CROSS32【巡り合う鍵】
敵の数はすでに半分ほど減っている。そこへロクサスが現れ疲労していた私達を助け、一気に状況が一変した。
「行くぞ!」
ロクサスが勢いよくキーブレードを投げ、そのままハートレスに当てるとすぐ手元に帰ってきた。まるでブーメランの如くキーブレードを操る技“ストライクレイド”だ。
「こっちも行くぜ!」
続けてクラインもロクサスが攻撃した物と同じハートレスを斬りつけ、消滅させた。
「お前、やるな」
「お前こそな!」
そのまま二人は戦いを続行する。ロクサスとクラインは意外と馬が合うようで息もピッタリだった。その証拠にお互いをフォローしあっている。
「ファラフェニックス!」
体力が限界であるため聖獣のコントロールに徹する事にした私はファラフェニックスを使ってハートレス達の数を減らしていった。中には一撃で倒せない物もいたがそれらは氷魔法“ブリザガ”によって凍らせた後すぐ砕いた。
「ここだ!」
ハートレス達が束になった所でロクサスがキーブレードによる超乱舞“イベントホライズン”を放ち一気に全滅させた。後は私の方のハートレスのみだ。
「これで決める!」
ロクサスもクラインもすでに戦い終わったので自分もここで決めようと気合いを入れて私は空から無数の氷の剣を敵に降らす技“アイスメイデン”を放ち残りの敵も全滅させた。
その後私達はロクサスから何故ここにいたのかを聞いた。どうやら彼は機関から下された任務をこなしている途中突然起きた謎のブラックホールのような物に吸い込まれ、気がついたらここにいたと言う。
だがどうもおかしい。確かロクサスは機関を裏切り、その上本体であるソラの元に帰り消滅したはず。なのに目の前にいるロクサスは機関に所属していると言うのだ。
自分達も今の状況や時空の異変について話し、ロクサスもまた困惑する事になった。聞きたい事は山ほどあるがどうも今は聞き出せそうに無さそうだ。
「まさか、時空だけじゃなく“時間”まで歪んでるとかじゃ無いよな?」
「たぶん……君達の話を聞いてる限りではそうだと思う」
「いえ、全時空の中に時は含まれてないはず。なら考えられるのは……」
「漆黒の影……」
私の考えている事をクラインは言い当て、『そうだよ』と言うように頷いた。今この時空自体が不安定だが流石に時までも歪んでいるのはあり得ない。しかしロクサスは機関の任務中に時空の歪みに巻き込まれたと言うので、間違いなく過去の存在だ。なら考えられるのは漆黒の影が何かの企みでこの時代、この時空に連れてきたと言う事。普通に考えてあり得ないが彼らならやりかねないだろう、何せ彼らは普通ではないから
「なら、尚更そいつらを倒さないとな。俺、友達を待たせてるから」
「じゃあ私達と一緒に来て。同じ目的ならその方が都合が良いわ」
ロクサスも同じ事を考えていたのか共に旅する事を了承してくれた。
「よし、これでやっと三人だな!」
「そうだね、新しい仲間の加入を祝いたい所なんだけど……」
その瞬間、地響きが発生した。何故かはわかる。それはこのトラヴァースタウンが元々不安定な場所でいつ消えてもおかしく無かったからだ。
「あまり長居出来ないみたい」
「もうタイムリミットかよ!?」
「こっちだ!早く!!」
崩れ行くトラヴァースタウンを後にロクサスの先導により私達は辛うじて町の消滅に巻き込まれずに済んだ。