DREAM28【初勝利】
新たに得た力、D-リンクやディアの活躍により、私達は初めて七星座の一人であるドゥーハを倒す事が出来た。ちなみに他の二匹はドゥーハが倒されるとすぐに何処かに消えた。恐らく他のエージェントへ報告しに行ったのだろう。
ワンダーランドの破壊は免れ、ドゥーハも希望を持てたのだが、正直この勝利を喜んで良いのか微妙だった。彼らは元々ベネトナシュに無理矢理戦わされていた人達。そんな人を一人倒してしまった。いくら希望を抱けたとは言えその事実だけは変わらない。
「ドゥーハ……貴方は……」
私は彼が消えた場所を見つめながらドゥーハが最後に言っていた言葉を思い返していた。
『……見事だ……』
そう、対戦者であるディアを褒め称えていたのだ。自分を消した相手を恨む事もせず。今例え消えても私達がきっと救ってくれると信じてくれたから恨まずに称えてくれたのかもしれない。
「……立派だね」
だから私はドゥーハを称えた。敵にさえ敬意を表するその心の広さや希望を。
「それにしても、僕達やったね。ついに世界を1つ守れたよ!」
数分と続いていた静寂を破り、勝利を喜ぶアディア。夢の民の彼女からしてみればそれが使命であり、一番達したかった事。故に喜ぶのは当然である。
「あぁ……でもよ、俺達ドゥーハを……」
やや躊躇いがちにダーク君が言った。やはり彼もドゥーハの事が気にかかっていたのだろう。何の罪も無い人を倒し、罪悪感が生まれたのは私も同じ。
「いや、ドゥーハは俺達が自分達を救ってくれると信じて後を託してくれたんだ。だからむしろ喜ぶべきだ」
だが、ディアが悩む私とダーク君を無愛想ながら励ましてくれた。確かにディアの言うことにも一理ある。
「そうだね、私達がくよくよしてたら……ドゥーハの託してくれた物が全部無駄になっちゃうもんね……」
託された思いと共に自分達の目的を再認識する。するとみんなの表情が自然と笑顔になった。ただ一人を除いては……
「よし!じゃあこの事をローグ達に伝えようぜ!今日はスキヤキパーティだ!!」
ダーク君が何時もの調子に戻り、スキヤキを作る仕草をしながら言った。それを見て思わず笑ってしまい、隣にいるアディアが言った。
「じゃあ、料理丸々ダークに任せようか」
「ちょっ!?少しは手伝えよ!!」
メンバー達に何時もの調子が戻り、何時もの安定の茶番が今回はアディアを加えて始まった。こうしていると自然と時間なんて忘れてしまう物である。
「じゃあ、私は食器用意でもしようかな」
「クロナ……それ小学生でも出来るから……」
色々と弄られるダーク君にあえて初歩的な事を言ってさらに追い討ちをかけてみる。本来私は料理は得意な方なのだが、メンバー達がダーク君を弄り始めたので勢いに乗って見たのだ。
「なら俺は、食材でも用意してやろうか?“大量”に」
何故か大量にと言う部分を強調して発言したディア。大量の食材をダーク君一人に任せるとなると、かなり作業が大変である。
「テメー俺を殺す気か!?」
ごもっともなダーク君の感想。流石にそこまで押し付けられては過労死してしまいそうである。ただディアはダーク君に突っ込まれても何時もの笑みを浮かべていた。
「フフッ」
そんな光景を見て思わず笑いが溢れてしまった。調子に乗って再びダーク君を弄ろうとしたその時、負に満ちたような雰囲気を放った声が聞こえた。
「……喜べない」
その声の主はフィオ君だった。先程から黙りっぱなしであり、今も俯いている。
「フィオ君?」
「なんで……なんでみんなそんなに喜んでられるの!?僕達人を消しちゃったんだよ!?罪も無いドゥーハを!!」
恐怖に怯えたフィオ君の表情。それはまるであのとき感じた恐怖を訴えているようだった。私達が初めて七星座と戦った時、罪も無い人を倒すと言う恐怖感に襲われた、あのときの事を。
「どうしてみんなしてふざけてられるのさ!?僕はどうしたら良いのかわからないってのに!!」
「そ、それはっ」
「もういいっ!!」
そう言ってフィオ君は何処かに走り去ってしまった。
「待ってフィオ君!!」
手を伸ばしその名前を呼んでもフィオ君はその足を止める事は無かった。私達は逃げるフィオ君を追いかける事に。
ワンダーランドの破壊は免れ、ドゥーハも希望を持てたのだが、正直この勝利を喜んで良いのか微妙だった。彼らは元々ベネトナシュに無理矢理戦わされていた人達。そんな人を一人倒してしまった。いくら希望を抱けたとは言えその事実だけは変わらない。
「ドゥーハ……貴方は……」
私は彼が消えた場所を見つめながらドゥーハが最後に言っていた言葉を思い返していた。
『……見事だ……』
そう、対戦者であるディアを褒め称えていたのだ。自分を消した相手を恨む事もせず。今例え消えても私達がきっと救ってくれると信じてくれたから恨まずに称えてくれたのかもしれない。
「……立派だね」
だから私はドゥーハを称えた。敵にさえ敬意を表するその心の広さや希望を。
「それにしても、僕達やったね。ついに世界を1つ守れたよ!」
数分と続いていた静寂を破り、勝利を喜ぶアディア。夢の民の彼女からしてみればそれが使命であり、一番達したかった事。故に喜ぶのは当然である。
「あぁ……でもよ、俺達ドゥーハを……」
やや躊躇いがちにダーク君が言った。やはり彼もドゥーハの事が気にかかっていたのだろう。何の罪も無い人を倒し、罪悪感が生まれたのは私も同じ。
「いや、ドゥーハは俺達が自分達を救ってくれると信じて後を託してくれたんだ。だからむしろ喜ぶべきだ」
だが、ディアが悩む私とダーク君を無愛想ながら励ましてくれた。確かにディアの言うことにも一理ある。
「そうだね、私達がくよくよしてたら……ドゥーハの託してくれた物が全部無駄になっちゃうもんね……」
託された思いと共に自分達の目的を再認識する。するとみんなの表情が自然と笑顔になった。ただ一人を除いては……
「よし!じゃあこの事をローグ達に伝えようぜ!今日はスキヤキパーティだ!!」
ダーク君が何時もの調子に戻り、スキヤキを作る仕草をしながら言った。それを見て思わず笑ってしまい、隣にいるアディアが言った。
「じゃあ、料理丸々ダークに任せようか」
「ちょっ!?少しは手伝えよ!!」
メンバー達に何時もの調子が戻り、何時もの安定の茶番が今回はアディアを加えて始まった。こうしていると自然と時間なんて忘れてしまう物である。
「じゃあ、私は食器用意でもしようかな」
「クロナ……それ小学生でも出来るから……」
色々と弄られるダーク君にあえて初歩的な事を言ってさらに追い討ちをかけてみる。本来私は料理は得意な方なのだが、メンバー達がダーク君を弄り始めたので勢いに乗って見たのだ。
「なら俺は、食材でも用意してやろうか?“大量”に」
何故か大量にと言う部分を強調して発言したディア。大量の食材をダーク君一人に任せるとなると、かなり作業が大変である。
「テメー俺を殺す気か!?」
ごもっともなダーク君の感想。流石にそこまで押し付けられては過労死してしまいそうである。ただディアはダーク君に突っ込まれても何時もの笑みを浮かべていた。
「フフッ」
そんな光景を見て思わず笑いが溢れてしまった。調子に乗って再びダーク君を弄ろうとしたその時、負に満ちたような雰囲気を放った声が聞こえた。
「……喜べない」
その声の主はフィオ君だった。先程から黙りっぱなしであり、今も俯いている。
「フィオ君?」
「なんで……なんでみんなそんなに喜んでられるの!?僕達人を消しちゃったんだよ!?罪も無いドゥーハを!!」
恐怖に怯えたフィオ君の表情。それはまるであのとき感じた恐怖を訴えているようだった。私達が初めて七星座と戦った時、罪も無い人を倒すと言う恐怖感に襲われた、あのときの事を。
「どうしてみんなしてふざけてられるのさ!?僕はどうしたら良いのかわからないってのに!!」
「そ、それはっ」
「もういいっ!!」
そう言ってフィオ君は何処かに走り去ってしまった。
「待ってフィオ君!!」
手を伸ばしその名前を呼んでもフィオ君はその足を止める事は無かった。私達は逃げるフィオ君を追いかける事に。