CROSS48【ストームラッシュ】
リーファを無事に救出し、後は漆黒の影の一員であるエスナを倒す事が出来れば何もかもスッキリした気分で終わる事が出来る。いや、1つだけハッキリしない事があった。それは漆黒の影のリーダーやその仲間達の意思だ。先程エスナはリーダーの望みを叶えたいと言っていた為、それほど信頼されているのだろう。してその望みとは何なのだろうか。
「まさか……妖精剣士を救出するなんて……」
口では驚いたような素振りをしているがその表情は冷静さを保ったままであり、エスナはすぐレイピアの矛先をリーファを助けたレイに向けた
「扉を二回も壊した挙げ句妖精剣士までも!!絶対に許さない!!」
一体何時まで扉の事を根に持っているのか、エスナが単身でレイとリーファに向かって斬りかかるが、レイはそれを簡単に受け止めた。何せレイは先程まで大した戦いをしておらず、それこそ今来たばかりである為疲労しておらず彼女の攻撃を受け止める事が出来た。
「フォルエンゼル!」
自分だけではこの状況を何とか出来ないと悟ったエスナは聖獣フォルエンゼルに再び指示を出し、二人を吹き飛ばそうとするがその途端に突然横槍が入った。ジライヤとキントギドウジ――陽介とクマだ
「聖獣の相手は俺達がする!」
「リーちゃん達は本体を頼むクマ!」
ペルソナ使い二人が彼女の聖獣であるフォルエンゼルを押さえてくれているのを確認したレイはエスナのレイピアを弾き飛ばし、その隙に竜巻を纏ったキーブレードで槍のように突いた。これはレイの技の一つで“ストームラッシュ”と言う
「くっ!」
間一髪攻撃を避けたエスナは後方にジャンプして移動するが、そこには二人のSAOプレイヤーが待ち構えていた。
「今だ、アスナ!」
「OK、キリト君!」
「しまっ……!」
キリトとアスのダブルソードスキルをモロに受けてしまい、かなりの痛手を負ったエスナは何とかして反撃の機会を狙うが、その前に俺が立ちはだかった。
「まさに外道だな……行くぞ、ダークフェザーレイド!!」
闇色に染まった邪悪な翼を纏い、敵に向かっていく高スピードのまま一刀両断する技“ダークフェザーレイド”でさらなる追い討ちを掛け、さらにエスナはダメージを負う。聖獣は陽介とクマに押さえられ、自分は五人に囲まれていると言う状況はエスナの心を焦らすのには十分だった
「ぐあっ……!」
「よし、行くよリーファ!」
「はい!」
その場から飛び降り、そしてエスナに向かって走り出したレイとリーファは彼女に近付き次第剣を振るい始めた。だが土壇場で先程弾かれていたレイピアを拾ったエスナは焦りを隠しきれない表情で応戦する
「ぐっ……私が負けるはず無いんだ……この私が、このような奴等に……っ……!!」
激しい接戦の末、エスナの右腕からだんだん力が抜けてきた為再びレイピアは弾かれてしまった。
「リーファ行けぇ!」
「はいっ!」
レイピアを再び弾く事に成功したレイがエスナが怯んでいる隙に全力で叫び、リーファは長い間囚われていた怒りを爆発するかのように剣を突き出した
「行っけぇぇぇええ!!」
リーファの叫びと共に彼女の剣に不思議な力が突然宿り、何と竜巻が剣の回りに発生した
「何っ!?」
「あれって……ストームラッシュ!?」
「間違いないです……先程お兄さんが使ったのと、同じ技です!」
まさに奇跡と言うか土壇場で覚醒したリーファのストームラッシュは見事にエスナを突き飛ばし、その反動でこの部屋ごとシールボードの全てのシステムを破壊してしまった。
「……そんな……私が、負けた……ぐっ!」
エスナはその表情に悔しさを浮かべ、足元にあったスイッチを叩くように押した。すると全てのシステムが落ちたにも関わらず鳴り響く警報。赤くなるシールボード内部
「これは……!?」
「フッ、今回の負けは認めてあげるけど……最後に勝つのは私達漆黒の影よ!」
「……どういう事だ!」
キリトがエスナを問い詰めるも彼女はすでにいなくなっていた。恐らく何処かにワープでもしたのだろうが、その時ユイから信じられない事実が告げられた。
「皆さん!大変な事がわかりました!先程エスナが押したスイッチは……“自爆スイッチ”だったようです!!」
「何だと!?」
「でも、さっきリーファちゃんが全てのシステムを落としたはずだよね?一体どうして……」
「アスナ、冷静に考えてみろ。そうなっても自爆スイッチを使えるようにしてるんだろう……敵もそんなにバカじゃ無さそうだしな」
「そ、それよか早く逃げよーぜ!?」
「シヌー!!死ぬるクマーー!!」
「皆さん、こっちです!!」
最短の脱出ルートを検索してくれていたユイの案内により、俺達は脱出しシールボードの爆発に巻き込まれずに済んだ