CROSS46【ラクタルスクンダ、そしてランダマイザ】
禍々しい姿をした黒い堕天使、フォルエンゼルがその姿を現し、エスナは黒いレイピアを構え怪しく微笑んだ。
「貴方達では私に勝てない、絶対にね……でも、せっかくだから何処まで足掻けるか試させてもらうよ」
「勝って見せるさ!」
「そしてリーファちゃんを助け出す!」
その台詞を叫ぶと共に二人は走り出し、エスナ目掛けて剣を振るったがそれはフォルエンゼルに受け止められた。フォルエンゼルが二人の剣を押さえている隙にエスナが背後から二人を切り裂くように攻撃する
「ぐっ!」
「キリト君!」
だがキリトはアスを庇い、彼女が受けるはずだったダメージまでも負ってしまった。
「人の心配をしてる場合かな?」
「っ!きゃあ!!」
自分を庇ってくれたキリトに気を取られている隙にフォルエンゼルがアスを吹き飛ばし、さらに壁にぶつかる前にエスナが本来彼女の技であるはずのスタースプラッシュをぶつけ、かなりの大打撃を受けてしまった。
「ぐっ……!」
「アスナ!!」
「だ・か・ら……人の心配をしてる場合かっての」
キリトも同様にフォルエンゼルに攻撃され、あまりの痛みに耐えきれず倒れてしまった。何とか反撃しようと起き上がろうとするが身体が言うことを聞かない
「こいつ……聖獣を操りながら戦ってるのに、まるで疲れてない……!」
「フッ、フォルエンゼル!」
エスナの指示でフォルエンゼルはその人の手のような形の翼でアスを捕らえ、彼女は意識を失った。さらにフォルエンゼルの指の無い手から放出された紫色の煙がこのフィールド全体に発生した
「これは……?」
「“猛毒”よ。この煙が発生している限り貴方達は毒に苦しめられる。特に、フォルエンゼルに捕まって身動きの取れない閃光はどうなると思う?」
「っ!アスナ!!」
アスは今フォルエンゼルの翼に捕まっていて身動きが取れない状態にある。そんな状態でこの毒の煙の中に居続けたら最悪の場合死んでしまうだろう。
「じゃあじっくりと始末しましょうか……ラクンダ!」
エスナが指を鳴らすと共にキリトの身体にある魔法が掛けられた
「そして……タルンダ」
二つ目の魔法も先程のダメージで思うように動けないキリトに命中した。
「さらに……スクンダ」
三つ目もやはり命中し、キリトの身体がどういう訳か弱って行くのを何とか意識を取り戻したアスは目撃した。
「キリト君っ!貴女、キリト君に何を!?」
「何って……ラクンダとタルンダに、スクンダよ?」
「何よ……それ!?」
「簡単に言うと相手の能力を下げる魔法よ。これで黒の剣士はほとんどの能力を失った」
相手の防御を下げるラクンダ、攻撃力を下げるタルンダ、そして命中率や回避力と言ったスピード能力を下げるスクンダの三つを掛けられ、今のキリトは貧弱も同然の状態だった。
「そんなっ!キリト君……!」
「さて、貴女にも使ってあげる。ランダマイザ」
エスナがその魔法を唱えると今度はアスの能力が一気に下げられた。
「くっ……身体が重い!」
「ランダマイザはさっき使ったラクンダ達を一辺に使う魔法よ。つまり今の貴女は黒の剣士同様貧弱って訳」
二人とも基本的なステータスを下げられ、しかもフィールドには毒ガスが発生し、その上二人ともとても動ける状態ではなくまさに絶体絶命の状況だ
「さてとフォルエンゼル、閃光を握り潰しなさい」
エスナの指示でフォルエンゼルの翼がアスを潰そうとしたとき、部屋の扉が再び破壊される音が響いた。
「ん?」
そこにはレイ、クマ、陽介、ユイ、そして俺と言った残りの仲間達が揃っていた。