CROSS33【聖獣とペルソナの共闘】
あれから私とりせさんは森を抜けて見知らぬ平原に出た。ただでさえ広い森で抜けるのがやっとだったのにこの平原ですら視界に写しきれないほど広かった。
「はぁ……やっと出られたと思ったのに……」
「大丈夫ですよりせさん、どうせ私達は迷子なんですし、同じく迷子になってる仲間を探せば良いじゃないですか」
「そうだけど……紫音は疲れない訳?」
「私は少し特別なので」
何が特別かと言うと、あまり人には言いたくないのですが実は私は普通の人間では無いんです。キーブレードを出せる時点で普通じゃないと言う突っ込みは無しで、実は私の名前は本来の名前ではなく、所謂改造人間。見た目は普通と変わらない様ですが本当は人並以上の能力を秘めていると言う事を自覚しています。
それを自分の苦悩を押し殺しりせさんに話しました。
「そんな……誰がそんな事を!?」
「良いんですよ、自業自得ですから」
先程も申した通りこれはあまり人には言いたくない事。なのでこの話はここまで
「ほら、行きますよ!」
「あっ、待って!」
平原を暫く進んでいると案の定敵が現れた。その中にはりせさんが言っていたシャドウも存在し、ハートレスもそれに混じっている。
「敵五体、頑張って!」
りせさんがペルソナ“ヒミコ”を召喚してバックアップの配置に着く。彼女はペルソナ使いだけどバックアップ専門の能力なので実質戦えるのは私一人しかいない、私は自身のキーブレードを出現させ、早々に攻撃した。
「紫音、あいつ何か仕掛けてくる!」
ヒミコの性質だろうか、シャドウの一体が何か強力な攻撃を仕掛けてくる事が発覚した。私は自身の力を放出し、聖獣を繰り出した。
「お願い、フェイク!」
それは半分白で半分黒色をした仮面を被ったナイトの姿をしており、身体の殆どが作り物だった。その使用者である私さえも聖獣の名の通りフェイク、偽りの存在。まさに今の私を体現していると言える。
フェイクをコントロールし、聖獣の持つ剣は勢いよく標的であるシャドウを貫いた。
「よし、敵は後4体だよ!」
「わかりました、フェイク!」
再びフェイクはその剣でハートレスを斬りつけ、私は聖獣をコントロールしながらシャドウに向けて炎の魔法“ファイガ”を撃ち攻撃する。双方の攻撃によって敵はあっという間に全滅した。
「やったね紫音!お疲れ」
「はい!このペースなら行けそうですね」
実は何気に今のが二人での初戦闘でした。最初は私一人で戦いりせさんを守らなければならないと思っていましたが、そのりせさんのバックアップにより逆に助けられた。常に戦いは予想外だと思いました
「紫音、どうやらこの辺りにはさっきみたいな敵が蔓延ってるみたい。気を付けてね」
「了解です!……ん?」
「どうしたの?」
「向こうに……誰か見えませんか?」
りせさんが振り向いた先には一人の青年が倒れていた。身体にかなり傷を負っており、その姿には見覚えがあった。
「あれって……テラ!?」
その姿はかつて起きたキーブレード戦争に出てきたテラとそっくりだった