CROSS19【凛々しい者】
少しずつテンポを遅めていく足音がこの謎の森に響く。ここは何処なのだろう、そんな事を考えている内に頭がクラクラしてきた。
「……もう、どれだけ歩いただろう……?」
私は紫音、レイさんやクロナさんの仲間で、ある日鳴冠と言う謎の少年に襲われ、みんなとはぐれてしまいました。その結果私はこの森に流れ着いたのですが、他のみんなはいませんでした。
「……っ!」
疲れはてて歩いていたその時、目の前に誰かが倒れているのが見えました。その人は赤っぽい色の髪をしていて何処かの学校の制服を着た高校生の女の子でした。
「もし!大丈夫ですか?」
「……うぅ……」
「気がついたのですね、良かった……」
彼女が立ち上がると共に私の黒い前髪が風に揺れる。その子はよく見たら私とそんなに変わらない年の子だった。
「貴女、ここで倒れていたんです。一体何があったのですか?」
「そう……貴女は?」
「失礼しました、私は紫音。先に申しますが怪しい者ではございません」
「わかってる、助けてくれたんだもんね。私は久慈川 りせ、宜しく」
私ですら訳のわからない状況だと言うのに、りせさんはそれでも冷静だった。あのときの鈴神さんの話が本当だとすればりせさんもまた時空の歪みに巻き込まれた一人なんでしょうか……
「りせさん、貴女はどうしてここに倒れていたのですか?」
「それが………」
りせさんは辛そうな表情でありながらもここに倒れていた訳を話してくれた。どうやらりせさんの時空で仲間達と集まっていて、楽しくその日を過ごしていると突然赤い髪の女性に襲われ、仲間達と離されてしまい、気がついたら私に助けられ、今に至るとの事でした。
「では、貴女も時空の歪みに巻き込まれたのですね」
「時空の……歪み?」
「はい、今私と貴女方の時空は歪んでしまい、この一つの時空として存在してしまっているのかと」
「な、何を言ってるの?」
「りせさん、落ち着いて聞いてください」
彼女に信用してもらう為、私はこれまでの事を分かりやすく纏めて話した。自分達の所でも同じような事が起こったと言うとりせさんも流石に信じてくれたようで、この状況を受け入れた。
「なるほどね……つまり、みんなもこの時空にいるって事?」
「確証は出来ませんが、その可能性は高いです。ですがこの交わった時空では何が起こるかわかりませんし、りせさん、私に力を貸して頂けないでしょうか?」
りせさんは見たところ戦えないと思われるので、私はついてくる様提案した。私は多少と言えど戦える、キーブレードも使える。
「貴女、本当に女性?」
「へ?」
「だって、常に凛々しいし、敬語だし、なんか頼りになるって言うか」
「敬語は関係ないと思われますが……」
「うん、わかった。それに目的が同じなら断る理由も無いしね」
「ありがとうございます!」
この交わった時空での仲間、りせさんと共に行動する事になった私は彼女と様々な情報を事前に交換しておきました。私は聖獣やキーブレードの事、りせさんはペルソナの事、テレビの世界の事、お互いの時空について話し合いました。その結果りせさんはバックアップ型のペルソナ使いだと言う事がわかり、前衛と後衛のバランスがかなり良いと私的には思いました。
この交わった時空の中で、私達は本当にみんなを探し出せるのか、結末は語りません。