CROSS60【静けさの理由】
俺――ライガとその一行は旅の途中海の上にかかる不審な光の橋を発見し、その向こうに謎の施設の姿を目撃した
「これは……」
「恐らく、何者かがあそこに潜入する為に作った物でしょう」
直斗の言う通りだとすればもしかしたら漆黒の影があそこに入って行ったか、もしくは逆にやつらの所有物で他の誰かが向かったかのどちらかだ
「もしかしたら、何者かって俺達の仲間かも?」
「そう言う事です、ソラ君。ライガさん、あそこに行って見ませんか?あそこに行けば、何か掴めるかもしれないんです」
確かに直斗の言う通りあの施設に行けば今この時空で起こっている事が何か分かるかもしれないし、ソラの言う通り仲間がいるのかもしれない。だがまだ誰の所有物かも分からない場所に踏み込むと言う事はかなりのリスクを伴う。だが、俺達に迷っている有余は無かった
「よし、行こう」
「うん、了解!」
そうして俺達は何故かかかっていた光の橋を渡って謎の施設へと足を踏み入れ、中を着々と進んでいった。ハートレスやシャドウは現れている物の不気味なくらい特に敵の動きが無く、まるでこちらを奥に誘っているかのようだった
謎の施設を進んでいる途中、中層辺りの大広間に白い巨人のような魔物が倒れている姿が見えた
「あれは、ノーバディ!?」
ソラの言う通りこれはノーバディと言う敵なのだが、どういう訳か俺達が来た時にはすでに倒されていた。となると考えられる事は一つしかない
「間違いありません。ここに潜入したのは、僕達の探している仲間でしょう!」
「って事は、鳴上君や花村がここにいるかもしれないって事で良いんだよね?」
「まだ誰がいるかは分かりませんが、まあそう考えて間違いでは無いでしょう」
「よし、じゃあ行くぞ!」
巨大なノーバディが倒されていたと言う事は間違いなく俺達の仲間である事に確証が持てた俺達はそれを希望としてどんどん奥へと進んでいった。その道中もやはり敵に大きな動きは無く、ハートレスやシャドウも弱い個体しか出てこなかった
そして最上部に当たる部屋の入り口前にたどり着き、千枝のペルソナ“トモエ”の攻撃によって扉を破壊する事で強引に侵入した
「!」
「ほぅ……ようやくご到着か」
激しい爆風とその反動で発生した煙が消えると、そこには以前俺と千枝を襲った剣士とその仲間らしき人物がおり、彼らと向かい合わせるようにして立っていたのは
「鳴上君!」
「王様!」
「ヒトミ、無事だったか!」
俺達の仲間だった。千枝の言葉から察するにあの大人びた雰囲気の少年が鳴上と言う人物なのだろう。そんな彼にまさかヒトミと王様まで一緒だとは思わなかったが、やっと合流する事が出来た
「里中、直斗!やっぱりお前達もこの時空に……」
「ライガさん!良かった〜!」
「ソラ、また会えて嬉しいよ」
それぞれ再会を喜んでいるのも束の間、白い剣士――キリスがその剣を抜いた
「感動の再会はそこまでだ。ここからは、俺の相手をしてもらう」
この施設に潜入するとなると、やはり戦わなくてはならない事は分かっていた。それに俺としては前回の事もあるのでここでケリを着けておきたい所だ
「鳴上さん、一緒に戦いましょう!」
「あぁ、頼むぞライガ!」
こうして二つのチームは合流し、二人のリーダーは協力して戦う事になったがその瞬間、背後から聞き覚えのある叫び声が聞こえた
「きゃあっ!」
なんともう一人の少年――鳴冠がヒトミを捕らえており、そのまま瞬間移動でもするかのように何処かへ高速で去って行ってしまった
「ヒトミっ!」
それを追いかけようとしたが、やはり立ちはだかるのは白き剣
「貴様、最初からヒトミが目的で!」
「察しが良いな、鳴上 悠。ここまで楽に来れたのはお前達が強いのではなく、我らの計画だ」
キリスはもう片方の手にも別の剣を出現させ、二刀流となると不気味に微笑んだ
「悪いが、お前達にはここでくたばってもらうぞ」
そう言うとキリスはなんとペルソナとは似て異なる力である聖獣を召喚した
「来い、ノーブルディモン!」
禍々しい悪魔の出現と共に、戦いのゴングが鳴り響く