「落ち着いて聞いて！」

D-リンクを発動し、レイ君の力を得た私は早速キーブレードを構える。だがすぐには攻撃せずアディアの話を聞く事にした。

「D-リンクは一定時間相手の力を使えるから強力だけど、幾つもの欠点があるんだ！」

この不思議な力にもデメリットがあると言う事に驚いたが、よく考えてみればデメリットの無い物はこの世には存在しないので寧ろ無かったら不自然である。

「まず発動してる間は自分の力が一切使えないんだ！」

なるほど、だから二刀流が使えなくなったと言う事か。何時もの戦闘スタイルが使えないのは少々不便だが、今の私は彼にもっとも近い存在になっている為彼の戦闘スタイルを使いこなせるかもしれない。

「もう１つは制限時間は相手との繋がりに依存する事！」

つまり相手との心の繋がりや絆が強ければ強いほど時間が延びていくと言う事か。私とレイ君の絆は絶対に最高クラスだと私は信じている。だから時間も長いと思う。でもこんなに特殊な力なのだから長くても1分あたりの制限時間だろうか。

「大きく分けてこの二つ！わかったね？」
「OKアディア！」

ナイトメア達に向かって突っ走り、突き上げるようにアッパー攻撃を仕掛けた。それにより空中に浮いたナイトメア達は炎の弾丸を飛ばす魔法、ファイラで打ち落とし、ジャンプしてから高所からによる攻撃ことジャンピングラッシュで倒す。そして集団で襲い掛かる相手は自分の回りに雷魔法であるサンダガを発生させ、近寄る敵は雷に撃たれ倒れていく。遠距離から攻撃して来よう物ならキーブレードをブーメランのようにして飛ばし、攻撃を仕掛けるストライクレイドで撃つ。このように対応性が高く、自由奔放な戦法はレイ君の物であり、本当にD-リンクは相手の力を使える物だと確信した。

「っ！上から来るぞ、気を付けろ！！」

ダーク君に言われるままに上の方を向くと、すぐそこには飛行型のナイトメアが数体いた。すぐにサンダガを発動して打ち落とし、キーブレードによって斬りつけた。

「ありがとうダーク！」
「おう……って、しゃべり方までレイっぽくね？」

普通にお礼を言うはずがダーク君の事を呼び捨てにしてしまった。思っている事と口から出ることが何故違っているのかはすぐにわかった。恐らくD-リンクは相手の力だけでなく性格までも借りてしまう物なのだろう。しかも見た目もそれっぽい物に変化する。つまりD-リンクとは単刀直入に言うと一時的に他の存在になれる技と言う物。

「このまま一気に決めるよ！」

キーブレードの刃先をナイトメア達に向け、自身の力をキーブレードに集中させる。すると身体が中に浮き始め、刃先に赤色のエネルギーが溜まり始めた。それはやがて大きくなっていき、そして一気に放出した。

「ラグナロクRD！！」

放出すると共に赤いエネルギー弾は複数に分裂し、凄まじいスピードで飛んでいった。そしてそれらは全てナイトメアに命中し、あっという間に全滅させた。レイ君の一番得意な技、ラグナロクRDでここを警備していたナイトメア達を倒したのだ。

『ありがとう……レイ君！』

何処にいるかわからない彼に、今はただひたすらありがとうとお礼を言った。