CHAPTER66【夕日の決闘!! レイvsダーク】
その頃、俺達は、ダークエンドを名乗る謎の人物と対面していた。謎の人物は相変わらずの不気味なオーラを放っており、こちらの気持ちを不快にさせる。
「では、軽く紹介しておきましょうか。」
謎の人物が軽く手を振ると、地面からアレクセイを始めとした6皇帝達が現れた。レイ達は流石に驚くが、よく見るとただのホログラムのようだ。
「まずはアレクセイ。私も便りにしている人物で、大鎌使いです。」
謎の人物がアレクセイのホログラムを見て言った。次にベクセスのホログラムを指さした
「次にベクセス。私がもっとも信頼する人物で、杖使いです。」
そして次にドアクロス、ヘルツの紹介を軽くし終わり、次に見慣れない人物のホログラムを指差した。
「彼はヴィヴァート。6皇帝最強の方です。」
「ヴィヴァート…?そう言えばさっき書いてあったな。」
ライガがつい先程、クラクションのダミーがビジョンで見せてくれた6皇帝一覧表を思い出しながら言った。確かにその中に聞き覚えこ無い名前があった。
「そして、こいつが一番下っ端も同然のクラクションですよ。」
「「何!?」」
二人は驚かずにはいられなかった。先程まで戦っていたクラクションが一番下っ端も同然となると、今のままでは決してDEDには敵わないどころか、先程くクラクションはただのダミー、偽者。つまり偽者に手こずっているようでは本物のクラクションにすら勝てないという事である。
謎の人物のコートのポケットから音が聞こえる。謎の人物がその音を出した物を取りだし、耳に当てた。どうやら携帯電話のようだ。
「………そうですか。わかりました。」
謎の人物は携帯電話をポケットの中に戻し、俺達を見てからホログラム達を消した。そして再びフードを被り、闇の回廊をなんと振り向くだけで開いて見せた。
「命拾いをしましたね。レイさん。貴方はいずれこの私が葬り去ります。クロナさんも怪我をされているようなので、早く病院にでも連れていかれては?」
そう言って謎の人物は闇の中に消えていった。俺は謎の人物の言葉でクロナの事を思い出し、クロナを背に抱え、急いでグミシップに向かって走った。その途中、アンチネス達を倒し終わったシュージ達と合流し、ただひたすら走り続ける。
「?」
ライガが向こうで座って休んでいるフウリとライヤを見つけ、駆け寄った。
「あんたら、何してんだ?」
「見ての通り休んで………っ!」
フウリはライガを見て、思わず呟いた。
「………めっちゃ美人……!」
それを言った瞬間、フウリは首を思いきり蹴り飛ばされた。ライガの表情は同然黒笑である。
「俺は女じゃ無いぞ……?」
「はい、すみませんでした……!」
「…………。」
怒りのライガが怖いのか、半泣き状態で謝るフウリ。それを見ていたライヤも流石に恐れている。
「お前ら、これからどうするつもりだ?」
「えっ?」
「どうするって言われても……、」
「もし宛が無いなら、着いてきてくれ。一刻を争うかもしれないんだ。」
「う、うん………。」
恐る恐る二人はライガについていく。そしてフウリとライヤを含んだ一同はグミシップに乗り込み、一旦アースに戻る事にした。
「くそっ!!」
俺が何時かのように病院の壁を殴る音が響く。病室の中では物音を立てる事は禁止だというくらいわかってはいたが、あまりにも悔しすぎるのだ。クロナが自分を庇って、倒れた事が。
「レイ!」
シュージがレイのいる病室の中に入ってきた。よく見ると額に汗をかいている。
「医者の話だと、生死に問題は無いが、意識不明らしい!」
「そん…な………!」
俺の目から一筋の涙が零れた。俯き握り拳が震えている。そして俺はとうとう何も言わずに飛び出して行ってしまった。
「レイ!!」
シュージが呼び止めるが、それを無視して何処かに行ってしまった。
気がつけばもう夕日が大地を照らしていた。時計の針が五時を指しているこの時間帯に、俺はとある場所に足を踏み入れた。そこは昔何時ものようにフィオ、ダーク、クロナ、ヒトミと一緒に遊んだ思い出の浜辺だった。夕日で海がオレンジ色に煌めき、俺は海に写る自分の姿を見つめ、さらに俯く。
その時、別の人物の姿が海に写った。それはダークだった。
「ダーク?」
俺がダークの名前を呼び、振り替える。ダークはいつになく真剣な表情でこちらを見てくる。
「なぁ……相棒。その……悔しいのか?」
ダークが発したその一言。まさに俺の思っている事を見通すような言葉だった。
「……当たり前だろ。俺は守れなかったんだ。クロナを。」
俺は自分の手を見つめて、再び涙を流した。
「俺に力が足りなかったばかりに………俺はあいつを守れなかった!闇の力という素晴らしい物を手に入れたのに、何も出来てない!!こんなんじゃ……俺は」
「ふざけんな!!」
突然ダークは俺を殴り倒した。ダークの表情が何時もより険しく、こちらに怒りの視線を向けている。
「いいか相棒!よく聞けよ、お前に闇なんて必要ねぇ!!そのくらいわかってんだろ!?」
ダークが俺に向かって自分の思った事を叫ぶと、俺は殴られた所を抑えながら立ち上がり、言った。
「俺には……闇が必要なんだ………力の為に………!」
「ざけんじゃねぇ!!だったら………」
ダークが突然キーブレードを出現させた。それは普段の太刀ではなく、あのとき俺が捨てたキーチェーンをつけた太刀だった。
「俺と勝負しろ……!」
ダークが構えた太刀。それは俺のかつてのキーブレード――レイムチェーンのキーチェーンをつけた物だった。ダークは一体何を考えているのか。俺はそれを見て切なく笑い、闇の力の象徴であるキーブレード――ブラックパラデスを構えた。
「良いよ……なら、教えてあげるよ、闇の素晴らしさを!!」
俺がそう言ったとき、大きな風がこの浜辺に吹いた。いつも五人が遊んでいたのを見ていた空の夕日も二人の戦いを悲しむかのように儚く輝く。今、光の力と闇の力の対決が始まろうとしていた