CROSS36【探偵王子登場】
俺――ライガと千枝とソラの三人はそれぞれの仲間を探して旅をしている途中、ハートレス達に出くわした。ただでさえ時空が不安定な上に漆黒の影の存在を考えるとやつらが呼んだのだろう。
「みんな、やるぞ!」
「オッケー!」
「了解!」
全員それぞれの武器を構え、真っ先に俺は後衛に下がった。以前も言ったと思うが俺は鈴神が来る以前はバックアップ担当だったので情報支援にも長けている。
「来い、ミストラン!」
力を放出し、自身の聖獣を呼び出した。それは一般の聖獣と比べると若干細いがまるで忍者のような容姿をしており、その聖獣が放った霧に敵の情報が表情された。
「およそ半分の敵が氷属性に弱いみたいだ」
「氷属性なら私に任せて!」
俺の聖獣ミストランにより判明したハートレスの弱点を突く為千枝が敵に向かって走り、いつの間にか自身のペルソナカードを砕いていた。
「行くよトモエ!」
以前のゴッドハンドのような物理技とは違い今回は氷魔法“ブフーラ”を放った。全体攻撃かつ氷属性であるため、ハートレス達は一気にその数を減らした。
「俺も行くぞ!」
千枝に続きソラもキーブレードを介して氷魔法“ブリザガ”を放ち、ハートレスを攻撃した。異なる時空の同じ属性の魔法により、少しずつ数が減ってきている。
「ここからは俺も前衛に出る!」
今まで後衛でバックアップをしていたが俺自身もキーブレードを持って前衛に出た。
「もう氷属性弱点の敵はいない……なら!」
今いる敵達を確認すると俺は残った敵に向けて炎魔法“ファイガ”を撃ち、殲滅したように見えたがまだハートレス達は僅かながら生き残っていた。
「まだ倒れないのか!」
ファイガを耐えたハートレスに向けて追い討ちを掛けるソラ。しかしハートレス達は突然一ヶ所に集まり、そしてなんと一つとなった。
「なにっ!?」
その姿はまるで巨大な鎧であり、見ているだけで威圧感さえ感じる。
「っ、避けろソラ!」
「えっ!?」
その刹那、見た目に合わず巨大ハートレスが素早い動きでソラを攻撃した。その一撃のみでソラは吹っ飛ばされ、さらに巨大ハートレスは信じられないほどのスピードで千枝に近付き、彼女もまた同じ目に遭った
「ぐっ……!」
「千枝っ!」
二人を助けようとした途端巨大ハートレスが一瞬で目の前に現れ、手に持っている剣を振りかざした。
「もう……駄目なのか?」
もう駄目だ、やられると確信したその時、何処からか声が聞こえた。
「伏せてください!」
その声に従いその場に伏せた途端、どの属性も感じさせない波動が空から急降下し、巨大ハートレスを射抜いた
「っ!?」
「今の、メギドラオン!?」
千枝曰く今の魔法はメギドラオン。彼女の時空に存在する魔法の中では唯一属性を持たないメギド系の魔法の最高段階で、文字通り最高クラスの威力を誇る物だ。
「大丈夫でしたか、皆さん!」
「……直斗君!?」
そこにいたのは青い帽子を被り、何処かの制服に身を包んだ少年だった。千枝は彼の事を直斗と呼んでいたが、恐らく彼の名前だろう。
「直斗君、無事だったんだ!」
「里中先輩、お待たせしました。皆さん、ここからは僕も加わります!」
その瞬間直斗の元に千枝の物とそっくりな青いカードが現れ、直斗は手に持っていた銃でそれを射抜いた。
「来い、スクナヒコナ!」
直斗の合図と共に現れたペルソナ、スクナヒコナはメギドラオンを喰らってもなお立ち続けるハートレスに近付き、目にも止まらぬ早さで斬りつけた。
メギドラオンと今の攻撃によりハートレスは深刻なダメージを負い、暫く立ち上がりそうになく完全に隙だらけとなった
「ライガ、今なら総攻撃のチャンスじゃないか?」
ソラの言うとおり、今なら全員での攻撃が可能だ。
「よし、みんな行くぞ!!」
俺の指示でソラと千枝、さらに直斗の四人で巨大ハートレスに向けて総攻撃を開始した。その結果ハートレスは消滅し、無事に勝利を納めた。
「ありがとう直斗、お陰で助けられた」
「いえ、良いですよ。それに何やら大変な事みたいですからね」
直斗は銃をしまうと、俺達に向かってこう言った。
「この事件、僕も協力します」
「あぁ、宜しく。直斗」
恐らく千枝達と共に時空の歪みに巻き込まれこの時空に迷い混んだであろう直斗はそれでも俺達に協力する事を選んだ。千枝の仲間もこれで一人目が見つかり、戦力が四人となった。だが全ての謎が解けた訳じゃない、俺達の時空を歪めてまで漆黒の影は何がしたいんだ?