CROSS71【宣戦布告】
「タケミカヅチ、真理の雷!」
「クマぁぁぁあ!!」
俺達の中で唯一アルカナセレクトの驚異を免れたクマだったが、相手はあの漆黒の影のリーダーシャドウレイ。そう簡単に行くはずもなく、自身の弱点である電撃属性最強威力を誇る“真理の雷”を放たれ俺達は全滅させられてしまった。それも、たった一人に。陽介の叫びをバックコーラスにシャドウレイは何処か儚い表情のまま背を向け、左手を翳すことで空中にモニターを出現させた。それも彼自身の上ではなく、なんと各地にいる戦士達の所に
「な……何を……!」
「俺は別に、戦いに来た訳じゃない。それにその身体ではもう戦う事も出来ないだろう、ゆっくり休め」
シャドウレイはせめてもの情けにその言葉をディアに放ち、再び背を向けると深呼吸を三回ほど行った
「俺がここに来たのは、こう言う事さ」
そう言うとシャドウレイの金色の瞳が邪悪に輝き、どういう訳か各地のモニターが無線で繋がっていた
『……各時空の英雄達よ、我が名はシャドウレイ。この交わった時空の、新たな世界の創造者』
「新たな世界の……創造者……!?」
モニター越しにシャドウレイを強く睨みつけているのはペルソナと呼ばれる力を扱う者達の所属する時空の英雄、鳴上 悠だった。無論その仲間達もシャドウレイと言う存在をその記憶に刻み付けた直後、彼の演説に耳を傾けた
『我を見てすぐに君達はすぐに思った……“何故こんな事を引き起こしたんだ”と、そうだろう?今回はそれを話すために、君達に無線で話し掛けているのだ』
「ちっ……あいつが……」
俺の相棒を自称するキーブレード使いことダークもまたこの演説を視聴しており、その仲間達も不安を募らせていた
『我々の目的は、全ての時空を破滅させ……新たな1つの世界を創る事。しかし一つ一つやっていては時間が掛かる……だから手始めに、時空の器たる二人の娘を捕らえさせてもらった』
「器……!?」
同じくこの様子を見ていたクロナが聞き慣れない単語に疑問を覚える
『器は全時空のバランスを保つ、全時空に二人しかいない存在。全てのバランスを保つほどの力を宿す事から、我々はそう呼んでいる
彼女らは元々住んでいる時空から離れると、全時空の約半分のバランスが崩れる。二人を捕らえた我々は全時空の崩壊と共に、砕け散った時空の欠片を使いこの時空を産み出した。そして時空の崩壊に巻き込まれた君達が、ここに迷い混んだ。しかし、それは想定の範囲内――計画の内さ』
『――“何故”と思っているだろう?それが、世界の……全時空の人類の望みだからだ』
「全人類の……望みだと!?」
鳴上はこの言葉に少なからず聞き覚えがあった。それは自分の時空で起こった連続殺人事件の元凶で、幾度も自分達の行く手を阻んできた者。鳴上はシャドウレイの言葉に、イザナミの姿を重ねていた
『全人類の望みにより今回の計画は実行され、こうして全ての時空は交わり……そして計画はすでに、最終段階へと入った!』
『我々は1か月後、君達に全勢力で大戦争を申し込む。この戦いに君達が勝てば計画は中止し全て元に戻そう。しかし負ければ、全ての時空は滅びを迎える』
「「「「っ!?」」」」
『元々君達がここへ迷い混んだのは運命……ならば戦いは避けられないと思っている、だから君達と戦い……人々の望みを証明する』
『我がこの時空に招待したのは、
レイ・ディアス
クロナ・アクアス
ダーク・デスト
フィオ・クラウン
霧風 ライガ
ディア・マークス
鈴神 毎夜
紫音
ヒトミ・ディアス
キリト
アスナ
クライン
リズベット
リーファ
ヒースクリフ
鳴上 悠
花村 陽介
里中 千枝
天城 雪子
クマ
巽 完二
久慈川 りせ
白鐘 直斗
ソラ
リク
王様
ロクサス
アクセル
テラ
アクア
以上の30人だ』
まさかこれほどまでの人数が漆黒の影の策略によりこの時空に迷い混んでいたとは思わなかった。シャドウレイは左手を閉じ、ギュッと握った
『集え、戦士達よ!我らの戦争の地――この時空の中心……運命と約束の地、“キーブレード墓場”に!!』
そこでシャドウレイの演説は終わった。この時空全てに放映されたその演説によると、漆黒の影が俺達全員総勢30人に戦争を申し込むらしい。1か月後にこの時空の中心にあるキーブレード墓場にて行い、その勝利者が全ての時空の運命を決める。1か月後――それまでに約束の地へ行かなければいけない
――辿り着けなければ、全時空は終わる
「大戦争……だと!?」
「そう。我々は我々の力を証明し、“今度こそ”計画を成功させる」
「今度こそ……?」
「1か月後、全ての運命が決まる。だから……」
そう言ってシャドウレイは倒れていたリーファの手を引き立ち上がらせると、なんと回復魔法で彼女を完全回復させた
「えっ!?」
「お互いの正義を示すのに、傷付いた相手に本気は出さない」
その後もシャドウレイは一人一人立ち上がらせては回復し、俺達にこう告げた
「1か月後……あえて言うなら時空の暮れ、それまでに出来るだけ多くの英雄を集め、約束の地に……約束の日に集うのだ。君達の全力の正義を、見せてくれ……」
「シャドウレイ……」
先程まで邪悪な存在だと思っていたシャドウレイに俺は違和感を感じた。まるで本来は優しく、俺達が思っているものとは正反対のような、そんな気がした。現にシャドウレイは一切不敵な笑みを浮かべておらず、まるで罪の無い命を奪う罪悪感に刈られた戦士のようだった。それを証明するかのように、彼の回復魔法に触れている間全員例外なく心が癒されていた。何よりも強い、真実の優しさに触れているような
「シャドウレイ、アスナは……無事なんだよな……?」
「まだ何とも。けど、帰ってこれるかは彼女次第じゃないかな。もっとも、約束の日に彼女の心は何処にあるのか……」
時空の暮れである1か月後に俺達は各時空の英雄達を集め、約束の地に向かう事になった。シャドウレイが言い放った言葉はあまりにも謎めいていて、何処か儚げだった
「それじゃあ1か月後、また会おう……じゃあね」
そんな何処か辛そうな表情をするシャドウレイの後ろ姿を、俺達はただ見送る事しか出来なかった。この心に抱える、無力感と不安のせいで
第1部 完
「クマぁぁぁあ!!」
俺達の中で唯一アルカナセレクトの驚異を免れたクマだったが、相手はあの漆黒の影のリーダーシャドウレイ。そう簡単に行くはずもなく、自身の弱点である電撃属性最強威力を誇る“真理の雷”を放たれ俺達は全滅させられてしまった。それも、たった一人に。陽介の叫びをバックコーラスにシャドウレイは何処か儚い表情のまま背を向け、左手を翳すことで空中にモニターを出現させた。それも彼自身の上ではなく、なんと各地にいる戦士達の所に
「な……何を……!」
「俺は別に、戦いに来た訳じゃない。それにその身体ではもう戦う事も出来ないだろう、ゆっくり休め」
シャドウレイはせめてもの情けにその言葉をディアに放ち、再び背を向けると深呼吸を三回ほど行った
「俺がここに来たのは、こう言う事さ」
そう言うとシャドウレイの金色の瞳が邪悪に輝き、どういう訳か各地のモニターが無線で繋がっていた
『……各時空の英雄達よ、我が名はシャドウレイ。この交わった時空の、新たな世界の創造者』
「新たな世界の……創造者……!?」
モニター越しにシャドウレイを強く睨みつけているのはペルソナと呼ばれる力を扱う者達の所属する時空の英雄、鳴上 悠だった。無論その仲間達もシャドウレイと言う存在をその記憶に刻み付けた直後、彼の演説に耳を傾けた
『我を見てすぐに君達はすぐに思った……“何故こんな事を引き起こしたんだ”と、そうだろう?今回はそれを話すために、君達に無線で話し掛けているのだ』
「ちっ……あいつが……」
俺の相棒を自称するキーブレード使いことダークもまたこの演説を視聴しており、その仲間達も不安を募らせていた
『我々の目的は、全ての時空を破滅させ……新たな1つの世界を創る事。しかし一つ一つやっていては時間が掛かる……だから手始めに、時空の器たる二人の娘を捕らえさせてもらった』
「器……!?」
同じくこの様子を見ていたクロナが聞き慣れない単語に疑問を覚える
『器は全時空のバランスを保つ、全時空に二人しかいない存在。全てのバランスを保つほどの力を宿す事から、我々はそう呼んでいる
彼女らは元々住んでいる時空から離れると、全時空の約半分のバランスが崩れる。二人を捕らえた我々は全時空の崩壊と共に、砕け散った時空の欠片を使いこの時空を産み出した。そして時空の崩壊に巻き込まれた君達が、ここに迷い混んだ。しかし、それは想定の範囲内――計画の内さ』
『――“何故”と思っているだろう?それが、世界の……全時空の人類の望みだからだ』
「全人類の……望みだと!?」
鳴上はこの言葉に少なからず聞き覚えがあった。それは自分の時空で起こった連続殺人事件の元凶で、幾度も自分達の行く手を阻んできた者。鳴上はシャドウレイの言葉に、イザナミの姿を重ねていた
『全人類の望みにより今回の計画は実行され、こうして全ての時空は交わり……そして計画はすでに、最終段階へと入った!』
『我々は1か月後、君達に全勢力で大戦争を申し込む。この戦いに君達が勝てば計画は中止し全て元に戻そう。しかし負ければ、全ての時空は滅びを迎える』
「「「「っ!?」」」」
『元々君達がここへ迷い混んだのは運命……ならば戦いは避けられないと思っている、だから君達と戦い……人々の望みを証明する』
『我がこの時空に招待したのは、
レイ・ディアス
クロナ・アクアス
ダーク・デスト
フィオ・クラウン
霧風 ライガ
ディア・マークス
鈴神 毎夜
紫音
ヒトミ・ディアス
キリト
アスナ
クライン
リズベット
リーファ
ヒースクリフ
鳴上 悠
花村 陽介
里中 千枝
天城 雪子
クマ
巽 完二
久慈川 りせ
白鐘 直斗
ソラ
リク
王様
ロクサス
アクセル
テラ
アクア
以上の30人だ』
まさかこれほどまでの人数が漆黒の影の策略によりこの時空に迷い混んでいたとは思わなかった。シャドウレイは左手を閉じ、ギュッと握った
『集え、戦士達よ!我らの戦争の地――この時空の中心……運命と約束の地、“キーブレード墓場”に!!』
そこでシャドウレイの演説は終わった。この時空全てに放映されたその演説によると、漆黒の影が俺達全員総勢30人に戦争を申し込むらしい。1か月後にこの時空の中心にあるキーブレード墓場にて行い、その勝利者が全ての時空の運命を決める。1か月後――それまでに約束の地へ行かなければいけない
――辿り着けなければ、全時空は終わる
「大戦争……だと!?」
「そう。我々は我々の力を証明し、“今度こそ”計画を成功させる」
「今度こそ……?」
「1か月後、全ての運命が決まる。だから……」
そう言ってシャドウレイは倒れていたリーファの手を引き立ち上がらせると、なんと回復魔法で彼女を完全回復させた
「えっ!?」
「お互いの正義を示すのに、傷付いた相手に本気は出さない」
その後もシャドウレイは一人一人立ち上がらせては回復し、俺達にこう告げた
「1か月後……あえて言うなら時空の暮れ、それまでに出来るだけ多くの英雄を集め、約束の地に……約束の日に集うのだ。君達の全力の正義を、見せてくれ……」
「シャドウレイ……」
先程まで邪悪な存在だと思っていたシャドウレイに俺は違和感を感じた。まるで本来は優しく、俺達が思っているものとは正反対のような、そんな気がした。現にシャドウレイは一切不敵な笑みを浮かべておらず、まるで罪の無い命を奪う罪悪感に刈られた戦士のようだった。それを証明するかのように、彼の回復魔法に触れている間全員例外なく心が癒されていた。何よりも強い、真実の優しさに触れているような
「シャドウレイ、アスナは……無事なんだよな……?」
「まだ何とも。けど、帰ってこれるかは彼女次第じゃないかな。もっとも、約束の日に彼女の心は何処にあるのか……」
時空の暮れである1か月後に俺達は各時空の英雄達を集め、約束の地に向かう事になった。シャドウレイが言い放った言葉はあまりにも謎めいていて、何処か儚げだった
「それじゃあ1か月後、また会おう……じゃあね」
そんな何処か辛そうな表情をするシャドウレイの後ろ姿を、俺達はただ見送る事しか出来なかった。この心に抱える、無力感と不安のせいで
第1部 完