CROSS58【謎の人工島】
俺――鳴上 悠とミッキー、そしてヒトミの三人は足立さんを倒し、氷雪地帯を抜け出した。するとそこは殺風景極まりない海岸であり、その先の海には人工島とその上に立つ巨大な施設が見えた
「あの施設……」
「もしかしたら、漆黒の影の所有物かもしれないね。行ってみよう」
「え?王様、でもどうやって……」
ヒトミの疑問に答えるかのようにミッキーがキーブレードを出し、そこから眩い光の力を解き放った。その刹那にこの海岸から謎の人工島へ続く光の橋が出来上がり、謎の施設へ行く事が出来るようになった
「さぁ、これで行く事が出来る」
「ありがとうミッキー、よし……行こう!」
「うん!」
俺達は光の橋を渡り、漆黒の影の所有物と思われる謎の施設へと足を踏み入れた。黒い首輪をつけられている為にその効力で戦う事の出来ないヒトミを二人で守りつつ、やはり現れるハートレスやシャドウを倒しながら施設内を進んでいく
一方その頃、当然この施設に潜む敵達も黙ってはいなかった
「……どうやらキリスの言っていた通り、やつらが来たようだな」
鳴冠 悠治。漆黒の影のメンバーの一人であり、組織内では雷属性を司る。鳴冠は監視カメラからこちらの様子を見ているようで、次に部屋の壁にもたれる男に目をやった
「良いか?今回始末するのはあの二人だ。くれぐれも器を傷付けるんじゃないぞ、“アクセル”」
「分かってるけど、俺の名前はアクセルじゃなくて“リア”だ。記憶したか?」
この男の名前はアクセル。赤髪を沸き上げた派手な髪型をしており、]V機関特有の黒いコートを着用している。しかし当の本人は自身の事をリアと称しており、何だか乗り気では無い様子だ
「覚えてるさ。それに任務を果たせば報酬は払うし、機関では“暗殺者”と称されたお前なら簡単な事だろう」
「……でも俺の役目はまだなんだろ?」
「あぁ、まずはこいつでテストする」
そう言うと鳴冠はアクセルではなく先に事前に呼んでおいた刺客を侵入者である俺達に仕向けた
そして俺達は今、この施設――ラミンブードの中層辺りにある大広間に来ている。だがここまで来るのに何か妙だった。何故ならこれまでハートレスやシャドウが来るのはともかく、敵の動きが静かすぎるのだ
「大分奥まで来たよね、鳴上さん」
「だがまだ中層辺りだし、気は抜けないぞ」
「そうだね、でも休憩したい!」
自身は戦えないと言うのにマイペースなヒトミがその場に座ろうとしたその時、突如この部屋全体が揺れた
「!?」
「何?何!?」
「みんな、あれを!」
ミッキーが指差す先には、いつの間にか長いマフラーのような物を巻いた白い巨人のような魔物がいた。その魔物には目らしき物は見受けられないが、その様子はまるでこちらを見ているかのようだった
「あれは……」
「あれは、トワイライトゾーン!ノーバディの一体だ!」
「ノーバディ……確かハートレスと違って心の無い脱け殻だっけ?」
「ヒトミ、悪いが話している暇は無さそうだ」
ノーバディの特徴は大体分かった物の、このトワイライトゾーンと言う魔物がどのような戦法を取ってくるのか一切わからない。恐らく漆黒の影の手先であろうトワイライトゾーンが今にも攻撃してきそうな事を察すると、俺とミッキーはすぐにそれぞれの武器を構え、ヒトミは後ろに下がった