CROSS49【交流会】
俺――レイとその仲間達は間一髪の所でシールボードから脱出し、爆発に巻き込まれずに済んだ。その後爆発した廃墟からハートレスやシャドウの追っ手が来たので力を振り絞って走り、たどり着いたのは何処かの爽やかな広い草原だった。後ろを見てももう追っ手はいない
「なんとか振り切った見てーだな」
「ふぅ……私もう疲れました!」
追っ手がもう来ないことに安心した陽介と走り続けた疲れにその場に座り込むユイを見ていたリーファがみんなにこんなことを言い出した
「あの……みなさん。助けてくれて、ありがとうございます。もう少しで私完全に実験体にされる所でした」
「へっ、良いって事よ!」
「リーちゃんが無事で本当良かったクマ!」
全員にお礼を述べるリーファに陽介とクマのペルソナ組が笑顔で返した。
「キリト君がいなくなる以前にリーファちゃんも見掛けなくなってたけど、もしかしてその頃には?」
「かも知れないな。だがやつらは何故リーファを実験体に選んだんだ?」
「……理由なんて無いかもしれないぞ」
キリト君とアスナさんがリーファが捕まった時期やその理由を考えるが、ディアが口出しする事でその思考は止まった
「単純に考えて、交わった全ての時空の中で一番隙だらけだったから捕らえやすかったんだろう。ましてや、SAOに迷い始めたばかりなら尚更だ」
「なるほど……」
彼らは自分達の能力が今の時空の人間に適応するかを実験したかっただけなので言われてみればリーファである必要は無い。だが隙を突かれこちらの戦力を削ぐ事も含めて彼女は捕らわれてしまったのだろう。そして本来の実験が終わるとエスナは更なる実験の道具にしようとしたが、何とか阻止出来た
「所でリーファ、やつらに捕まってて聞いた事は?」
「レイさん、ごめん。私捕まってすぐ眠らされたから覚えてないの」
「じゃあ次に目を覚ましたのが俺がカプセルから出した時って事?」
リーファはゆっくりと頷いた。結局漆黒の影に関する情報は得られず、ひとまずこの草原でゆっくりする事にした
そんな時、ユイちゃんがみんなにある提案をした
「みなさん!せっかくみんな集まったんですし、交流会やってみたいです」
「交流会?」
「つまり、みんなの仲を深める為のパーティと言う事だね?」
ユイちゃんのその提案に誰もが頷き、今日一日はこの場所にテントを張ってここで過ごす事にした。
「ムフフ〜。実はこんなこともあろうかと、色々とイベントを考えてきたクマね」
「えっ、そんなの考えてたのか?」
「おっ、ヨースケ何だか知りたそうクマね?なら1つ目クマ!題して、“みんなで人狼ゲーム”クマっ!」
クマの言った人狼ゲームとは所謂心理パーティゲームであり、市民に化けた人狼を会話などで推理して撃破していくゲーム。誰を信じるか、誰を疑うかが勝敗の鍵を握る
「あっ、私やってみたいです!」
「おっ、早速ユイちゃんがエントリークマ!」
「ってユイちゃんにわかるわけ無いだろ……?」
「陽介、何言ってるんだ?」
陽介のごもっともなコメントに颯爽とキリト君が現れ彼を説得するように言った。
「良いから、やらせろ」
「お、おう……」
「まぁ、ユイちゃんがやるなら私も参加しようかな」
結局全員参加と言う事になり、役職の配分は騎士、占い師が一人ずつ、人狼は二人でその他が市民と言う事になった。
「来いっ!エルシオン!」
そしてあろうことか俺は自らの聖獣――エルシオンを呼び出した。しかし今回は戦う為でなく人狼ゲームの審判、及びゲームマスターをしてもらう為だ
「おいレイ、それお前がゲームマスターって事じゃないのか?聖獣はお前の意思で動くからな」
「ダイジョバ!少し指示しとけば俺の意思無しに動いてくれるから」
「そ、そうなのか……」
何故かディアは唖然としていたがとにかくエルシオンによって全員にカードが配られた。ちなみにエルシオンに聞けば今わかる情報を確認出来る為、言わばタブレット端末のような役割となってしまっている
「これか……」
俺の手に渡されたのは“騎士”のカード。毎晩一人のみ市民を人狼から守れる能力を得る事が出来る。
俺は人狼では無いため何時人狼の標的にされてもおかしく無いが他の市民となった仲間と一緒に人狼を突き止めなくてはならない