CHAPTER48【決心】
「ナミネ?」
聞き覚えの無い名前。クロナは当然ナミネという存在がなんなのかはわからなかった。困った表情で腕組をするクロナを見たリクが簡単に解説する
「俺の仲間なんだが、数ヵ月前に行方不明になってな……。それで、後でわかった情報によると、DEDに捕まっているらしい。」
クロナはDEDという言葉に反応し、腕組を止めてフードの奥にあるリクの瞳を見つめる。
「DED………。」
「あぁ。」
「あいつらに会えば、レイ君の事も聞けるかも………!」
「だがクロナ。お前は巫女だから、安易に動かないほうが良いぞ?」
リクの言う通りだった。もうすっかり忘れているかもしれないが、クロナはキングダムハーツと一心同体となっている心の持ち主、キングダムハーツの巫女であるため、DEDと言った闇の勢力に狙われかねない。そう思ってリクは忠告した。だが、クロナの目に迷いは無かった。
「それでも良いよ!一緒にナミネを助けよう!」
そう言って立ち上がり、準備運動を開始する。そうとう気合いが入っているようだ。その証拠に表情が引き締まっている。
「クロナ……ありがとう。」
「礼なんて良いわよ!私はやると決めたらやる女だからね!」
丁度準備運動を終えたところでクロナが言った。リクも立ち上がり、その部屋を出る。クロナもその後についていく。
二人は北の森の中心部に来ていた。ここから南西に行けば数日前に紫音が倒れていた洞穴がある。だが、今回の目的は洞穴ではなくナミネの救出。リクはかざした右手から闇の裂け目のような回廊を呼び出し、中に入っていく。
クロナはその後を追いかけ、入っていく。深い闇の中、リクが先頭、その後ろをクロナが歩くという具合に進む二人。リクの後を追いかけているクロナは様々な事を考えていた。
(レイ君、今何処で何してるんだろ?前にレイ君は『変わらない人間なんていない』って言ってたけど、本当なのかな?だとするとカイリさんも変わってしまったって事なのかな?考えても仕方がないよね……。)
「どうした?」
リクがクロナの方に振り向き、言った。クロナはその呼び掛けで我に帰り、慌てて頷いた。その様子を不自然に思いながらもリクは歩き出す。それをクロナはゆっくりと追いかける。一歩一歩歩む度にクロナには何故かこの歩みがとても重く感じた