CROSS22【シャドウコピー】
アークソフィアに戻るとたくさんの人が何者かに攻撃され、水色の光となって消えていった。
「これは……!」
「ひでぇ……」
たくさんの人々が消えていき、ついに町までも崩壊し始めて来た。多くの建物が崩れ落ち、その中からある人物が現れた。
「えっ!?」
そこにあったのは間違いなくリズベットの姿だった。だが明らかに様子がおかしく、メイスを持って目を閉じていた。
「リズ、無事だったのね!!」
「お、おいクロナ!!」
クラインの静止を無視し、リズに近づくが、その瞬間明らかに普通ではない彼女の光無き目が開かれた。
「そいつはリズじゃねぇ!!」
クラインの叫びで初めて彼女がリズでない事に気がつき、間一髪メイスによる攻撃を避ける事に成功した。一旦距離を起き、いつの間にか紫色のオーラを纏っているリズの姿をした何かを見た。
「リズじゃ……無い?」
「正解だ、お嬢さん」
その時崩れ落ちた建物の中から緑色の髪と目をした少年が現れた。その姿は色こそ違うがまるでソラそのものだった。
「貴方は一体……!?」
「俺はセラ。漆黒の影のメンバーであり、この時空を壊しに来た!」
「漆黒の影?ってかお前時空がどうとかって……まさか!!」
「その通りだ野武士面、この時空の歪みは我ら漆黒の影が引き起こした」
どうやらこの交わった時空はセラ曰く漆黒の影と言う組織によって引き起こされていたようだ。そうなるとあのとき私達を襲撃した鳴冠も漆黒の影のメンバーである可能性が高い。セラはリズの姿をした何かの肩に手を置いた。
「こいつは俺が造った器の偽者。喋らないが本物同様の強さを持つ、中々上手く出来てるだろ?」
「じゃあ、リズは貴方達が!?」
「そう、我々の手の内にある」
漆黒の影はなんと私達が鳴冠のブラックホールに吸い込まれた際にはぐれてしまったリズをいつの間にか捕らえていたようだ。
「テメェ、リズをどうするつもりなんだ!!」
「悪いがこれから滅ぼされるお前らに言うつもりは無いぜ」
セラはクラインにそう挑発するように言うと、軽く指を鳴らした。すると私達のまわりをハートレスが取り囲んだ。
「さらにオマケだ」
「っ!?」
突然セラが私を指差して言った。
「人にとってもっとも苦難な事、それは自分自身と戦う事だ!シャドウコピー!!」
セラの叫びと共に彼の右手から闇色の光が放たれ、それはいつの間にか私を包み込んでいた。しかしそれに痛みなどなく、後に離れていった。だがそれはリズ同様に私の偽者を作っていた。
「クロナが、二人!?」
「くっ!」
「さぁ、偽リズベットと偽クロナよ……ハートレスと共にそいつらを叩きのめせ!!」
その瞬間セラは何処かに消え、ハートレス達と偽クロナ、そして偽リズが同時に襲い掛かってきた。偽者二人はハートレス同様言葉を発しないらしいが、本物同様の力を発揮出来るらしい。
「私がハートレスと偽リズを引き付ける!だからクラインは偽の私を!」
「了解した!!」
クラインは自らの武器である刀を抜き、私は偽リズとハートレス集団、クラインは偽クロナとの戦いを始めた。