DREAM18【光差す道へ】
「ここがワンダーランド……」
私達はあれから数時間程かけてワンダーランドにたどり着いた。今回は前回のようにキーブレードライドをした訳ではなく、アディアが開いてくれたゲートを用いてここに来たのである。ただ、ゲートを作り出す為には時間が掛かるらしく、早くても三時間は掛かるらしい。
だがよく考えるとデスティニーアイランドの時はすぐに出していた。あのときは予め用意していたか、そもそもすぐに展開出来る時もあるのかのどちらかだろう。
そしてこのワンダーランドだが、その名前の通り何もかもが不思議な世界だった。トランプカードのような兵士がいたり、ドアノブが喋ったり、はたまた身体の大きさを変える薬があったりと全てを説明しきれない程不思議な世界だった。ちなみに私達は今ハスの多い森の中にいる。
「ところでディア、貴方の武器は?」
「あぁ、これだ」
そう言えばと思いディアに聞いてみると、ディアはその右手に光を宿し、その光がやがて形を形成していき、その姿を表した。それはリクさんのウェイトゥザドーンとディアのダークネスギアを合わせて黄色にした感じと言う禍々しさがあるが光を感じられるキーブレードの姿だった。
「これは、ローグ達がくれた」
『この世界では、キーブレードは出せないんだな?』
『流石ディア、話が早い。まるでリクだな』
『茶番は良い。この世界用の武器をくれるんじゃ無かったのか?』
『そう急かすな。武器は逃げたりしない。オーイ、ルプクス!』
『はーい!』
『これは?』
『この夢のキーブレードの名前は、【ライトマークセイ】』
『ライトマークセイ?』
『光の印の証明と言う意味だ。お前に相応しいキーブレードだと思ってな』
『光の…印の……証明……!』
「もしかすると、過去の俺そのものがこのキーブレードなのかもしれない」
「えっ?」
突然ディアの口から放たれた言葉。過去のディアと言えばキーブレード戦争を引き起こし、世界を破滅へ導こうとした闇の戦士、セイ・ディアス。アンチネスを用いて私を捕らえ、自分の半分であるレイ君と戦うことでχブレードを造り出した。
χブレードを手に入れた後にキングダムハーツの心と直接同調する心を持つ私の心の扉を開き、全ての世界を繋げてキーブレード戦争を起こそうとしたが、ソラ君を始めとした様々なキーブレード使いによって阻止され、その存在はレイ君に還った。その後は知っての通り、精霊のような状態であったが鈴神の力でその実体を取り戻し、私達の仲間となった。その為レイ君とは別の存在になったが、逆に夢も出来た。それは本当の意味で光の存在になること。それが彼の夢であり、生きる希望である。
もしかすると、ディアの先程の言葉は過去の自分も共に戦ってくれているのかもしれないと遠回しに言ったのだろう。確かにこのキーブレードからは闇も光も感じる。まさに過去と今のディアを物語っているようである。
他のメンバーもその事は理解していたらしく、私は笑顔で頷いた。ディアも光になるために頑張っている、だからこそ私達も頑張らなければならない。その事を改めて再認識きた。
「さて、どっちに行くかだけど……」
アディアが場所移動の提案をしたまさにその時、何処からともなくナイトメアの大群が私達を囲むようにして現れ、当然、私達はそれぞれの武器を構えた。
「ディア、貴方の力見せてね!!」
「フッ、当然だ」