CROSS63【タナトス】
――私ことクロナはクラインやトラヴァースタウンで出会ったロクサスと共に漆黒の影の一員であるセラを追っていた。しかしあまり難しくは考えていない。何故ならセラはこれまで2度も自分から私達の前に現れてはよくチョッカイを出してきた、だから今回も向こうから現れると踏んで捜索しているのだ
道中に立ちはだかるハートレス達を退けながら先へ先へと進み、平原は何処までも広がっていてまるでゴールと言う物が無い
「はぁっ!」
襲い来るハートレスの集団をロクサスのキーブレードが一刀両断し、それに続くようにクラインが彼の背後に迫る敵を倒した
「クロナ、残り一体だ!」
「OK!」
最後の一体にブリザガを放ち、凍らせた敵をそのまま砕いた。しかし先へ進む度にまた敵が現れると考えると、ここで喜んではいけない
「……あれは……?」
そんな私達を影から見ている人物が一人いた。私達は彼女の存在に気付く事もなく、立ちはだかる敵を倒しながら進んでいく
「まさか……ヴェン?」
謎の女性はその姿を隠しつつ私達の後をつける事にした。そんな彼女に気づかずに走る事10分、案の定やつはそこにいた
「やあやあこれは、クロナ様ご一行ではありませんか」
「セラ……」
「ご機嫌麗しゅうクロナさん、どうやら私めを探していたようで?」
「茶番はいい、俺達はお前から聞きたい事が山ほどある!」
「おっと、茶番が過ぎたか?なら良いさ。悪いが俺はここでやられる訳にはいかない」
そう言ってセラが指を鳴らすと、何処からともなく青いカードが飛来してきてセラはそれを素手で破壊した
「だから今回は、特別ゲストを用意したよ」
その言葉と共にセラの背後に黒い身体にたくさんの棺桶を羽根のようにして纏っている謎の怪物が現れた
「これはペルソナと呼ばれる物らしくてな。直接出向いて、こいつの使用者から無理矢理引き離すことで手に入れさせてもらったよ。個体名は“タナトス”と言うらしい」
セラが連れてきたと言うペルソナ“タナトス”は本来の宿主から無理矢理引き離され、手にいれたと言う。つまりタナトスは彼の言いなりにされているのである。となればやることはただ一つ、タナトスを助ける事だ
「……さて、俺はこれで失礼するよ」
そしてセラは何処かへ去ってしまい、その途端にタナトスは暴走を開始した。本来の使い手から引き離され意のままに操られてしまっているタナトスはとても苦しそうに見えた
「来るぞ!クロナ、ロクサス!」
「そんなこと!」
「分かってるわ!」
タナトスは腰から剣を引き抜きそれを地面に突き立てると、突然地面に光の魔方陣が発生し、何とかかわしたもののもし喰らっていたら人溜まりも無いだろう。しかもタナトスはその技“マハンマオン”を連発してくる為攻撃しようにも出来ない状態となってしまっている
「くっ……炎よ!」
何とか隙を見つけて炎の魔法“ファイガ”を放つがそれは隙でも何でもなく、タナトスが瞬時に引き抜いた剣に切り裂かれた。タナトスはそのまま五月雨斬りを繰り出し、私達3人同時にダメージを与えた
「きゃっ!」
「ぐっ!」
「うおわっ!!」
3人とも吹っ飛ばされ、タナトスはあろうことかメギドラまでも放ってきた。当然その爆発を避けられる状態ではないので再びダメージを喰らってしまう
「くっ……あのタナトスってペルソナ、強すぎる!」
「きっとあのセラってやつに何かされたんだ。そうじゃなきゃ、あれほどの力は出せないと思う」
ロクサスの言う通りだった。本来の使い手から引き離したと言う事はペルソナは本来使い手の行使無しでは本来の力を発揮出来ないと思われる。しかし単独でここまでの力を発揮していると言う事は漆黒の影が手を加えたとしか思えない
「おい二人とも、来るぞ!」
話している間に追い討ちをかけるようにタナトスがブレイブザッパーを放とうとしたまさにその時、何処からか私ではないブリザガが飛んできてタナトスの攻撃を阻止した
「ヴェン!」
こちらへ走ってきたのは青い髪のキーブレードを持った凛とした女性だった