CHAPTER41【暗黒の鍵の呪い】
「なるほど―――。」
あのあとシュージとライガはディズニーキャッスルを訪れ、本に記されていた事実を鈴神に伝えた。 この場にはフィオとソラが居合わせており、二人とも驚いているが、鈴神だけは落ち着いた表情をしている。
「実を言うと、ブラックパラデスの存在は知っていました。」
不意に開かれた鈴神の口から信じられない言葉が発された。四人はほぼ同時に『えぇっ!?』と絶叫し、一気に全員の視線が鈴神に集まる。
「【ダークエンドドラゴン】により作られ、手にした者の心を闇で支配するという、最悪のキーブレードです。」
「ダークエンドドラゴン?」
鈴神の解説の中に聞き覚えのない言語が含まれていたのが気になったフィオは鈴神に聞く。だが他の三人は何となくダークエンドドラゴンの意味を理解しているような表情であり、フィオは『教えてよ!』と言わんばかりの眼差しで三人を見上げる。まだ理解していないフィオにソラが辛そうに言った
「恐らく、ファイブ・ブレード伝説に出てくる暗黒竜………それがダークエンドドラゴンなんだ。」
よく見るとソラは額に汗をかいている。先程リクからゼアノートの事を聞いたばかりだが、こうも立て続けに衝撃的な話を聞くと、頭がこんがらがるのだろう。
「そうです。伝説に語られる暗黒竜、それがダークエンドです。ダークエンドが何故このようなキーブレードを産み出したかと言いますと、」
鈴神はみんなの表情を一通り見る。みんな不安そうな顔をしている。ここまでわからない事や信じられない事が増えてくるとなると、不安になるのも無理はない。
「ダークエンドは、キーブレードの力を自分側の力とすることで、勇者達を滅ぼそうと計画したのです。ですが、このキーブレードを使った闇の勇者シリカは敗れ、このキーブレードを手放しました。その時に記憶を失ったのは何故だと思いますか?」
突然の鈴神からの質問に全く対応する様子を見せない四人。本の記事を見る限りはあの鍵の力だと考えるのが打倒だが、それはあくまでも仮説に過ぎない為、確信は出来ない。つまりわからないのだ。
「わかりませんか?なら説明します。」
そう言って鈴神は近くにあった椅子に腰を掛けた。元々小柄だが、案外座高は低く見える。
「ブラックパラデスには、とある呪いがあるのです。その名も………【メモリーアウト】。」
「メモリーアウト?」
「もしかして、記憶が消える呪いじゃあ………?」
「正解ですライガさん。」
ライガの仮説を正解だと発言する鈴神。その長い髪を整えながら話を続ける。
「あのキーブレードを使っていると、心が闇に侵食されます。その時に所持者の身体に少しずつ闇が侵入していき、さらに闇に溶け込んでしまいます。そしてキーブレードを手放した時、その闇達が所持者の身体に攻撃を開始し、やがて身体も意思も記憶も、全て消されます……」
ブラックパラデスの記憶が消える原理を聞いた四人は非常に驚いた。だが、ただ一人フィオだけはいまいち理解出来ていない様子。
「え〜とつまり、どういう事?」
「つまり、ウィルスみたいな物です。身体に侵入してくる闇をウィルスだと例えると、キーブレードを手放す事がトリガーとなって、内部からの攻撃を一斉に開始するという物です。」
「なるほど………」
やっと理解したフィオは更に不安そうな表情になる。だがその表情よりも明らかに深刻な表情をしている人物がいた。ソラだ。ソラは一度だけブラックパラデスを所持した彼と対峙した事がある為、真剣に悩んでいた。彼を救うには、どうすれば良いんだろう。そして、不意にソラの口が開かれた。
「ブラックパラデス、俺見たことある……。」
「「「えぇっ!?」」」
ソラの突然の発言に鈴神以外の三人は驚き、鈴神を見る。すると鈴神は頷き、立ち上がる。
「間違いありません!この世界に、良からぬ事が起きようとしています!」
鈴神の発言にただ頷く事しか出来ない一同。ソラの丁度隣にいたシュージがソラに聞く。
「所で、誰がブラックパラデスを持っていたんだ?」
だが、その質問にソラは答えられなかった。何故なら所持者は彼。つまりみんなにとって大切な存在。そんな人物がブラックパラデスを使っていたという事を伝えるとなると、恐らくみんなが彼の闇化に絶望し、戦う気力を無くすだろう。仮に無くさなかったとしても彼に襲われ、重傷を負い、戦う事が出来なくなる。いや、そもそも信じられないかもしれない。
「さ、さぁ?忘れちゃったよ…………。」
そう言うしかなかった。ソラはみんなをこれ以上不安にさせない為にあえて嘘をついた。心の中では後悔しながらも、これでいいと自分に言い聞かせる。
「………。」
鈴神はその粒羅な瞳で黙って俯くソラを見つめる。それを感じたソラは自分の考えている事が読まれている気がしてならなかった。その時フィオが扉の前に立ち、
「悪いけど、ちょっと僕、紫音のお見舞い行ってくるね!」
そう言って扉を開いて走っていった。恐らくフィオは悩んでいるソラを見て、気を使ったのだろう。残った四人のいるこの部屋に暫く沈黙が続いた
あのあとシュージとライガはディズニーキャッスルを訪れ、本に記されていた事実を鈴神に伝えた。 この場にはフィオとソラが居合わせており、二人とも驚いているが、鈴神だけは落ち着いた表情をしている。
「実を言うと、ブラックパラデスの存在は知っていました。」
不意に開かれた鈴神の口から信じられない言葉が発された。四人はほぼ同時に『えぇっ!?』と絶叫し、一気に全員の視線が鈴神に集まる。
「【ダークエンドドラゴン】により作られ、手にした者の心を闇で支配するという、最悪のキーブレードです。」
「ダークエンドドラゴン?」
鈴神の解説の中に聞き覚えのない言語が含まれていたのが気になったフィオは鈴神に聞く。だが他の三人は何となくダークエンドドラゴンの意味を理解しているような表情であり、フィオは『教えてよ!』と言わんばかりの眼差しで三人を見上げる。まだ理解していないフィオにソラが辛そうに言った
「恐らく、ファイブ・ブレード伝説に出てくる暗黒竜………それがダークエンドドラゴンなんだ。」
よく見るとソラは額に汗をかいている。先程リクからゼアノートの事を聞いたばかりだが、こうも立て続けに衝撃的な話を聞くと、頭がこんがらがるのだろう。
「そうです。伝説に語られる暗黒竜、それがダークエンドです。ダークエンドが何故このようなキーブレードを産み出したかと言いますと、」
鈴神はみんなの表情を一通り見る。みんな不安そうな顔をしている。ここまでわからない事や信じられない事が増えてくるとなると、不安になるのも無理はない。
「ダークエンドは、キーブレードの力を自分側の力とすることで、勇者達を滅ぼそうと計画したのです。ですが、このキーブレードを使った闇の勇者シリカは敗れ、このキーブレードを手放しました。その時に記憶を失ったのは何故だと思いますか?」
突然の鈴神からの質問に全く対応する様子を見せない四人。本の記事を見る限りはあの鍵の力だと考えるのが打倒だが、それはあくまでも仮説に過ぎない為、確信は出来ない。つまりわからないのだ。
「わかりませんか?なら説明します。」
そう言って鈴神は近くにあった椅子に腰を掛けた。元々小柄だが、案外座高は低く見える。
「ブラックパラデスには、とある呪いがあるのです。その名も………【メモリーアウト】。」
「メモリーアウト?」
「もしかして、記憶が消える呪いじゃあ………?」
「正解ですライガさん。」
ライガの仮説を正解だと発言する鈴神。その長い髪を整えながら話を続ける。
「あのキーブレードを使っていると、心が闇に侵食されます。その時に所持者の身体に少しずつ闇が侵入していき、さらに闇に溶け込んでしまいます。そしてキーブレードを手放した時、その闇達が所持者の身体に攻撃を開始し、やがて身体も意思も記憶も、全て消されます……」
ブラックパラデスの記憶が消える原理を聞いた四人は非常に驚いた。だが、ただ一人フィオだけはいまいち理解出来ていない様子。
「え〜とつまり、どういう事?」
「つまり、ウィルスみたいな物です。身体に侵入してくる闇をウィルスだと例えると、キーブレードを手放す事がトリガーとなって、内部からの攻撃を一斉に開始するという物です。」
「なるほど………」
やっと理解したフィオは更に不安そうな表情になる。だがその表情よりも明らかに深刻な表情をしている人物がいた。ソラだ。ソラは一度だけブラックパラデスを所持した彼と対峙した事がある為、真剣に悩んでいた。彼を救うには、どうすれば良いんだろう。そして、不意にソラの口が開かれた。
「ブラックパラデス、俺見たことある……。」
「「「えぇっ!?」」」
ソラの突然の発言に鈴神以外の三人は驚き、鈴神を見る。すると鈴神は頷き、立ち上がる。
「間違いありません!この世界に、良からぬ事が起きようとしています!」
鈴神の発言にただ頷く事しか出来ない一同。ソラの丁度隣にいたシュージがソラに聞く。
「所で、誰がブラックパラデスを持っていたんだ?」
だが、その質問にソラは答えられなかった。何故なら所持者は彼。つまりみんなにとって大切な存在。そんな人物がブラックパラデスを使っていたという事を伝えるとなると、恐らくみんなが彼の闇化に絶望し、戦う気力を無くすだろう。仮に無くさなかったとしても彼に襲われ、重傷を負い、戦う事が出来なくなる。いや、そもそも信じられないかもしれない。
「さ、さぁ?忘れちゃったよ…………。」
そう言うしかなかった。ソラはみんなをこれ以上不安にさせない為にあえて嘘をついた。心の中では後悔しながらも、これでいいと自分に言い聞かせる。
「………。」
鈴神はその粒羅な瞳で黙って俯くソラを見つめる。それを感じたソラは自分の考えている事が読まれている気がしてならなかった。その時フィオが扉の前に立ち、
「悪いけど、ちょっと僕、紫音のお見舞い行ってくるね!」
そう言って扉を開いて走っていった。恐らくフィオは悩んでいるソラを見て、気を使ったのだろう。残った四人のいるこの部屋に暫く沈黙が続いた