CROSS17【打倒鳴冠】
「コノハナサクヤ!」
雪子はその名前を叫び、何処からか飛来してきた青いカードを扇で破壊すると、その背後に聖獣に似た何かが現れた。
「行くわよ……アギダイン!!」
雪子が召喚した聖獣に似た何かが炎の弾丸を放ち、ハートレスの集団を焼き付くした。
「やった!もしかしてと思ったけど、やっぱり出た!」
「雪子、今のは?」
「これはペルソナって言う物だよ」
となると俺やフィオが出すような聖獣とは違う存在と言う事か。だがどちらにせよ頼れる戦力だと言う事に変わりは無いのでそのまま雪子にも戦ってもらう事にした。
「俺も行くぜ、ガントラ!!」
俺もフィオと同様聖獣を呼び出し、それが黒い炎を吐いてハートレス達を攻撃した。俺の聖獣は黒とオレンジ色が目立つクールな雰囲気の竜、『黒炎竜ガントラ』だ。
「凄い……ペルソナとは違うみたいだけど……?」
「これは聖獣って言う物だ」
「つまり似てるけど違うんだね!」
どうやらあっちもこちらと同じ解釈をしたようだ。雪子は再びコノハナサクヤを呼び出すと、先程放ったアギダインを再び発動し、ハートレス達を攻撃した。
「行くよ、ブリザガ!」
続けてフィオも氷の魔法であるブリザガを放ち、熱さにやられているハートレスに奇襲をかけた。そしてその攻撃で全てのハートレスが怯んだ。
「チャンスだっ!ボッコボコにすんぞ!!」
「「了解!!」」
俺の号令で三人ともハートレス達に向かって突撃し、一斉攻撃を仕掛けた。その結果やつらに大ダメージを与え、その数をかなり減らした。
「やったぜ!」
三人ともハイタッチして今の一斉攻撃の成功を喜び、そして再びハートレス達にその攻撃の矛先を向けた。
「マハラギダイン!!」
「行くぜ……漆黒剣!!」
「ブリザガルンラ!!」
雪子はさらに強くなったアギダインことマハラギダインを、俺は黒いオーラを帯びた剣で相手を切り裂く技、漆黒剣を、フィオはさらに強力になったブリザガことブリザガルンラをそれぞれ放ち、ついにハートレスを全滅させた。
「よっしゃ!!」
「やったね二人とも!」
「えぇ!!」
一段落した後、俺達は改めて自己紹介をし、俺達の今の状況やこの時空で起こっている事を話した。雪子はその話を聞いて何か思い当たる事があったようで、自分に何があったかを話してくれた。どうやら雪子も仲間と共に何者かに襲われたらしく、俺達同様仲間とはぐれてしまったらしい。
「……ってなると、そいつは鳴冠と何か関係があるかもしれねぇな……」
「うん、その鳴冠って人……話を聞いてる限りだと私達を襲ったやつと似てたから」
「ねぇ、そいつ……名前名乗ってた?」
「確か……エスナだったと思うけど」
「エスナ……!」
雪子達を襲撃したエスナと俺達を襲撃した鳴冠、どうもこの二人に接点が無いとは思えない。それに何かが引っ掛かる。
「よし、フィオ……俺は決めた」
「何を?」
「鳴冠の野郎をぶっ倒す!そして相棒達の居場所とかこの時空の事とか聞き出すんだ!」
「良いねそれ!乗った!!」
流石は親友と言うべきか、フィオは俺の提案に乗ってくれた。そして彼女も何かを決断したようだ。
「なら私も協力するよ、助けてもらったし」
「雪子……あぁ!!」
「じゃあ行こうよ、ダーク!雪子ちゃん!!」
先に走り出すフィオの言葉に俺と雪子は頷き、共にフィオを追いかけるようにして走り出した。俺達を襲撃した人物、鳴冠とその関係者のエスナを倒して話を聞くため、俺達の戦いが始まった。