天然巫女の誕生祝祭【ANOTHER】
※今回はキングダムハーツ【Five・Blade/another】設定です。また、時系列的には前回と同様です。予めご了承ください
春、それは1年の集大成であり新たな始まりでもある。それはあたし――マリム・ディアスすら同様だ。これまで様々な事があったが、あたしはそれらをまるで昨日の事のように鮮明に覚えている。しかし、それももうすぐ過去の事になろうとしているのだ。ダークもフィオも家から出ていき、あたしの家は何もかもとまでは行かないが元に戻った。二人が来る前の三姉妹だけの家だが、やはりあの二人――特にダークがいないとこうも寂しいとは思わなかった。相棒であり、あたしがもっとも気に掛けている男。1つ年上だけど幼馴染みの都合上特別気を使った事は無い。そんなかけがえの無い存在は、自立する為にディアス家を後にした。あたしは“頑張ってこい”と背中を押したが、やはりこの寂しさだけは消えてくれない
「マリム?」
「ん、何だぜ?クロナ」
彼女はあたしの無二の親友クロナ。あたしにとっては無くてはならない人物であり、彼女には何回助けられたか分からないほどである。ずっと一緒にいるから分かるがクロナは美人でありかなりモテるが、どうやら彼氏が不在らしい。一応告白を受けている事は某藍色逆立ち頭から証言を受けているが、その度に断っているとか
「いや、何でもないよ。マリム、思い詰めた顔してたから」
「そ、そうか?あたし、そんな顔してねぇぜ?やだなー……何時もヘラヘラ笑ってるはずのあたしが……」
「やっぱり、ダーク君の事?」
見透かされた。やはり無二の親友は、あたしの事なんかお見通しだった
「もう、思いきって告白しちゃえば良いのに」
「へっ、されたヤツに言われても説得力ねーぜ」
クロナは実はあたしがいなかった頃にダークからの告白を受けている。だがそこはクロナ、案の定断っている。だがダークは断られると分かってやった。それでも自分の気持ちに嘘はつきたくないからとの事で、後悔所か寧ろスッキリしていた。やっぱりそう言う所が羨ましいが、ダークがクロナに想いを寄せていたと思うとどうしてか心が痛む
「あたしゃそんな簡単に言うほど単純じゃねーぜ?アイツを想いっきりぶっぱして勝って、盛大にガッツポーズしてからこの想いをぶつけてやらぁ」
「フフッ、マリムらしいやり方ね。ダーク君が可哀想だけど、まぁダーク君だからいっか」
「へっ、たまには上手い事言うじゃねぇか!」
「たまにはって何よ!?」
それからもあたし達は様々な話で盛り上がった。世間話や下らない話をしている内に時は経ち、気が付いた時には1時計の針が19時を回っていた
「そういやさ、クロナって彼氏作らねぇのか?いや……お前美人だしモテるのに断り続けてるらしいから、気になっただけなんだぜ」
「あぁ……」
クロナは思いふけるように夜空を見上げると、何処か遠くを見つめているような綺麗な瞳でその景色を視界に写し、その手を伸ばした
「私ね、待ってるんだ。私が本気で守りたいって思える人を。まるで、マリムみたいな」
「あたしみたいな?」
「うん。優しくて、元気で、私の事を誰よりも想ってくれて。ちょっと天然だけど、みんなの光――希望となれる男の子。そんな人を、待っている」
クロナが待っていると言う少年、少なくともあたしは心当たりがあった。こことは似てる世界だけど、全く違う世界に住むもう1人の“光の勇者”。異なる平行世界に住む存在は互いに干渉出来ないけど、あたしは彼を知っていて、しかもそれは向こうではちゃんとクロナと仲良くやっている。だが、向こうの平行世界での彼はこちらではあたし。表裏一体。住む世界が違うだけで、あたし達は同じなのだ
「……きっと会えるんだぜ」
「え?」
「あたしが言えたタチじゃねぇが、クロナは寧ろそいつを探すべきじゃねぇかな?以前あたしを探しにみんなで夢の世界に来た時みたいに。そしたら、何れ会える。少なくともあたしは、そう思うのぜ」
「マリム……」
「なんなら、あたしが付き合ってやろうか?」
「はぁ!?それは流石にちょっと……って言うかマリム!貴女ただでさえ百合疑惑あるのに!」
「へっ、言っとくけどあたしはクロナとなら百合に間違われても構わないぜ!だって、親友だもんな!」
「良いこと言ってるつもりだろうけど、言葉の使い方を間違えてるよっ!!」
この世界にも、平行世界のあたし――もとい“彼”みたいな存在はいるのだろうか。いや、きっといるはず。そうだよな、レイ兄貴
「クロナ、遅れたけど誕生日おめでとうだぜ!」
「俺からも、本当におめでとうクロナ」
春、それは1年の集大成であり新たな始まりでもある。それはあたし――マリム・ディアスすら同様だ。これまで様々な事があったが、あたしはそれらをまるで昨日の事のように鮮明に覚えている。しかし、それももうすぐ過去の事になろうとしているのだ。ダークもフィオも家から出ていき、あたしの家は何もかもとまでは行かないが元に戻った。二人が来る前の三姉妹だけの家だが、やはりあの二人――特にダークがいないとこうも寂しいとは思わなかった。相棒であり、あたしがもっとも気に掛けている男。1つ年上だけど幼馴染みの都合上特別気を使った事は無い。そんなかけがえの無い存在は、自立する為にディアス家を後にした。あたしは“頑張ってこい”と背中を押したが、やはりこの寂しさだけは消えてくれない
「マリム?」
「ん、何だぜ?クロナ」
彼女はあたしの無二の親友クロナ。あたしにとっては無くてはならない人物であり、彼女には何回助けられたか分からないほどである。ずっと一緒にいるから分かるがクロナは美人でありかなりモテるが、どうやら彼氏が不在らしい。一応告白を受けている事は某藍色逆立ち頭から証言を受けているが、その度に断っているとか
「いや、何でもないよ。マリム、思い詰めた顔してたから」
「そ、そうか?あたし、そんな顔してねぇぜ?やだなー……何時もヘラヘラ笑ってるはずのあたしが……」
「やっぱり、ダーク君の事?」
見透かされた。やはり無二の親友は、あたしの事なんかお見通しだった
「もう、思いきって告白しちゃえば良いのに」
「へっ、されたヤツに言われても説得力ねーぜ」
クロナは実はあたしがいなかった頃にダークからの告白を受けている。だがそこはクロナ、案の定断っている。だがダークは断られると分かってやった。それでも自分の気持ちに嘘はつきたくないからとの事で、後悔所か寧ろスッキリしていた。やっぱりそう言う所が羨ましいが、ダークがクロナに想いを寄せていたと思うとどうしてか心が痛む
「あたしゃそんな簡単に言うほど単純じゃねーぜ?アイツを想いっきりぶっぱして勝って、盛大にガッツポーズしてからこの想いをぶつけてやらぁ」
「フフッ、マリムらしいやり方ね。ダーク君が可哀想だけど、まぁダーク君だからいっか」
「へっ、たまには上手い事言うじゃねぇか!」
「たまにはって何よ!?」
それからもあたし達は様々な話で盛り上がった。世間話や下らない話をしている内に時は経ち、気が付いた時には1時計の針が19時を回っていた
「そういやさ、クロナって彼氏作らねぇのか?いや……お前美人だしモテるのに断り続けてるらしいから、気になっただけなんだぜ」
「あぁ……」
クロナは思いふけるように夜空を見上げると、何処か遠くを見つめているような綺麗な瞳でその景色を視界に写し、その手を伸ばした
「私ね、待ってるんだ。私が本気で守りたいって思える人を。まるで、マリムみたいな」
「あたしみたいな?」
「うん。優しくて、元気で、私の事を誰よりも想ってくれて。ちょっと天然だけど、みんなの光――希望となれる男の子。そんな人を、待っている」
クロナが待っていると言う少年、少なくともあたしは心当たりがあった。こことは似てる世界だけど、全く違う世界に住むもう1人の“光の勇者”。異なる平行世界に住む存在は互いに干渉出来ないけど、あたしは彼を知っていて、しかもそれは向こうではちゃんとクロナと仲良くやっている。だが、向こうの平行世界での彼はこちらではあたし。表裏一体。住む世界が違うだけで、あたし達は同じなのだ
「……きっと会えるんだぜ」
「え?」
「あたしが言えたタチじゃねぇが、クロナは寧ろそいつを探すべきじゃねぇかな?以前あたしを探しにみんなで夢の世界に来た時みたいに。そしたら、何れ会える。少なくともあたしは、そう思うのぜ」
「マリム……」
「なんなら、あたしが付き合ってやろうか?」
「はぁ!?それは流石にちょっと……って言うかマリム!貴女ただでさえ百合疑惑あるのに!」
「へっ、言っとくけどあたしはクロナとなら百合に間違われても構わないぜ!だって、親友だもんな!」
「良いこと言ってるつもりだろうけど、言葉の使い方を間違えてるよっ!!」
この世界にも、平行世界のあたし――もとい“彼”みたいな存在はいるのだろうか。いや、きっといるはず。そうだよな、レイ兄貴
「クロナ、遅れたけど誕生日おめでとうだぜ!」
「俺からも、本当におめでとうクロナ」
■作者メッセージ
さて、レイ君とマリム、それぞれ二人の主人公にもう1人の主人公クロナの誕生祝祭を祝ってもらいました!(なんかすごいややこしい言い方した(笑))
因みに最後の方にマリムとレイの祝い台詞を入れましたが、レイって気づくだろうか……分かりにくくてすみませんm(_ _)m
another設定なのでクロナには恋人はいませんが、マリムの言っている彼が誰なのかは分かると思います。
それでは!
因みに最後の方にマリムとレイの祝い台詞を入れましたが、レイって気づくだろうか……分かりにくくてすみませんm(_ _)m
another設定なのでクロナには恋人はいませんが、マリムの言っている彼が誰なのかは分かると思います。
それでは!