CHAPTER57【町の危機】
「これは、検問?」
俺達の前に立ちはだかるのは検問ならぬ検門。この門を潜り、住宅街に行くのだが、上の方を見るとレーザー砲ような物が大量についている。恐らく部外者排除の為であろう。
8人は順番に検門を潜っていくが、何故かダークだけ検問に引っ掛かった。
「何でだよ!!」
サイレンの音と共に赤いランプが光を放ち、レーザー砲がダークを撃ち始めた。ダークは動揺しながらも急いで逃げる。しかしレーザーはダークを追跡している。
「追跡型レーザーか!!」
ダークは仕方無く諦めて立ち止まり、大量のレーザーに直撃し倒れた。俺は非情にも先に行ってしまい、ドナルドは何故ダークだけが通れなかったのか気になり、検門につけられているモニターを見てみた。そこにはこのような文字が記されていた。
《ポンコツは必要無し》
「はぁぁぁぁあ!?」
ドナルドが読み上げたのを聞き取ったダークの絶叫。ダークは仕方無くグミシップに戻り、待機する事にした。みんな苦笑いをしている。あんな物を見せられては仕方がないという物だろう。一同は仕方無くダークを置いて住宅街に向かう事に。
一方その頃、ディアはソラ達より一足先に機関の城、『存在しなかった城』に来ていた。ディアはかつて機関と手を組んでいたので、この城の場所はわかっていた。以前なら正面から堂々と入って行けたのだが、今となっては裏切りの身であるため、秘密の道から来るしかなかった。ソラ達を秘密の道に通しても良かったが、それだと大勢なので機関にバレやすい。なのでディアは一人で来ていた。
「………誰もいないな。」
ディアは隠れながら城内を進んでいるが、これまで1度も誰も見ていない。機関のメンバーはもちろん、普通のノーバディですら全く目にしない。一体どうしてなのかディアにもわからなかった。
ディアは隠れるのを止め、進む事にした。真っ白の不気味な階段を登っていき、すぐに何かを見つけた。
ノーバディだ。しかもノーバディ達は倒れている誰かを囲んでいる。それは赤い包帯に顔を包み、赤いマントの長身の男だった。その横には不思議な装置がほかられている。
「くっ!」
ディアは自らのキーブレード『ダークネスギア』を構え、ノーバディ達を蹴散らした。
「あんた、大丈夫か?」
ディアがそう言うと、男は立ち上がり、ディアを見下ろした。真横に置いていた謎の装置を拾い、ディアの目の前で包帯を取る。
「やっぱ……あんただったか。賢者アンセム。」
「ほう、私を知ったいるのかね?」
「あぁ。レイディアントガーデンにいたときに聞いた事がある。」
「レイディアントガーデンか。懐かしいな。」
「なぁ、聞いても良いか?今の世界に何があるのかを………!」
《クラクション。やつらの動きは?》
その頃、ユナイテッドサテライトのとある施設では通信機のモニターにベクセスの姿が写っている。どうやらここは俺達が目指しているDEDの拠点のようだ。
「やつらが町に入ってきた。もっとも、一人を除いてな。」
「町のセキュリティに細工をしておいて良かった。」
《次の検問にも細工をしてあるの?》
「もちろんだ。こうやって一人ずつ何も理解出来ぬままいなくなって行くのだ!」
クラクションが町のセキュリティに細工をしてある事をベクセスに説明すると、その部屋のドアがバンッと大きな音を立てて開かれ、そこからDEDの団員が入ってきた。
「クラクション様、大変です!やつら、セキュリティの細工に引っ掛かりません!」
「なんだと!?どういう事だ!!」
「そ、それが………、」
遠くから大きな爆発音のような物が聞こえた。しかもその音は一度だけではなく二度、三度と鳴り、徐々に近づいてきている。
「やつら、検問を破壊してます!!」
そう、検問に細工してある事を先程の検問で見抜いた俺は検問を見るたびにブラックパラデスを使ってことごとく破壊していたのだ。当然町の住人は大パニックだが、後でクロナやドナルドが事情を説明して謝ったのだとか。
「やつら、もうすぐここに来ます!」
「くっ、ここを全力で守れ!俺は少し行ってくる。」
そう言うとクラクションは今いた部屋よりもずっと遠い、薄暗く不気味な部屋にたどり着いた。そこには大量の丸い黄色の何かが浮かんでいるが、少なくともライトでも物体でも無いようだ。
「こうなれば、このユナイテッドサテライトの町を俺自らの手でカオスに陥れてやる!行け!アンチネスども!!」
クラクションの指示で先程の黄色の何かがその姿を現した。それは大量という大量のアンチネス軍団だった。アンチネス軍団は開いた天上から空を飛んで町の方へ向かった。
今、ユナイテッドサテライトに危機が訪れようとしていた