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KINGDOM HEARTS U

960

INDEX

  • あらすじ
  • 01 第一話  「謎の少女との夏休み」
  • 02  第二話  「疑い」
  • 03  第三話  「犯人」
  • 04 第四話  「写真」
  • 05 第五話  「クローネ。ナミネ」
  • 06 第六話  「まやかし」
  • 07 第七話  「ストラグルバトル」
  • 第六話  「まやかし」



     どれくらい経ったんだろう・・・

     分からない・・・

     あの後、俺は―――――・・・





     目をあけると、そこは何もない、真黒な暗闇の中だった。

    「何だ、コレ・・・。ここは・・・。」

    その空間はただ真っ黒で、ナミネも、クローネも、サイファーも、あの銀色の生き物も―――――何も、誰もいなかった。





     “―――――よぉ。久しぶりだな。”





    そしてそんな中、一つの声が響き渡る。“久しぶり”、そんな言葉がただの虚偽である事は分かっていた。声から察すると声の主は自分とそう歳の変わらない少年である事は即座に理解出来たが、ロクサスの記憶のどこを探しても、こんな恐ろしく落ち着いていて、そしてどこか挑発的な声をした知り合いはいない。

    「誰だッ!?」

    ロクサスは即座にキーブレードを出現させ、変わることのない闇の中視線を四方八方に飛ばした。すると自身の目の前が、いや空間そのものが一瞬にして真っ白な光に包まれた場所へと姿を変え、その眩しさにロクサスは思わず目をくらませる。新しく表れたその空間はナミネと会ったあの白い部屋に似ていた。大理石で作られた壁に、それに高さの違う13個の椅子。そしてロクサスはその部屋の中央で、自分をじっと見つめている黒いコートをかぶった少年の姿を見つける。
     ナミネと一緒にいた男と同じ黒いコート。でもこんな人間は、見た事がない。

    「随分と苦労してるんだな。当たり前だった日常が崩れていく気分ってのはどんなだ?―――――不安、か・・・?」

    フードをかぶっている少年はゆっくりとロクサスに近付きながらそう問うた。顔こそ分からないものの、その口調はロクサスを知っているように思われる。

    「・・・何なんだ、お前達・・・。“ソラ”や“キーブレード”と関係あるのか・・・!?」

    「そうだな。まあない事もないが・・・・・・俺よりはお前の方が繋がりのある事だと言おうか。それと、『俺達』に何者かを聞くのは愚問に値する。」

    少年はロクサスのほんの手前まで来て歩みを止めると、その手でゆっくりとフードを脱いだ。中から現れたその素顔に、ロクサスは自身の顔が瞬時に歪んだのを悟った。予想外、想定外、驚愕、動揺、色々な物が一気に吐き出しそうになるくらいの衝動でロクサスを襲ったが、その『感情』をすぐさま言葉に表す事は、まだ幾派も歳を取っていないこの少年にはいささか難しすぎる事だったのかもしれない。思考が停止し、頭の中が真っ白になり、そうしてそんな自分を見て口元を笑わせている少年に対し、ロクサスはただただ目を細める事しかできなかった。

    「『驚いた』、か?そりゃそうか、確かに何も覚えてないんじゃ俺の顔は衝撃が強すぎるな。」

    「・・・おま・・・その顔・・・・・・ッ。」

    「記憶の鎖からの一時的な開放でお前は本当に人間らしくなった。俺も『驚いてる』よ。が、そんなものはまやかしに過ぎない。この顔がその証明だ。俺達は影であり続ける。本物になんて決してなれはしない。」

    少年がゆっくりと手を伸ばす。

    「お前が信じているものは全て―――――まやかしだ。」

    「――――――ッ!!」

    そうして突き飛ばされて、ロクサスは再び意識を失った。






    「―――――余計な事をするな。」

     闇の回廊が開き、中から現れた黒いコートを着た少年に、男は言った。言葉に少年は無言で何も答えなかったが、その口元に浮かべている笑みは、少なからず男の機嫌をより損ねた。顔中赤い包帯で覆われたその男、ディズは、光景を見詰めるナミネともう一人の黒コートの男を視界の端でとらえると、そのまま部屋を出て行ってしまう。

    「・・・ロクサスと会ってたの?」

    「あぁ。」

    「やっぱり、彼の事が心配・・・?」

    少し物憂げな表情でそう尋ねたナミネに、少年はゆっくりと焦点を合わせた。

    「『最後』になるかもしれないから、上塗りされた記憶に刻んでやっただけだ。心配なんざしてないし、俺達にそういうのは出来ない。」

    「・・・・・・『ソラ』と干渉させるつもりなんだね、クローネの事。」

    「それも愚問だ。あの二人は俺達が何もしなくたって繋がる。最初っから決まってる事だ。」

    「―――とにかく、これ以上余計な事はするな。“ルクシア”が帰ってき次第、次の段階へ入る。」

    ナミネとの会話の間黙っていたコートの男が口を開いた。それに対し少年は了解、とだけ答えるとディズ同様部屋をあとにする。バタン、という音が無言な部屋にこだまし、少年の姿が見えなくなったのを確認すると、ナミネは男に向かって言葉を紡いだ。意味深な言葉だった。

    「彼、急いでるんだと思う。もうすぐ“彼ら”がロクサスを消しに来るから・・・。他の人よりも先の事が視えてるから・・・。彼は―――――アルヴィスは、ロクサスの―――――・・・





















    ・・・―――――『親友』だったもの。」


    17/12/03 05:16 960   

    ■作者メッセージ
    長らくご無沙汰してました。

    えー、実は本年度から私が本格的に大学受験生になる為に、亀だった更新がさらに遅く、というよりも途絶えてしまう可能性大です(汗
    呼んでいただいていた皆様、本当に申し訳ありません!

    たまにですが、暇ができ次第FFの方と並行して更新させていただきたいと思います。

    最後に、3Dのムービーを見ましたが、KHファンにとってあれはたまらないですね、すごいテンションが上がってしまいました(笑

    では、またw
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