CROSS10【閃光の影】
「行け、ジオダイン!!」
中に浮くアルカナカードを破壊し、イザナギが強大な雷を放ち黒い怪物を倒した。
「凄い……!」
恐らく初めてペルソナを見るであろうミッキーは驚きながらも鍵のような剣を使って残りの怪物を倒した。
完全に黒い怪物がいなくなったのを確認すると、一旦休んでミッキーに今起きた事を聞く事にした。
「なぁ、さっきのは何だ?」
「あれはハートレス。僕達の次元に巣くう怪物さ」
「次元……?」
いきなり訳のわからない単語を出され、困惑するがミッキーはすぐに答えてくれた。どうやらとある組織によって四つの次元が歪められ、一つに纏められてしまったらしく、俺も気づかぬうちに巻き込まれてこの港についたらしい。つまりミッキーやハートレスも元々は俺とは違う次元の存在と言う事になる。
「なるほど。それで、その組織って?」
「…漆黒の影。新たな世界を創る者よ!」
ミッキーに質問をしたとき、代わりにいつの間にか現れていた赤髪の少女が答えた。その少女は後ろ髪の長いハーフアップであり、俺のいた世界にこんな姿の人がいるなんてあり得ないと考えると彼女もまた違う次元の存在なのだろう。
「あっ!」
「ミッキー、まだくたばって無かったのね。我らにとって邪魔になるから早めに討っておいたのに」
「ミッキー、こいつは?」
「私はエスナ!漆黒の影の副リーダーであり、No.2よ」
明らかに敵として見ているはずの俺達に対してエスナは堂々と名乗った。エスナは何処からかレイピアを取り出し、剣先をこちらに向けた。
「鳴上 悠、残念だけど、貴方にはここで消えてもらうわ」
「っ!やるのか!」
俺は即座にイザナギを出し、何時でも攻撃されても良いように構える。
「覚悟は良いみたいね。スタースプラッシュ!!」
エスナのレイピアが不思議な光を放ち、なんとその一振りだけでイザナギを吹っ飛ばした。ペルソナのダメージは宿主である俺にも反映されるため、俺もまた吹っ飛ばされた。
「がはっ!!」
「まだ生きてるみたいね、流石は特捜隊のリーダー」
「俺の事を……知ってるのか!?」
「けど、次はその減らず口を叩けないようにしないとね」
そう言ってエスナはレイピアを地面に突き刺し、空に向かって叫んだ。
「来て、フォルエンゼル!!」
次の瞬間空からまるで心を失った堕天使のような何かが現れた。
「お前もペルソナを!?」
「いえ、これはペルソナじゃなく聖獣って言うの」
ペルソナに近い雰囲気はするが、何やら違う聖獣と言う存在。エスナはそれを出現させた。
「可能性自体は誰でも持ってるけど、自分に取っての最大の課題を突破しなければ得られない代物。その課題は本人にはわからない」
「なるほど、確かにペルソナとは違う性質みたいだな」
ペルソナと聖獣、似ているようで違うこの二種類が心なしかにらみあった気がする。そう言えば何故テレビの世界でないのにペルソナが出せたのか疑問に思っていたが、この歪められた時空その物がテレビの世界に近い性質となっている事が先程の話から推測出来る。
「さて、そろそろ止めを……」
その時、エスナの耳元に着けてある小型の通信機から声が聞こえた。
《エスナ、戻ってきて。次のフェイズに移る》
「ですが、鳴上 悠の排除の途中で……」
《次のフェイズにはどうしても君の力が必要になるんだ。頼む》
「くっ……わかりました」
その言葉を最後にエスナはフォルエンゼル共々姿を消し、後には何も残らなかった。
幸いあの通信に助けられたが、もしあのまま戦いが続いていたら負けていたのは俺達だったと、あの圧倒的な実力から理解した。