CHAPTER39【伝説の真実 中編】
「暗黒竜が復活しつつあるとすれば、DEDか。」
ライガは黙って頷いた。アンチネスの真実はあまりにも信じがたい物であった為、もう何が起こってもおかしくないと思っているようだ。
「DEDは、人々を無理矢理ハートレスやアンチネスに変えて、その心を暗黒竜に捧げている。つまり、最悪の場合、伝説の悲劇が現代に繰り返される。」
次に口を開いたのはライガだった。シュージは無言のまま頷き、今度はシュージがページをめくる。
第6ページ
『崩壊の村に生き残った勇者あり。その勇者、闇の少女を止めたいと誓い、天より鍵のような剣を授かる。』
「キーブレードか。となると、この勇者は『光の勇者ヒカリ』だな。」
「そして、このキーブレードこそがレイの持つ『レイムチェーン』………。」
「つ、続きを読んでみよう。」
第7ページ
『その剣は勇者に力を与え、化け物と化した村人達を蹴散らした。闇の少女はそれに驚愕したが、暗黒竜の力を使い、勇者を倒そうとした。その時、剣が七色の光を放ち、暗黒竜の攻撃を見事防いだ。この力、【虹の力】と呼ばれる。』
「虹の力!?」
「だが、レイはそんな力を使って無かった。」
「続きを読んでみよう!」
第8ページ
『闇の少女は撤退し、勇者は生き残る。その後暗黒竜は世界各地に現れてはたくさんの集落を破滅させた。村人の存在は歪められ孤独となりし勇者は剣から発される光に導かれ、永久の旅に出る。』
第9ページ
『旅先にて突如剣から声がした。その声は勇者に炎、氷、雷、闇を司る勇者を探すよう伝え、この勇者、ヒカリは残り四人の勇者を探す事を決意する。』
「永久の旅だと?」
「確かに、気になるな。」
おとぎ話でしか聞いたことのないファイブ・ブレード伝説の真実が少しずつ明らかになっていき、驚きを隠せない二人。二人は更に伝説の真実を知るために本を読み進める。
『灼熱の豪火が燃えたぎる火山に向かった勇者はそこでラヴァルという名の青年と出会い、エンキもまた炎の鍵の剣を授かりし勇者だった。ラヴァルの住んでいた集落も暗黒竜に滅ぼされたらしく、二人は共に戦う事を決意する。
次に向かったのは凍える吹雪が吹き荒れる樹氷の森。二人はある人物に襲われた。氷のように冷めた少女、この樹氷の森に閉じ籠もり、人を信ずる事を止め、この森に入るものを凍てつかせ、孤立してきたが、ヒカリによって少女ヒョウコは救われ、ヒカリの旅に同行する事に。
次に向かった地は雷鳴轟く雷の大地。そこに神速の速さを持つ男、ライジンあり。ヒカリ達は彼に今世界に起こっている事を伝え、ライジンは躊躇するが、旅に同行する事に。
旅の途中、ヒカリ達はついにあの村を襲った闇の少女イルムと対峙する。だが、戦いの中、ヒカリの剣がイルムに奪われ、そのまま逃げられてしまった。ヒカリはその時天に嘆きを叫ぶ。
そしてその剣を暗黒竜に手渡し、暗黒竜はその剣を見て、それを闇に包み込んだ。やがて剣は闇から解放され、闇はその形をみるみる変えて、1つの剣の姿となった。ブラックパラデスと名付けられしその剣を握ったイルムはその剣から溢れる闇の力に支配され、今まで利用してきた暗黒竜に逆に利用される事になった。
その後、暗黒竜にヒカリの抹殺を命じられたイルムはヒカリ一行の前に現れ、対峙した。剣を失い、戦う術を無くしたヒカリを助けようとエンキ、ヒョウコ、ライジンが闇の少女を食い止める。その隙にヒカリは影の化け物達の妨害を掻い潜り、剣を取り戻した。だが――――――――、