DREAM17【キオクヲタドル】
「ワンダーランド……ですか……?」
私はこの時とある事を確信した。それはフィオ君とダーク君も同様で、二人の顔を見たらすぐに頷いてくれた。
「どうした?」
唯一状況が飲めていないディアが私達に言った。途中から来たメンバーなので流石に知らせておかないとまずいと思い、簡単に説明をする事にした。
「今ナイトメアが出現してる世界、レイ君が行った事のある世界ばかりなの」
「偶然か必然かわからないが、皮肉にも最初に消された世界は一番始めに降り立った世界であるデスティニーアイランドで、次がワンダーランドとなると……」
話の途中でダーク君が言葉を詰まらせ、俯いた。その様子を不審に思ったディアが彼に聞いた。
「となると?」
「……まるで、レイが辿った道をそのまま進んでるみたいなんだ」
「なるほど……」
ダーク君の言う通りだった。ナイトメアの襲撃が確認された世界はデスティニーアイランド、ワンダーランド、オリンポスコロシアム、ビーストキャッスルの四つ。どれもレイ君が行った事のある世界だった。最初にデスティニーアイランドに行き、次はワンダーランドに行くとなると、まるで、
「これは俺の推測だが……」
僅かな沈黙の中、ディアが口を開いた。
「恐らく、ダークエンドの事件で消えた英雄ことレイを心配したみんながレイの姿を見たいと願い、夢の世界にレイの記憶が反映されて、四つの世界が生まれたのかもしれない。しかも俺達はその世界をレイの記憶のまま進む事を強いられている。まるで"レイの記憶その物を辿っているか"のように」
そう、ディアの言う通り私達はこのままだとレイ君の記憶を辿りながら七星座の野望を阻止する事になる。そもそも夢の世界とは人々の見る夢から形成された世界。レイ君が様々な世界で出会った人々が彼の事を想えばそれは夢に現れ、次第にレイ君の記憶その物を反映した世界が生まれるだろう。それは私も例外ではなく、あれからほぼ毎晩彼の夢を見ていた気がする。それらの積み重なりが記憶の夢となり、私達を記憶通りに導いているのかもしれない。
「所で、なんでそもそもワンダーランドからなんですか?アンセム……さん」
まだアンセムさんの事を受け入れられていないのかとても言い辛そうにダーク君は聞いた。目すら合わせていないのでまだ完全には信じていないのだろう。彼の性格を考えれば当然ではあるが。
それでもアンセムさんは優しい表情で答えてくれた。
「ナイトメアの襲撃率がもっとも高いからだ。ワンダーランドは他の世界に比べてナイトメアの数が多く確認されていて、あまり時間が無い」
「逆に他の世界はナイトメアの数が少ないから余裕があるって事?」
フィオ君の質問に対してアンセムさんは笑顔で頷いた。するとそなの隣のアディアがその武器――グラディウスと言う種類らしい――を右手に呼び出し、空高く掲げた。
「よし、みんな!今度こそ夢の世界を守ろう!!」
このアディアのポーズはおとぎ話等でよく聞く三銃士のリーダーを連想させる。私達はそれぞれ顔を合わせた後、アディアにつられるようにしてそれぞれの武器を彼女の武器に重ねた。するとみんな私の方を見て頷いた。恐らく私に号令をやれと言う事だろう。私は深呼吸をしてから強く叫んだ。
「私達は必ず、夢の世界を救い、レイ君を見つけ出す!その為には、みんなの力が必要不可欠です!頑張っていきましょう!!一人はみんなの為に!!」
「「「「「みんなは一人の為に!!」」」」」
■作者メッセージ
ここで少しどうでもいい報告ですが、実は俺、もうすぐ誕生日ですw2/14の日に誕生日&バレンタインデー記念として読切特別編を書こうと思います!!お楽しみに!!