CROSS55【刈り取る者】
俺――ダークとその仲間達はこの謎の研究施設“ハミンバード”を探索している。このハミンバード――後に知った名前――を進んでいる途中に同じくこの時空に迷い混んだリクと合流し、四人となった俺達の進行を妨害したのはある一つの音だった
《報告!報告!このハミンバードに侵入者を確認!見つけ次第捕らえよ!》
施設内全てが赤く染まり、同色の光を放つランプが作動するとともに大きな警報が何度も鳴り響く
「見つかったのか!?」
「でも、まだここの人には見つかってないはず!」
「恐らくこの資料だ。これを取った時に、警報が鳴る仕組みだったんだろう」
リクの言うことが正しければ俺達は情報を得た代わりに重大なデメリットを背負ってしまった事になる。このままでは見つかるのも時間の問題なので四人全員走り出した
「ダーク君!これからどうするの!?」
「ここの親玉をぶっ叩く!そしてやつらの真相を暴くんだ!」
走りながら雪子にそう答えると目の前に早速数匹のハートレスが現れた。このタイプは“ネオシャドウ”と呼ばれるタイプで、ハートレスの中でもかなり強い部類に入る
「俺に任せろ!」
やつらが仕掛けてくる前にリクがキーブレードを構えて駆け出し、指を鳴らしただけで敵全体が時が止まったかのように動きを止め、その隙にリクが高速で切り裂いていく。一見効いていないように見えるが敵の時が再び動き始めた時、ハートレス達は先程斬られた数だけの痛みを受けた
「フッ……」
そしてハートレス達は消滅し、後には何も残らなかった。今リクが放ったのは“ダークスプライサー”と呼ばれる技であり、あのように敵の時を止めてから乱舞を繰り出し、一気に敵の体力を削る技である
「リクさん、凄い!」
雪子がリクを称えるのも束の間、さらに警報の大きさと周囲の赤さは強まっていく
「急ぐぜ!」
それだけで敵がどんどん迫ってきている事を察知した俺は三人と共にハミンバードを進み、ある大広間にたどり着いた。これだけ広いと見つかりそうなのだが、幸い監視カメラ等は着いていないようだ
「あれ見て!」
しかし、フィオが指差す先には見るからに恐ろしい剣のような長さと太さを持つ巨大な魔物が大広間の中心に浮かんでいた
「あれは……“刈り取る者”!!」
「雪子ちゃん、知ってるの?」
謎の魔物について何か知っている様子の彼女にフィオが聞き、雪子は冷静さを保ちながら全員に魔物の解説をする
「刈り取る者はあらゆるシャドウの中でも最大の強敵……無事に勝てる保証は何処にもない……!」
「つまりあれか?隠しボス見てーな」
「ダーク、こんなときに何を!」
「面白いじゃんかよ。良いぜ、やってやる!どのみちこいつ倒さなきゃ進めねーだろ!」
「そうだな」
目の前にいるのが例え超が着く程の強敵である刈り取る者であろうとも、俺達は決して臆したりせずそれぞれ武器を構えた
「行くぜ、ガントラ!」
開幕聖獣であるガントラを出現させ、黒竜の拳を一発浴びせるが刈り取る者には掠り傷すらついていなかった
「何っ!?聖獣の攻撃なんだぞ!!」
「なら僕が行くよ、シュラ!」
続いてフィオも聖獣を出現させ、無数の腕に持つ銃で射抜いたように見えたが、逆に刈り取る者の放った弾丸に跳ね返されてしまった
「そんな……フィオまで!」
「二人とも、逃げろ!」
リクが叫んだ時にはすでに遅く、刈り取る者は天高く属性無視の強力魔法“メギドラオン”を放っており、地に落ちた途端にそれは大きな爆発を起こしその反動で全員大きなダメージを喰らってしまった
「メディアラハン!」
しかし間一髪雪子のペルソナ“コノハナサクヤ”の放った回復魔法“メディアラハン”により全員がその体勢を立て直す
「ありがとな雪子!」
「えぇ!私がサポートに回るから、みんなは攻撃を!」
そう言って雪子は少し離れた場所からみんなを援護する事にした。確かにこの刈り取る者との戦いは相当厳しく、攻めとサポートをどのようにしていくかが重要そうだ
「ダークスプライサー!」
再びリクがダークスプライサーを繰り出すが流石にネオシャドウのようには行かず、大したダメージを与えられなかった上に銃で殴り飛ばされてしまった
「ぐっ!」
「リク!ぐわっ!」
だがその隙を刈り取る者は逃してはくれず、リクに気を取られた俺をその銃で確かに射抜いた。その結果聖獣を維持する力が薄れてしまい、消滅してしまった
「くっ……ガントラが!」
やつらが差し向けたであろうここの番人である刈り取る者は、想像以上の強さを誇っていた