CHAPTER42【フィオの姉】
フィオはアースにあるディアス家に戻り、自分の部屋で眠りについている紫音の様子を見つめている。だが、一向に目覚める気配はない。所で読者のみなさんはすっかり忘れているかもしれないが、実は紫音はヘルツとの戦うの中、突然キーブレードを出現させ、疲れはてて気絶し、それ以降は目を覚ましていない。
「紫音………。」
フィオは紫音の寝顔を見て呟いた。いい夢でも見ているかのような良い寝顔だ。フィオは思わずそれに見とれてしまい、つい頬に触れようと手を伸ばしたその時、紫音の目が開いた。
「紫音!目が覚めた?」
焦って伸ばした手を元に戻し、フィオはバンダナの縛り具合を調整しながら言った。紫音はすぐに身体を起こし、フィオの方を向いた。
「はい………なんとか、大丈夫です。」
「良かった〜!一事はどうなるかと思ったよ!」
さっきまでの不安そうな表情が一瞬にして一変し、紫音の無事を全力で喜ぶフィオ。あのとき紫音が記憶を取り戻したかなんてどうでも良かった。フィオはただ紫音が無事なだけで嬉しいのだ。紫音は幼い子供のようにはしゃぐフィオを見てクスクスと笑っていたが、暫くすると1つの疑問が生じた。
「あの……。」
紫音がはしゃぐフィオを呼び止め、フィオははしゃぐのを止めて紫音を『何?』とでも言うような表情で見つめる。
「フィオさんは何故、ここまで私に尽くしてくれるのですか?いや、もちろん居候とは言え家族になったから尽くすのはわかってますけど、でも、フィオさんの優しさは……他の方とは何か違うと思うんです!」
紫音はフィオに対して思っていた事を思いきって聞いた。するとフィオは暫く黙り、自分の頭に巻いている水色のバンダナをほどいて紫音の乗っているベッドに置いた。
「似てるんだ。紫音が、お姉ちゃんに。」
「お姉様、ですか?」
「うん。このバンダナは元々、お姉ちゃんがつけてた物なんだ。」
バンダナを見つめてフィオは語る。今から七年ほど前、ある日フィオは姉と共にアースの有名な機械街、プラズマイトの摩天楼を訪れていた。小柄なフィオとは違い、姉の身長は至って普通であり、フィオはこれまでその身長の事でよくいじめられたりしたが、姉は決して身長の事をバカにしたりせず、むしろその身長は誇りに思うべきだとフィオを励ましていた。
『お姉ちゃん、下見は済んだし、そろそろ帰ろ?』
『うん、そうだね。』
二人はこの日、姉の通っている学校のバスケ部の試合会場の下見に来ており、近いうちにこのプラズマイトにある試合会場で姉はバスケットボールという名のエンターテイメントで輝くのだ。
二人がプラズマイトから出ようとしたその時、出口付近にある工事中の建物が突如崩れ落ちてきた。
『フィオ!!』
鉄骨はフィオ目掛けて大量に落ちてきた。もう駄目だ、ぶつかる……そうフィオは諦めていた。だが、突如身体が何かに押され、鉄骨に潰されずに済んだ。フィオが鉄骨が積もった所を見てみると、そこには鉄骨に潰されている姉の姿があった。
『お姉ちゃん!!』
フィオは姉を助けようと、急いで鉄骨をどかそうとする。だがまだ幼い頃のフィオ一人ではどうにもなるわけでもなく、このままでは姉は鉄骨に完全に潰され、死んでしまう。
『フィオ、もう良い!早く帰って!』
『嫌だ!僕はお姉ちゃんに死んでほしくない!!』
姉がフィオに無理をさせない為に、帰るように言い掛けるが、それをフィオは拒み、諦めず鉄骨をたった一人でどかそうとする。その様子を見た姉はフィオを見上げた
『良い?フィオ。』
『何?』
姉はもう死にそうなほどの声でフィオに言った。
『確かに私はこのままだと死ぬかもしれない。でも、死んだからと言って、その存在が無くなった訳じゃない。人は死んでも、その人と親しい人達の心の中では生きてるの。だから私が死んでも、フィオ。貴方の心の中で生き続けている!』
それがフィオの聞いた姉の最後の言葉だった。その言葉を言い終わると共に、姉は息を引き取った。その日フィオの叫びが夕方の摩天楼に響き渡ったと言う。
その後姉の遺体が見つかり、正式に死亡が確認された。現場に残っていたのは、姉の血と普段からつけていた水色のバンダナだけだった。
「だから、あのとき僕は思ったんだ。もう大切な人を失いたくない。例え心の中で生き続けても、話せないなんて寂しいから……!」
「フィオさん………。」
フィオの過去を聞き、思わず涙を誘われそうになる紫音。フィオは紫音の手を取り、しっかりと握り紫音の目を見て言った。
「約束するよ!僕は何度でも、君を護る盾になる!!」
その決意を紫音はしっかりと受け止め、笑顔で頷いた。フィオに手を引かれ、ベッドから下りる。
「じゃあ、グーフィー達の所に行こう!」
「はい!」
二人は部屋を出て、ディズニーキャッスルへと繋がる光の裂け目を開き、そこに飛び込む。飛び込む際に二人は手を繋いでいた
「紫音………。」
フィオは紫音の寝顔を見て呟いた。いい夢でも見ているかのような良い寝顔だ。フィオは思わずそれに見とれてしまい、つい頬に触れようと手を伸ばしたその時、紫音の目が開いた。
「紫音!目が覚めた?」
焦って伸ばした手を元に戻し、フィオはバンダナの縛り具合を調整しながら言った。紫音はすぐに身体を起こし、フィオの方を向いた。
「はい………なんとか、大丈夫です。」
「良かった〜!一事はどうなるかと思ったよ!」
さっきまでの不安そうな表情が一瞬にして一変し、紫音の無事を全力で喜ぶフィオ。あのとき紫音が記憶を取り戻したかなんてどうでも良かった。フィオはただ紫音が無事なだけで嬉しいのだ。紫音は幼い子供のようにはしゃぐフィオを見てクスクスと笑っていたが、暫くすると1つの疑問が生じた。
「あの……。」
紫音がはしゃぐフィオを呼び止め、フィオははしゃぐのを止めて紫音を『何?』とでも言うような表情で見つめる。
「フィオさんは何故、ここまで私に尽くしてくれるのですか?いや、もちろん居候とは言え家族になったから尽くすのはわかってますけど、でも、フィオさんの優しさは……他の方とは何か違うと思うんです!」
紫音はフィオに対して思っていた事を思いきって聞いた。するとフィオは暫く黙り、自分の頭に巻いている水色のバンダナをほどいて紫音の乗っているベッドに置いた。
「似てるんだ。紫音が、お姉ちゃんに。」
「お姉様、ですか?」
「うん。このバンダナは元々、お姉ちゃんがつけてた物なんだ。」
バンダナを見つめてフィオは語る。今から七年ほど前、ある日フィオは姉と共にアースの有名な機械街、プラズマイトの摩天楼を訪れていた。小柄なフィオとは違い、姉の身長は至って普通であり、フィオはこれまでその身長の事でよくいじめられたりしたが、姉は決して身長の事をバカにしたりせず、むしろその身長は誇りに思うべきだとフィオを励ましていた。
『お姉ちゃん、下見は済んだし、そろそろ帰ろ?』
『うん、そうだね。』
二人はこの日、姉の通っている学校のバスケ部の試合会場の下見に来ており、近いうちにこのプラズマイトにある試合会場で姉はバスケットボールという名のエンターテイメントで輝くのだ。
二人がプラズマイトから出ようとしたその時、出口付近にある工事中の建物が突如崩れ落ちてきた。
『フィオ!!』
鉄骨はフィオ目掛けて大量に落ちてきた。もう駄目だ、ぶつかる……そうフィオは諦めていた。だが、突如身体が何かに押され、鉄骨に潰されずに済んだ。フィオが鉄骨が積もった所を見てみると、そこには鉄骨に潰されている姉の姿があった。
『お姉ちゃん!!』
フィオは姉を助けようと、急いで鉄骨をどかそうとする。だがまだ幼い頃のフィオ一人ではどうにもなるわけでもなく、このままでは姉は鉄骨に完全に潰され、死んでしまう。
『フィオ、もう良い!早く帰って!』
『嫌だ!僕はお姉ちゃんに死んでほしくない!!』
姉がフィオに無理をさせない為に、帰るように言い掛けるが、それをフィオは拒み、諦めず鉄骨をたった一人でどかそうとする。その様子を見た姉はフィオを見上げた
『良い?フィオ。』
『何?』
姉はもう死にそうなほどの声でフィオに言った。
『確かに私はこのままだと死ぬかもしれない。でも、死んだからと言って、その存在が無くなった訳じゃない。人は死んでも、その人と親しい人達の心の中では生きてるの。だから私が死んでも、フィオ。貴方の心の中で生き続けている!』
それがフィオの聞いた姉の最後の言葉だった。その言葉を言い終わると共に、姉は息を引き取った。その日フィオの叫びが夕方の摩天楼に響き渡ったと言う。
その後姉の遺体が見つかり、正式に死亡が確認された。現場に残っていたのは、姉の血と普段からつけていた水色のバンダナだけだった。
「だから、あのとき僕は思ったんだ。もう大切な人を失いたくない。例え心の中で生き続けても、話せないなんて寂しいから……!」
「フィオさん………。」
フィオの過去を聞き、思わず涙を誘われそうになる紫音。フィオは紫音の手を取り、しっかりと握り紫音の目を見て言った。
「約束するよ!僕は何度でも、君を護る盾になる!!」
その決意を紫音はしっかりと受け止め、笑顔で頷いた。フィオに手を引かれ、ベッドから下りる。
「じゃあ、グーフィー達の所に行こう!」
「はい!」
二人は部屋を出て、ディズニーキャッスルへと繋がる光の裂け目を開き、そこに飛び込む。飛び込む際に二人は手を繋いでいた