CHAPTER78【光と闇の調律】
謎の人物が突如顔を掴み、引っ張るとそれは実は顔マスクで、その素顔はなんと鈴神だった。レイ達光の勢力のリーダーであり、しばらく行方不明となっていたはずの彼女が何故ここにいるのか一瞬わからなかったが、俺はすぐに理解出来た。
「鈴神、どういう事だ?」
俺が瞬間的にカオスアイの能力を発動させ、左右で色の違う輝きを放つ瞳で鈴神を強く睨み言った。鈴神は小さく微笑み、言った。
「全ては私の計画通りでした。」
そう言うと鈴神は静かに歩き出し、右腕を後ろにまわして言った。
「私は元々、イエン・シッド様に仕える一人の聖者でした。私はあらゆる世界を巡り、より良き世界にするための方法を探求して来ました。長き探求の旅の末、今の世界では救いようが無いことを知りました。」
鈴神は過去の出来事を思い返し、あの暗黒の空を見上げる。
『イエン・シッド様、報告は以上です。』
当時髪はショートヘアだった鈴神が探求の旅から帰還し、イエン・シッドにこれまでの旅でわかった事を報告する。それを聞いたイエン・シッドは言う
『鈴神よ、お前は何故、この世界では救いようが無いと思った?』
『それは、世界の人間達は今、欲望や闇に囚われ、世界はどんどん退化していっているので、世界の変えようが無いと思いました。』
イエン・シッドの質問に速答する鈴神。今の世界はほとんどの人間が欲望や闇に囚われ、少しずつ世界を壊しつつある。その事を目の当たりにした鈴神はそれを悟り、やがてこの結論に至った。
『お前は間違っている。』
『えっ?』
鈴神は突然のイエン・シッドの言葉に驚いた。自分の旅の末に至った結論をあっさりと否定され、その目はイエン・シッドの目を真っ直ぐ見つめた。
『鈴神、前にも教えたはずだが、この世には無限の可能性がある。つまり、救いようの無い世界など存在しない。』
「その言葉を私は認められませんでした。だから私はイエン・シッド様の元を離れ、再び旅に出ました。そしてたどり着いたのが、ヴァーヴァリアンコロッセオでした。」
「ヴァーヴァリアンコロッセオ?」
聞きなれない言葉だった。ヴァーヴァリアンコロッセオとは、アースやデスティニーアイランドから遠く離れた世界で、神聖なる建物がたくさん並んでいる神の聖地と呼ばれている世界である。
「私はヴァーヴァリアンコロッセオにある、とある平地にある遺跡を発見し、奥に進むと、そこにはとある邪神を奉る祭壇がありました。」
『これは………祭壇?』
当時の鈴神が不思議な祭壇に手を置くと、祭壇が突如不気味な紫色の光を放ち、突然遺跡が崩壊し始め、鈴神はやむ無く脱出すると、改めて遺跡のあった場所を見てみる。そこには一体の巨大な暗黒竜の姿があった。その暗黒竜の目を見たとき、鈴神の脳裏に謎の声が響いた。
《我を復活させたのはお前か?我と契約をせぬか?そうすれば、我に協力する代わりにお前の理想を叶えよう。》
「暗黒竜ダークエンドドラゴンは、かつて自分を封印したファイブ・ブレードの勇者達が守り抜いたこの世界に復讐するべく、この世界を破壊することを計画しました。私は私の理想を叶えるべく、協力する事を決意し、ダークエンドドラゴンに代わり大量のアンチネスからなるDEDを統率しました。その中でも特に優秀だったのが、アレクセイ、ベクセス、クラクション、ドアクロス、ヴィヴァード。私は彼らを中心に様々な世界の人々の心をダークエンドドラゴンに捧げ、ダークエンドドラゴンはそれを気前よく食らってくれました。そしてあるとき、私は1つ作戦を思い付きました。それは、貴方達の味方のふりをすること。何故そんなことをするのか?それは、貴方達のリーダーとなることで、貴方達は私の事を簡単に信じるでしょう。それに貴方達の近くにいることで、DEDに貴方達の動きを明確に伝える事が出来ました。それに、あのチーム分けも貴方達が最大の力を発揮出来ないように特に中のよくない人達でしたからね。ミッキーやグーフィーを葬ったのも全ては計画通りでした。そして私はベクセスにセブンプリンセスであるカイリの誘拐を命じ、彼女にブラックパラデスを一時的に持たせる事で彼女の心に闇を作り、そこにソラに対する憎悪を与えたら簡単に私達の味方になってくれました。そして私は、ヴィヴァードと同様にカイリに偽物のキーブレードを持たせました。」
鈴神の口から語られた事実。なんとリアスとヘルツが使っていたのは見た目だけの偽物だったという。確かにアンチネスであるリアスがキーブレードを使うという事はどうしても引っ掛かっていたが、あれは鈴神が作った偽物だったという。
「そう、貴方達はリーダーや仲間に裏切られ、最高の絶望を味わうのです!つまり!貴方達は、絶望するしかない」
鈴神は今まで自分達を騙していた。光の勢力にただならぬ絶望を与えてから滅ぼす為に。鈴神は自分の理想の為にこれまで暗躍していたとなると、もしかしたら一昔前のディアことセイの事件よりずっと早くから計画が始まっていたのかもしれない。
「どうです?絶望しました?」
鈴神が俺達を見てわざとらしく聞くと、突如鈴神から見て向こう側、俺達からすると後ろの方から1つの弾丸が高速のスピードで飛んできて、鈴神はそれを軽く避けて見せた。やがて弾丸が放たれた方からフィオとダークが現れた。
「ううん、絶望はしないよ!!」
「俺達は絶望を希望に変える者だ!!」
「二人とも………!」
フィオとダークは俺の所まで歩き、三人はそれぞれの武器を出現させ、空にかかげた。
「レイ、俺はお前の相棒だ。だからお前を全力でサポートするぜ。」
「ねぇレイ、他のみんなの事だけどさ、みんなあの後、カイリちゃんを連れて引き返したよ。」
「えっ?」
「ここにいるのは、僕達6人だけ。他のみんなにはアースの安全確保に回ってもらったよ。」
「様々な世界が混じりつつある以上、それが懸命な判断だからな。」
「さぁレイ!」
「共に戦おう!!」
――レイ、貴方は本当に良い友達を持ってますね――
微かに母親ケミアの声が聞こえたような気がしたので、1度目を閉じてケミアが自分の傍にいる事を改めて感じると、もう一度目を開けて二人を見る。二人ともその表情に迷いは無く、俺に向かって笑顔で頷いた。
「…………………わかった。」
俺はそう一言静かに言うと、二人と共にキーブレードを構え、鈴神を睨み付けた。鈴神は何処から出したのかはわからないが、ビーム状のレイピアを二つ取りだし、両手に握った。レイピアの二刀流と言った所だろう。鈴神はレイ達を見て不敵に微笑む。
「フィオ、ダーク、…………共に戦おう!!」
その言葉に二人は強く頷き、俺とダークが勢いよく走りだし、その後ろでフィオはアローガンをライフルモードに変形させて鈴神に狙いを定める。俺は二つのキーブレードを駆使し、連続攻撃を仕掛けるが、ほとんど片方のレイピアのみで受け止められている。その背後からダークが迫ってくるが、もう片方のレイピアによって弾かれてしまった。フィオが遠距離からの弾丸を打ち込むが、それはジャンプする事によって避けられた。
「なっ!?」
「「早い!!」」
「行きますよ?ホールド!!」
鈴神のレイピアの先端から邪悪な鎖が三つほど出現し、それらは三人に向かって飛んでいき、三人にまとわりついた。
「フッ。」
鈴神はレイピアから鎖を切り離し、マトモに動けない三人に近づいてから光の柱を呼び出して攻撃する魔法、ホーリーを使用して三人を吹っ飛ばした。三人はそのまま別々の方向の壁にまで打ち付けられ、幸いその反動で鎖は砕けた物の、三人ともすでにボロボロになっており、息をするのがやっとである。
「もう終わりですか?」
鈴神が倒れている三人を見て勝ったと確信し、その場から立ち去ろうとすると、突如後ろから呻き声が聞こえた。それに驚いた鈴神が振り向いてみると、なんと三人が苦しみつつも立ち上がっていた。
「何ですって!?」
「バーカ、何勝った気になってんだよ……………く……!」
「僕達の命が…………尽きない限り………ぐっ………!」
「世界の………うっ……みんなの希望は消えてない!!」
三人は傷の痛みにもがきながらも見事に立ち上がっていた笑って見せた。その笑顔からするに、あれだけの力を見せつけられておきながらまだ諦めていないようだ。その様子を見た鈴神は流石に焦ったのか、三人の中心にいる俺に向かって一気に走っていった。そして俺に攻撃を仕掛けようとしたその時、ダークがその攻撃を受け止めた。
「何っ!?」
「フッ、冷静さが欠けてるぜ?」
先程の信じられない出来事により冷静さを欠いてしまった鈴神は今この瞬間、初めて隙を見せ、ダークに攻撃を受けとめられたあげく後ろに回り込まれ、ダークに捕まってしまった。
「くっ……離せっ!!」
「今だ相棒!!」
鈴神が抵抗する前にダークが俺に向かって叫ぶと、俺はフィオからアローガンの片方だけを受け取り、自身のキーブレードと一体化させた。二人の武器はまるでガンブレードのような風貌となり、ガンブレードとキーブレードによる二刀流となって身動きの取れない鈴神を攻撃した。その重い一撃が鈴神にヒットし、ダークが丁度良いタイミングで鈴神を離したお陰で、鈴神のみが向こうの壁まで吹っ飛ばされた。
俺は追い討ちを掛けるようにガンブレードを使って弾丸を幾つか鈴神に向かって放つと、勝利を確信したのか、クルっと後ろを向いてキーブレードを消そうとしたが、ダークとフィオの顔を見たとき、思わず『えっ?』と呟いてしまった。二人の顔は何故か恐怖していた。二人が見ているのはどうやら鈴神が飛んでいった方向のようだ。俺が改めて振り返ってみると、そこには信じられない光景が巻き起こっていた。
「何っ!?」
なんと鈴神は紫色の丸いスライム状の何かの中に閉じ込められており、そのまま鈴神を入れたスライム体は空に向かって飛んでいくと、先程何処かへ逃げていったはずのダークエンドドラゴンが現れ、鈴神の入ったスライム体を腹にある口の中に放り込んだ。
その瞬間、俺達のいるコロシアムが大きく揺れ始め、もうすぐ崩れ落ちそうなほどにまで壊れ始めてきた。
そしてダークエンドドラゴンは、姿を変えていた。あの暗黒に包まれた邪悪な空で
「鈴神、どういう事だ?」
俺が瞬間的にカオスアイの能力を発動させ、左右で色の違う輝きを放つ瞳で鈴神を強く睨み言った。鈴神は小さく微笑み、言った。
「全ては私の計画通りでした。」
そう言うと鈴神は静かに歩き出し、右腕を後ろにまわして言った。
「私は元々、イエン・シッド様に仕える一人の聖者でした。私はあらゆる世界を巡り、より良き世界にするための方法を探求して来ました。長き探求の旅の末、今の世界では救いようが無いことを知りました。」
鈴神は過去の出来事を思い返し、あの暗黒の空を見上げる。
『イエン・シッド様、報告は以上です。』
当時髪はショートヘアだった鈴神が探求の旅から帰還し、イエン・シッドにこれまでの旅でわかった事を報告する。それを聞いたイエン・シッドは言う
『鈴神よ、お前は何故、この世界では救いようが無いと思った?』
『それは、世界の人間達は今、欲望や闇に囚われ、世界はどんどん退化していっているので、世界の変えようが無いと思いました。』
イエン・シッドの質問に速答する鈴神。今の世界はほとんどの人間が欲望や闇に囚われ、少しずつ世界を壊しつつある。その事を目の当たりにした鈴神はそれを悟り、やがてこの結論に至った。
『お前は間違っている。』
『えっ?』
鈴神は突然のイエン・シッドの言葉に驚いた。自分の旅の末に至った結論をあっさりと否定され、その目はイエン・シッドの目を真っ直ぐ見つめた。
『鈴神、前にも教えたはずだが、この世には無限の可能性がある。つまり、救いようの無い世界など存在しない。』
「その言葉を私は認められませんでした。だから私はイエン・シッド様の元を離れ、再び旅に出ました。そしてたどり着いたのが、ヴァーヴァリアンコロッセオでした。」
「ヴァーヴァリアンコロッセオ?」
聞きなれない言葉だった。ヴァーヴァリアンコロッセオとは、アースやデスティニーアイランドから遠く離れた世界で、神聖なる建物がたくさん並んでいる神の聖地と呼ばれている世界である。
「私はヴァーヴァリアンコロッセオにある、とある平地にある遺跡を発見し、奥に進むと、そこにはとある邪神を奉る祭壇がありました。」
『これは………祭壇?』
当時の鈴神が不思議な祭壇に手を置くと、祭壇が突如不気味な紫色の光を放ち、突然遺跡が崩壊し始め、鈴神はやむ無く脱出すると、改めて遺跡のあった場所を見てみる。そこには一体の巨大な暗黒竜の姿があった。その暗黒竜の目を見たとき、鈴神の脳裏に謎の声が響いた。
《我を復活させたのはお前か?我と契約をせぬか?そうすれば、我に協力する代わりにお前の理想を叶えよう。》
「暗黒竜ダークエンドドラゴンは、かつて自分を封印したファイブ・ブレードの勇者達が守り抜いたこの世界に復讐するべく、この世界を破壊することを計画しました。私は私の理想を叶えるべく、協力する事を決意し、ダークエンドドラゴンに代わり大量のアンチネスからなるDEDを統率しました。その中でも特に優秀だったのが、アレクセイ、ベクセス、クラクション、ドアクロス、ヴィヴァード。私は彼らを中心に様々な世界の人々の心をダークエンドドラゴンに捧げ、ダークエンドドラゴンはそれを気前よく食らってくれました。そしてあるとき、私は1つ作戦を思い付きました。それは、貴方達の味方のふりをすること。何故そんなことをするのか?それは、貴方達のリーダーとなることで、貴方達は私の事を簡単に信じるでしょう。それに貴方達の近くにいることで、DEDに貴方達の動きを明確に伝える事が出来ました。それに、あのチーム分けも貴方達が最大の力を発揮出来ないように特に中のよくない人達でしたからね。ミッキーやグーフィーを葬ったのも全ては計画通りでした。そして私はベクセスにセブンプリンセスであるカイリの誘拐を命じ、彼女にブラックパラデスを一時的に持たせる事で彼女の心に闇を作り、そこにソラに対する憎悪を与えたら簡単に私達の味方になってくれました。そして私は、ヴィヴァードと同様にカイリに偽物のキーブレードを持たせました。」
鈴神の口から語られた事実。なんとリアスとヘルツが使っていたのは見た目だけの偽物だったという。確かにアンチネスであるリアスがキーブレードを使うという事はどうしても引っ掛かっていたが、あれは鈴神が作った偽物だったという。
「そう、貴方達はリーダーや仲間に裏切られ、最高の絶望を味わうのです!つまり!貴方達は、絶望するしかない」
鈴神は今まで自分達を騙していた。光の勢力にただならぬ絶望を与えてから滅ぼす為に。鈴神は自分の理想の為にこれまで暗躍していたとなると、もしかしたら一昔前のディアことセイの事件よりずっと早くから計画が始まっていたのかもしれない。
「どうです?絶望しました?」
鈴神が俺達を見てわざとらしく聞くと、突如鈴神から見て向こう側、俺達からすると後ろの方から1つの弾丸が高速のスピードで飛んできて、鈴神はそれを軽く避けて見せた。やがて弾丸が放たれた方からフィオとダークが現れた。
「ううん、絶望はしないよ!!」
「俺達は絶望を希望に変える者だ!!」
「二人とも………!」
フィオとダークは俺の所まで歩き、三人はそれぞれの武器を出現させ、空にかかげた。
「レイ、俺はお前の相棒だ。だからお前を全力でサポートするぜ。」
「ねぇレイ、他のみんなの事だけどさ、みんなあの後、カイリちゃんを連れて引き返したよ。」
「えっ?」
「ここにいるのは、僕達6人だけ。他のみんなにはアースの安全確保に回ってもらったよ。」
「様々な世界が混じりつつある以上、それが懸命な判断だからな。」
「さぁレイ!」
「共に戦おう!!」
――レイ、貴方は本当に良い友達を持ってますね――
微かに母親ケミアの声が聞こえたような気がしたので、1度目を閉じてケミアが自分の傍にいる事を改めて感じると、もう一度目を開けて二人を見る。二人ともその表情に迷いは無く、俺に向かって笑顔で頷いた。
「…………………わかった。」
俺はそう一言静かに言うと、二人と共にキーブレードを構え、鈴神を睨み付けた。鈴神は何処から出したのかはわからないが、ビーム状のレイピアを二つ取りだし、両手に握った。レイピアの二刀流と言った所だろう。鈴神はレイ達を見て不敵に微笑む。
「フィオ、ダーク、…………共に戦おう!!」
その言葉に二人は強く頷き、俺とダークが勢いよく走りだし、その後ろでフィオはアローガンをライフルモードに変形させて鈴神に狙いを定める。俺は二つのキーブレードを駆使し、連続攻撃を仕掛けるが、ほとんど片方のレイピアのみで受け止められている。その背後からダークが迫ってくるが、もう片方のレイピアによって弾かれてしまった。フィオが遠距離からの弾丸を打ち込むが、それはジャンプする事によって避けられた。
「なっ!?」
「「早い!!」」
「行きますよ?ホールド!!」
鈴神のレイピアの先端から邪悪な鎖が三つほど出現し、それらは三人に向かって飛んでいき、三人にまとわりついた。
「フッ。」
鈴神はレイピアから鎖を切り離し、マトモに動けない三人に近づいてから光の柱を呼び出して攻撃する魔法、ホーリーを使用して三人を吹っ飛ばした。三人はそのまま別々の方向の壁にまで打ち付けられ、幸いその反動で鎖は砕けた物の、三人ともすでにボロボロになっており、息をするのがやっとである。
「もう終わりですか?」
鈴神が倒れている三人を見て勝ったと確信し、その場から立ち去ろうとすると、突如後ろから呻き声が聞こえた。それに驚いた鈴神が振り向いてみると、なんと三人が苦しみつつも立ち上がっていた。
「何ですって!?」
「バーカ、何勝った気になってんだよ……………く……!」
「僕達の命が…………尽きない限り………ぐっ………!」
「世界の………うっ……みんなの希望は消えてない!!」
三人は傷の痛みにもがきながらも見事に立ち上がっていた笑って見せた。その笑顔からするに、あれだけの力を見せつけられておきながらまだ諦めていないようだ。その様子を見た鈴神は流石に焦ったのか、三人の中心にいる俺に向かって一気に走っていった。そして俺に攻撃を仕掛けようとしたその時、ダークがその攻撃を受け止めた。
「何っ!?」
「フッ、冷静さが欠けてるぜ?」
先程の信じられない出来事により冷静さを欠いてしまった鈴神は今この瞬間、初めて隙を見せ、ダークに攻撃を受けとめられたあげく後ろに回り込まれ、ダークに捕まってしまった。
「くっ……離せっ!!」
「今だ相棒!!」
鈴神が抵抗する前にダークが俺に向かって叫ぶと、俺はフィオからアローガンの片方だけを受け取り、自身のキーブレードと一体化させた。二人の武器はまるでガンブレードのような風貌となり、ガンブレードとキーブレードによる二刀流となって身動きの取れない鈴神を攻撃した。その重い一撃が鈴神にヒットし、ダークが丁度良いタイミングで鈴神を離したお陰で、鈴神のみが向こうの壁まで吹っ飛ばされた。
俺は追い討ちを掛けるようにガンブレードを使って弾丸を幾つか鈴神に向かって放つと、勝利を確信したのか、クルっと後ろを向いてキーブレードを消そうとしたが、ダークとフィオの顔を見たとき、思わず『えっ?』と呟いてしまった。二人の顔は何故か恐怖していた。二人が見ているのはどうやら鈴神が飛んでいった方向のようだ。俺が改めて振り返ってみると、そこには信じられない光景が巻き起こっていた。
「何っ!?」
なんと鈴神は紫色の丸いスライム状の何かの中に閉じ込められており、そのまま鈴神を入れたスライム体は空に向かって飛んでいくと、先程何処かへ逃げていったはずのダークエンドドラゴンが現れ、鈴神の入ったスライム体を腹にある口の中に放り込んだ。
その瞬間、俺達のいるコロシアムが大きく揺れ始め、もうすぐ崩れ落ちそうなほどにまで壊れ始めてきた。
そしてダークエンドドラゴンは、姿を変えていた。あの暗黒に包まれた邪悪な空で