DREAM13【夢の民の姿】
「――――――………はっ!」
目が覚めるとそこは病院のベッドの上だった。あれから丸一日眠っていたようだ。近くにあった鏡を見て自分の姿を確認し、現実世界での自分の姿が確かに鏡の中に写った。
その次にカレンダーに目を向け、今日の日付を確認する。9月26日。私が退院する日だ。
それから自宅に戻り、久しぶりに何時もの私服に着替えた。白と水色を基調とした巫女風の端から見れば不思議な服装ではあるが、個人的にはお気に入りである
やがて懐かしい場所にたどり着いた。そう、私達の遊び場である西の浜辺である。浜辺にはちょうどフィオ君とダーク君もおり、私は二人に手を振りながら駆け寄った。
「おぉーい!」
「おうクロナ」
「退院おめでとう!」
合わせるかのように手を振ってくれた二人は健康な状態になった私を見て――明らかに懐かしい私服に目が行っているようにも見える――小さな笑顔を作った。
「ところで、アディアは?」
「さぁ、夢の民ってそもそも現実に来れるのか?」
そもそも私達はアディアに言われてこの現実世界に戻ってきた。特に待ち合わせ場所など決めていない。だが、夢の民――つまりドリームイーター――であるアディアが現実世界に来れるのか。それが最大の疑問だった。
そんな疑問を全員が抱き始めたその時、突如として聞き覚えのある声が聞こえた。
「来れるよ、ただし」
その声はどんどん近くなってきて、やがて浜辺とは反対側の方面からその姿を現した。それはなんと一匹のウサギだった。しかしウサギにも関わらず身体がまるでアディアの髪の色のような黄緑色で、腹はピンク色と言う何とも現実離れした容姿だった。
「姿を変えないと行けないけどね」
「「「ア、アディア!?」」」
なんとそのウサギからはアディアの声が発されていたのだ。どういう訳か把握出来ない私達はアディアの声をしたウサギに詳細な説明を要求した。
それによると、アディアを含む夢の民は現実世界では動物の姿をしているらしく、一応現実でも人間の姿にはなれるが、相当体力を使うため基本的にはこの姿で行動するらしい。ちなみに夢の世界では人間の姿でも何ともなく、動物の姿にならなくても良いんだとか。ルプクスは何となく察しは着くが、ローグだけはどんな動物かは想像しては行けない。
「ま、マジでアディアなのか!?」
あまりの衝撃に絶叫するしかないダーク君。それに追い討ちをかけるかのように『そうだよ』と容赦なく答えるアディアは何処かあざとく、またダーク君が絶叫していた。
「にしても……男の子なのにウサギって……ププッ」
フィオ君がアディアの動物形体を見て思わず吹き出す。その時アディアが何故か『男の子』と言う言葉に反応し、ガクッと落ち込んでから私達にまたも衝撃的な言葉を放った。
「僕……"女の子"なんだけどなぁ」
―――今なんとおっしゃいました?
そんな視線が一斉にアディアに集まった。しかしそれにもアディアは狼狽えず、
「いやだから、僕は女の子だよ?もしかして、言ってなかった!?」
「「「え!?」」」
私達は思わず絶句し、その後強い衝撃を受けたかのような叫び声をあげた。
「「「えぇーーーーーーーーーーっ!!?」」」
何故だろうか、夢の世界に行ってから、驚きの連続な気がする。
■作者メッセージ
今年も今日で終わり、皆さん楽しく過ごせましたか?僕はそりゃもういろんな事がありました!もちろん楽しい事も!
皆さんもいろんな事があったと思います!楽しい事もね!これからも人生を楽しんで行きましょう!
それでは皆さん、良いお年を!!
皆さんもいろんな事があったと思います!楽しい事もね!これからも人生を楽しんで行きましょう!
それでは皆さん、良いお年を!!