CROSS13【計画】
「キリス、お帰り。あっ、エスナも一緒だったんだ」
「ただいま、リーダー」
「只今戻りました」
謎の少年のいる部屋に何時ものようにキリスはやって来た。しかも今回はエスナも連れて。現在この司令室にいるのは謎の少年とキリス、そしてエスナの三人のみだ。
「ごめんねエスナ、任務の途中で」
「いえ、あの作戦に私が必要なら構いません!」
「でも、あの鳴上 悠を始末し損ねたのは痛くないか?」
「大丈夫だよ。これを見て」
謎の少年は三つあるモニターにそれぞれ違う映像を写したそこにはレイとキリト、鳴上とミッキー、そしてディアとアスナが写し出されていた。
「この三つの勢力、利用させてもらおうじゃないか。セラ!」
「はっ!」
謎の少年の呼び掛けによってこの部屋に現れたのは緑色のツンツン髪をしたレイとほぼ同い年くらいの少年だった。瞳の色も緑であり、その表情は凛としている。
「お呼びでしょうか、リーダー」
「セラ、もう一人の“器”を鳴上 悠の所へ落とせ」
「と言う事は、次のフェイズへ移るのですね?」
「あぁ、レイの妹がまさか器だとは思わなかったけど、リズベット同様次元の記憶を取ってもらう。もっちろん……無意識にだけどね」
「わかりました」
「それとエスナ」
「はい!」
「君はこれからシャドウとハートレスを連れて砂漠にある我らの拠点、『シールボード』に向かってほしい。そこで君には研究員達の指揮を取ってほしいんだ。君はそう言うの詳しいからね」
「わかりました」
そう言ってエスナは司令室を出た。砂漠にあると言う漆黒の影の拠点『シールボード』は彼らの研究施設。メンバーの中で一番機械に強いエスナが作戦に必要だと言う事をキリスは納得した。
「セラ、君はアークソフィアへ向かって。あの次元は“新世界”には不必要だから」
「わかりました」
そしてセラもまた部屋を出た。そうして何時かのように謎の少年とキリスの二人だけとなったこの司令室は、何処か不気味さを増していた。
「リーダー、俺に出来ることはないか?」
「大丈夫だよキリス。今は休んで、次の戦いに備えるんだ」
「だが、理想の実現は早い方が良いだろう!」
「そんなに焦らないで、それに俺達は“今回こそ”必ず新世界を創る。だから安心して」
「……わかった」
キリスは何処か納得していない表情で部屋を出た。そしてこの部屋には謎の少年ただ一人。
「鳴冠、聞こえる?」
一人になる事を想定していたかのように見計らっていた謎の少年は通信機を作動させた。
《どうされましたか?リーダー》
「鳴上 悠が動き出したのは知ってるよね?彼らの所へ向かうんだ。そんなに早くなくていい」
《……器を引き渡してから暫く泳がせると言う事ですね》
「そゆこっとー!」