CHAPTER40【伝説の真実 後編】
『だが、突然暗黒竜が天より現れ、ヒカリを襲った。ヒカリが攻撃を仕掛けても、何故か聞いていない。まるで不思議な力に守られているようだ。そのままなす術もなくヒカリは這いつくばる事になった。
暗黒竜が止めを刺そうとしたその時、ヒカリの仲間達が駆けつけ、みんなで暗黒竜の攻撃からヒカリを守り抜いた。だが、三人とも深傷を負ってしまい、もう一度でも攻撃を喰らえば簡単に死んでしまうだろう。
しかもイルムまでこの場に到着し、絶望的としか言いようがないこの状況だが、ヒカリは諦めなかった。精一杯の叫びと共に、イルムの持つブラックパラデスを渾身の力で吹っ飛ばした。
すると、イルムは突如苦しみ始め、倒れかかった所をヒカリが受け止める。そこを暗黒竜が邪悪なブレスで攻撃しようとしたが、ヒカリの鍵から突如光が放たれ、その光は七色の壁を産み出し、その壁は暗黒竜の邪悪なブレスを受け止めた。その隙にヒカリ一行はイルムを連れてその場を逃れた。
やがてイルムが目覚めるが、彼女は記憶を失っていた。』
「「なにっ!?」」
二人の絶叫が図書館全体に響く。二人はこの信じられない伝説の真実の連続を信じるしかなく、本の記事を読み進める。
『どうして記憶を失っていたのか?勇者達がそう疑問に思っていると、ヒカリの鍵の剣から突如声がした。それはとても優しい声だった。
声は自分の事を【キングダムハーツ】と名乗り、イルムの記憶が失われたのは、あの闇のキーブレード、ブラックパラデスを手放したからだと語る。どうやらブラックパラデスは、手に取った人の心を闇で操り、手放そうとする、もしくは手放すと記憶を全て消されるという物のようだ。
キングダムハーツを名乗る声はこの場に五人の勇者が集ったと語る。以前ヒカリが心に誓った事。それは自分を含めた炎、氷、雷、光、闇の合計五人の勇者を集め世界を救う事。ヒカリはその事を今気がついた。
キングダムハーツの声はヒカリの鍵の剣にヒカリを除く勇者達の力を注ぎ、そして全ての心の力も授け、ヒカリの剣を強化してくれた。
姿まで大きく変わったその剣を手に取り、四人に見送られ、ヒカリは暗黒竜の元へ向かう。
暗黒竜と光の勇者の戦いは、多くの世界を巻き込み、滅びた世界が後を経たない。この激しく長い戦いに、ついに終止符が打たれる。
暗黒竜はキングダムハーツに力を与えられた剣の力により封印され、この世に平和が訪れた。その後勇者達はヒカリが暗黒竜を封印する際に使った剣を【レイムチェーン】と名付け、この力を悪用されぬよう、レイムチェーンや他の勇者の剣にも封印を施した。その際にレイムチェーンは再び姿を変え、歴史の奥深くに封印された。
―以上、これが伝説に語られる物語である――』
「なるほど―――。」
「後のページは、用語集になってるようだな。」
「だからこんなに分厚いのか。」
本の異常な分厚さを見て、呆れた様子でライガが言った。こんなにも衝撃の真実を知った上に用語集まで読まなければならないとなると、流石に二人ともお手上げである。
「なぁシュージ。」
「ん?」
ライガがファイブ・ブレード伝説の真実が記された本を担ぎ立ち上がって言った。シュージもそれにつられるようにして立ち上がり、先程まで座っていた椅子を元に戻した。
「この事を、みんなに報告しよう。もしDEDの目的が暗黒竜の復活だとしたら、この伝説が役に立つかもしれない!」
ライガの提案に躊躇いもなくシュージは強く頷き、二人はそのまま本を借り、図書館を出た。二人はまだ本のページの本の一部を見たに過ぎない。そう、今回のように謎が解かれる時があれば、何時しかまた新たな謎が生まれて来るのだ