CHAPTER70【約束】
その後俺とダークの二人は鈴神のいるディズニーキャッスルに向かい、アースの空に突如謎の空中庭園が現れた事を話した。
「恐らく、それは浮遊島ダークエンドです。」
「「浮遊島?」」
二人がほとんど同時に鈴神に聞いた。鈴神は読んでいた本をパタンと閉じ、以前クロナの夢の中に現れた二人と同じ解説を俺達にした。
「つまり、ダークエンドの本拠地って事か……。」
「それだけではありません。あの空中庭園には、数々の兵器が備えられており、空から行こうにも、簡単に撃ち落とされてしまいます。」
「ワープでも出来れば良いんだけどな。」
「ワープか……。」
ダークの発言の中にあった単語一つを聞いたとき、俺は途端に閃いた。
「そうだよ!ワープすれば良いんだ!」
「でも、どうするんですか?」
レイの突然の閃きを指摘する鈴神。普通に考えればワープなんて現実ではあり得ない。つまりワープする方法なんて普通は無いのだ。だがレ俺は迷いなく答えた。
「ダイジョバ!一人ワープの力を使えそうな人を知ってるんだ……。」
そう言って俺とダークはアースにあるそよ風村の自宅に戻り、とある人物を訪ねた。
「お願い!!力を貸して!」
「ちょっと……レイ、どういう事なのか説明して。」
ヒナタだった。俺がマトモに事の説明をしていなかった為か、ヒナタは全く意味がわかっていない。
ダークがこれまでに起きた事をヒナタに簡単に説明し、ヒナタは非常に驚いたが、すぐに何時もの落ち着いた雰囲気に戻り、コホンと息をつく。
「なるほどね……。つまり、私ならワープの力を使えると思って力を貸して欲しいと?」
「そう!俺ならわかるよ、だってナタ姉修行時代の俺を何回も魔法を使って負かしてたじゃないか。」
俺の横で話を聞いていたダークは驚きのあまり、思わず絶叫しそうになったが、間一髪両手で押さえた。俺は修行時代にヒナタに何度も負けていたとは思わなかったのだろう。
「ナタ姉はたくさんの魔法を使える!だからワープの魔法も持ってるはず!」
俺がヒナタに必死に説得する。ヒナタは開いていた窓から空に浮かぶ闇の空中庭園、暗黒島ダークエンドを見つめ、次に俺達の顔を見る。二人とも真剣な表情だ。
「………わかった。みんなをここに集めるから、準備が出来たら行くわよ?」
「ありがとうナタ姉!!」
嬉しさのあまり俺は自分の姉であるヒナタに頭を下げてお礼をした。それにつられるようにダークもまたお辞儀をした。
その時だった。家の玄関が力強く開かれる音が響き、俺の妹ことヒトミが慌てて家の中に入ってきた。ヒトミはゼェゼェと息を切らしており、膝に手をついてその場に立ち止まる。
「ヒトミ?どうしたの?」
ヒトミに近づき、心配そうに聞いた。するとヒトミはすぐに顔を上げて、答えた。
「クロナさんが、クロナさんが目を覚ましたの!!」
「なにっ!?」
俺はヒトミの放った言葉をしっかりと聞き取り、驚いた。何度もその言葉が耳の中で響いてくる。無論、ヒナタやダークも驚いている。
「とにかく行ってあげて!!クロナさんはお兄ちゃんを待ってるから!!」
「うんっ!!」
強く頷き、家を出て急いでクロナのいる病院に向かって走った。
走っている途中、急に雨が降り始め、雨水が俺の服に何度も当たる。だが俺は決してその足を止める事はなく、ただひたすらクロナのいる病院へと走り続けた。考えなんて無い。ただクロナが待っているから行くのだ。
やがてついに病院にたどり着き、病院のルールを無視してでもクロナのいる病室に急いだ。
俺は病室の扉を叩くようにして強く開き、部屋に入った。
部屋にある窓から外が見える。気づけばすでに夜だった。今日は滅多に見られない満月が夜空に浮かんでおり、ごくまれに透明な雨水が月の光に照らされ煌めく。
「こんばんは、レイ君。」
病室のベッドの上にはクロナがおり、こちらを笑顔で見つめている。俺はその目を見て、何故かドキッとした。
「闇から抜け出せたんだね。」
「う、うん。」
クロナが話しかけて来る物の、何故か何時もより上手く話せない。俺は複雑な気持ちを抱え、近くにあった椅子に座った。
「レイ君の記憶、消えちゃうのかぁ……。」
クロナが夜空を見上げて残念そうに言った。その時クロナはとある事に気がついた。
「そう言えばレイ君、あのときもこんな夜空だったよね?」
「あのとき?」
「二人で夜空の流れ星を探してた時。雨は降ってなかったけど、でも、今日見たいに綺麗な満月だったよ。」
「そ、そうなんだ………。」
俺は改めてあの夜空に浮かぶ満月を見つめる。今思えば確かにあの日も今日のような満月だった。何しろあのときの天体観測は二人の思い出。忘れる訳がない。
「なぁ、クロナ……。俺」
「うん、わかってる。」
俺が何か言う前にクロナがそれを遮り、すでに理解していたようにして言った。
「これから戦いに行くんでしょ?私の事なら大丈夫。安心して行ってきて。私、待ってるよ?」
そのクロナの言葉で俺はしばらく俯いてしまったが、やがて顔を上げて、クロナに言った。
「ごめん……俺はもう、ブラックパラデスを手放した身だ。だから今も少しずつ記憶が無くなって来ている。だから、記憶が無くなれば、君の元へは帰れないよ……。」
俺は申し訳なさそうに潤んだ瞳でクロナの目を見る。クロナは俺の放った言葉に何度か頷き、ゆっくりと俺の頬に手を置いた。そしてそのまま自分の元に引き寄せ口付けをした
「……っ。」
あまりにも衝撃的だった。俺はたった今クロナが取った行動を半場理解出来ていないが、それでもクロナの行為を受け止めている。
そしてしばらくしてクロナは俺を離し、俺の肩に手を置いてから言った。
「行っらっしゃい……もし貴方が消える事になっても、何もかも無くなっちゃっても……私の事だけは、ずっと覚えていて。」
その言葉に俺は涙を流した。例え記憶が消えても、自分の事だけは覚えていて欲しいという彼女の願いを俺はしっかりと受け止め、彼女の手を強く握り言った。
「………うん!!約束するっ!!」
その真剣な表情を見て、クロナは俺も聞こえないくらい小さな声で呟いた。
「良かった………前のレイ君に戻ってくれて。」
「え?」
「ううん、何でもないよ。そろそろ時間もあれだし、今日はもう帰ったら?」
ふと時計を見てみるともうすでに11時だった。俺はすぐに椅子から立ち上がった
「そうだね、じゃあ俺は帰るよ。それじゃ!」
手を振って走り去っていくレイを同じく手を振って見送るクロナ。
クロナは自分の胸に手を当てて、一つ深呼吸をした。そして手を胸から離してから布団の中に入り、また夜空に浮かぶ満月を見つめてから、俺に語りかけるようにして呟いた。
「………………愛してる。」
「恐らく、それは浮遊島ダークエンドです。」
「「浮遊島?」」
二人がほとんど同時に鈴神に聞いた。鈴神は読んでいた本をパタンと閉じ、以前クロナの夢の中に現れた二人と同じ解説を俺達にした。
「つまり、ダークエンドの本拠地って事か……。」
「それだけではありません。あの空中庭園には、数々の兵器が備えられており、空から行こうにも、簡単に撃ち落とされてしまいます。」
「ワープでも出来れば良いんだけどな。」
「ワープか……。」
ダークの発言の中にあった単語一つを聞いたとき、俺は途端に閃いた。
「そうだよ!ワープすれば良いんだ!」
「でも、どうするんですか?」
レイの突然の閃きを指摘する鈴神。普通に考えればワープなんて現実ではあり得ない。つまりワープする方法なんて普通は無いのだ。だがレ俺は迷いなく答えた。
「ダイジョバ!一人ワープの力を使えそうな人を知ってるんだ……。」
そう言って俺とダークはアースにあるそよ風村の自宅に戻り、とある人物を訪ねた。
「お願い!!力を貸して!」
「ちょっと……レイ、どういう事なのか説明して。」
ヒナタだった。俺がマトモに事の説明をしていなかった為か、ヒナタは全く意味がわかっていない。
ダークがこれまでに起きた事をヒナタに簡単に説明し、ヒナタは非常に驚いたが、すぐに何時もの落ち着いた雰囲気に戻り、コホンと息をつく。
「なるほどね……。つまり、私ならワープの力を使えると思って力を貸して欲しいと?」
「そう!俺ならわかるよ、だってナタ姉修行時代の俺を何回も魔法を使って負かしてたじゃないか。」
俺の横で話を聞いていたダークは驚きのあまり、思わず絶叫しそうになったが、間一髪両手で押さえた。俺は修行時代にヒナタに何度も負けていたとは思わなかったのだろう。
「ナタ姉はたくさんの魔法を使える!だからワープの魔法も持ってるはず!」
俺がヒナタに必死に説得する。ヒナタは開いていた窓から空に浮かぶ闇の空中庭園、暗黒島ダークエンドを見つめ、次に俺達の顔を見る。二人とも真剣な表情だ。
「………わかった。みんなをここに集めるから、準備が出来たら行くわよ?」
「ありがとうナタ姉!!」
嬉しさのあまり俺は自分の姉であるヒナタに頭を下げてお礼をした。それにつられるようにダークもまたお辞儀をした。
その時だった。家の玄関が力強く開かれる音が響き、俺の妹ことヒトミが慌てて家の中に入ってきた。ヒトミはゼェゼェと息を切らしており、膝に手をついてその場に立ち止まる。
「ヒトミ?どうしたの?」
ヒトミに近づき、心配そうに聞いた。するとヒトミはすぐに顔を上げて、答えた。
「クロナさんが、クロナさんが目を覚ましたの!!」
「なにっ!?」
俺はヒトミの放った言葉をしっかりと聞き取り、驚いた。何度もその言葉が耳の中で響いてくる。無論、ヒナタやダークも驚いている。
「とにかく行ってあげて!!クロナさんはお兄ちゃんを待ってるから!!」
「うんっ!!」
強く頷き、家を出て急いでクロナのいる病院に向かって走った。
走っている途中、急に雨が降り始め、雨水が俺の服に何度も当たる。だが俺は決してその足を止める事はなく、ただひたすらクロナのいる病院へと走り続けた。考えなんて無い。ただクロナが待っているから行くのだ。
やがてついに病院にたどり着き、病院のルールを無視してでもクロナのいる病室に急いだ。
俺は病室の扉を叩くようにして強く開き、部屋に入った。
部屋にある窓から外が見える。気づけばすでに夜だった。今日は滅多に見られない満月が夜空に浮かんでおり、ごくまれに透明な雨水が月の光に照らされ煌めく。
「こんばんは、レイ君。」
病室のベッドの上にはクロナがおり、こちらを笑顔で見つめている。俺はその目を見て、何故かドキッとした。
「闇から抜け出せたんだね。」
「う、うん。」
クロナが話しかけて来る物の、何故か何時もより上手く話せない。俺は複雑な気持ちを抱え、近くにあった椅子に座った。
「レイ君の記憶、消えちゃうのかぁ……。」
クロナが夜空を見上げて残念そうに言った。その時クロナはとある事に気がついた。
「そう言えばレイ君、あのときもこんな夜空だったよね?」
「あのとき?」
「二人で夜空の流れ星を探してた時。雨は降ってなかったけど、でも、今日見たいに綺麗な満月だったよ。」
「そ、そうなんだ………。」
俺は改めてあの夜空に浮かぶ満月を見つめる。今思えば確かにあの日も今日のような満月だった。何しろあのときの天体観測は二人の思い出。忘れる訳がない。
「なぁ、クロナ……。俺」
「うん、わかってる。」
俺が何か言う前にクロナがそれを遮り、すでに理解していたようにして言った。
「これから戦いに行くんでしょ?私の事なら大丈夫。安心して行ってきて。私、待ってるよ?」
そのクロナの言葉で俺はしばらく俯いてしまったが、やがて顔を上げて、クロナに言った。
「ごめん……俺はもう、ブラックパラデスを手放した身だ。だから今も少しずつ記憶が無くなって来ている。だから、記憶が無くなれば、君の元へは帰れないよ……。」
俺は申し訳なさそうに潤んだ瞳でクロナの目を見る。クロナは俺の放った言葉に何度か頷き、ゆっくりと俺の頬に手を置いた。そしてそのまま自分の元に引き寄せ口付けをした
「……っ。」
あまりにも衝撃的だった。俺はたった今クロナが取った行動を半場理解出来ていないが、それでもクロナの行為を受け止めている。
そしてしばらくしてクロナは俺を離し、俺の肩に手を置いてから言った。
「行っらっしゃい……もし貴方が消える事になっても、何もかも無くなっちゃっても……私の事だけは、ずっと覚えていて。」
その言葉に俺は涙を流した。例え記憶が消えても、自分の事だけは覚えていて欲しいという彼女の願いを俺はしっかりと受け止め、彼女の手を強く握り言った。
「………うん!!約束するっ!!」
その真剣な表情を見て、クロナは俺も聞こえないくらい小さな声で呟いた。
「良かった………前のレイ君に戻ってくれて。」
「え?」
「ううん、何でもないよ。そろそろ時間もあれだし、今日はもう帰ったら?」
ふと時計を見てみるともうすでに11時だった。俺はすぐに椅子から立ち上がった
「そうだね、じゃあ俺は帰るよ。それじゃ!」
手を振って走り去っていくレイを同じく手を振って見送るクロナ。
クロナは自分の胸に手を当てて、一つ深呼吸をした。そして手を胸から離してから布団の中に入り、また夜空に浮かぶ満月を見つめてから、俺に語りかけるようにして呟いた。
「………………愛してる。」
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