖獣は上半身が腕のごつい悪魔のような姿を、下半身が怪虫のような姿をした禍々しい物だった。しかもエルシオンよりも数倍ほどでかい。
「お前も聖獣を!?」
「フッ、天パー。お前はノーブルディモンの相手でもしておけ」
「だから天パー言うな!!」
相変わらず俺の事を天パー呼ばわりするキリスの挑発にのせられるように彼の聖獣ノーブルディモンに立ち向かっていくが、異常なまでにごつく大きい腕に軽く凪ぎ払われ、エルシオンごと吹っ飛ばされてしまった。
「ぐわぁっ!」
「レイっ!!」
「人の心配をしてる場合か?」
キリト君が気がついた時にはキリスはいつの間にか三つ目の剣を出現させていた。その剣はキリト君の持つエリシュデータでもダークリパルサーでもなく、見たことも無いデザインの神聖感漂う白い片手剣だった。
「オリヴィアン=ディスメギスと言う。これが俺の本来の剣」
「じゃあ、今まで本気じゃ無かったって事か!!」
「フッ、そう言う事」
キリスは自らの真の愛剣、オリヴィアン=ディスメギスを中に浮かせ、合計で3刀流となった。通常は二刀流が限界である人であるが、何らかの力により浮かせる事によってキリスは3刀流を可能にしているようだ。
「3刀流!?」
「見せてやる、3刀流でのスターバーストストリームを」
そう言ってキリスはスターバーストストリームの動きでキリト君に連続攻撃を仕掛けた。通常ならそれだけなのだが、先程のそれよりも明らかにスピードが早く、しかも中に浮いているオリヴィアン=ディスメギスが勝手に動き、さらに奇襲を掛けているのだ。二刀流と3刀流とでは当然部が悪く、キリト君は成す術もなくやられてしまった。
「……がはっ!!」
「これが俺の“ゲイルソードストリーム”だ」
キリスの放ったゲイルソードストリーム。それはキリト君の使うスターバーストストリームを邪悪に、より強力に強化した物だった。当然二刀流であるキリト君には不可能であるわけで、逆に二刀流さえ越えたキリスだからこそ使ってきたのだろう。
「もう戦える身体では無さそうだな」
キリスの言う通り俺達二人はキリスとその聖獣ノーブルディモンにより深刻なダメージを与えられ、倒れてしまっている。
「それじゃあリズベットは回収させてもらうぜ」
「ちょ、何言って……っ!」
訳がわからないままリズは謎の睡魔に襲われ、そのまま眠ってしまった。
「心配するな、ちょっと眠ってもらっただけだ」
「お前……リズをどうするつもりだ!?」
「さぁ?俺は少なくともそれを教える気は無いね」
「何だと……!」
「一つ良いことを教えてやる。我ら漆黒の影は全部で五人いる」
「五人も……」
「まさか、この次元の歪みもお前らが!?」
「話が早いな」
俺とキリト君は驚き顔を合わせた。どうやら本当に漆黒の影がこの次元をおかしくした犯人のようだ。
「そうだ、もう一つ教えてやろう」
そう言うとキリスは右手から闇色の光を放ち、それを放出した。するといつの間にか俺達の前に長い黒髪の女の子が倒れていた。
「ユイ!?」
「知ってる子なの?」
「あぁ…俺達の次元の子だ」
またもキリト君の次元から人が一人連れてこられてしまった。だが先程までいなかったユイが何故ここにいるのか、それがわからなかった。
「我らはこのように様々な次元から人を呼ぶ事が出来る。数日前も、お前に縁の深そうな悪人を引き込んだ」
「次元から人を呼ぶだと……」
「その悪人は我らに協力している。そいつを倒す事が出来たらまた情報を提供してやるよ」
その言葉を最後にキリスはリズを連れてシャドウ達と共に姿を消した。
「まてっ!!」