「リーダー、ただいま戻りました」
「おかえりセラ。おや？」

シャドウレイがセラを出迎えると、いつの間にかエスナ以外の漆黒の影のメンバーが全員揃っていた。

「これはお揃いで」
「なぁリーダー、これで準備は整ったか？」

キリスが今にも動き出したそうにそう聞く。そんな落ち着かない様子のキリスを見たシャドウレイは笑顔で言った。

「まだだよ。後はエスナが上手く実験を成功させれば準備は整う」
「確か、妖精剣士でしたよね？キリスから聞きました」
「おっと、鳴冠も聞いてたの？これは話が早い」

実はキリスと鳴冠に妖精剣士を捕らえてある事が知らされる以前にセラはそれを知っていた為、シャドウレイはそう言った。

「あぁ……もうすぐ始まる、新世界の創造がっ！」

シャドウレイが喜びの声を挙げると、突然空中に浮くモニターにエスナの姿が写った。どうやら通信のようだ。

「リーダー、我々の計画の障害となりそうな存在を幾つか感知しました！」
「エスナ、どんなやつらだ？」
「一人はシールボード付近に着ぐるみのような何かで、一人はヘッドホンを着けた少年が黒の剣士の元へ向かっております！」
「……ヘッドホンはともかく、その着ぐるみは何とか出来るでしょ？エスナは組織のNo.2、そんなヤワじゃないと思うけどな」
「ですが、もう一つの反応も……三つ目の反応もシールボードに近づいてきているんです！」

そう言ってエスナはすぐに空中モニターにその危険な存在の正体を写した。それは砂漠地帯を歩くディアとアスナの姿だった。

「なるほどね……」
「どうするんだ、リーダー？」
「狼狽えるにはまだ早いよキリス。エスナ、実験の方はどうなってる？」
「すでに試作品が五体ほど出来上がってますが……」
「なら一人か二人に行かせれば良い。例え突破されたとしても偽者は量産されるからね」
「了解しました！！」

エスナとの通信が切れ、自分達の計画の障害となる存在が三つもあることを恐れたキリスはシャドウレイに問いかけた。

「どうするんだ？シールボードの方の敵は何とか出来ても、ヘッドホンの少年とやらは……」
「大丈夫」

心配するキリスを勇気付けるかのようにシャドウレイがそう断言した。

「ヘッドホンの少年なら心当たりがある……花村 陽介。ペルソナ使いの一人さ」
「では、尚更始末した方が？」
「いいや、あえて黒の剣士達と合流させる。その方が舞台は盛り上がるからね」
「踊らさせると言う事ですね」
「ピンポーン！正解！！」

高らかにそう言いながらシャドウレイは空中モニターに砂漠地帯にいるディアとアスナを写した。

「正解者には何か賞品を与えたいんだけど、何が良い？鳴冠？」
「では、邪魔者達の抹殺で」
「わかりましたよっと！！」

鳴冠の言われた通りシャドウレイは『正解者への賞品』と称して二人の元に何かを向かわせた。

「さぁ、第２章の幕開けだ！！」