DREAM30【佳境】
一方その頃、七星座のアジトの一室
「ドゥーハがやられた……」
七星座エージェントの一人であるメッグレスがドゥーハの席だった場所を見つめる。これでエージェントは残り三人。数的には4分の1切り取られただけだが、ドゥーハはメンバー内でもかなりの策士だった。そんな彼がいなくなればその損害はそうとう大きい。
「どうするんだ?メッグレス」
腕組をしながらメラクリオンが聞く。メッグレスはエージェントの中ではドゥーハの次に頭脳担当である為、もう一人のエージェントであるフェクドの視線も自然と彼女の方に向く。
「まさかベネトナシュに任せるなんて言うんじゃ……」
「そんなわけ無いじゃない!」
フェクドが弱気な事を言おうとした時、メッグレスが先程までの冷静さからは考えられないほど取り乱してそれを遮った。エージェント達はベネトナシュに無理矢理動かされている兵士達。そんな中頭脳担当であるドゥーハがエージェントを指揮し、いち早く目的を達成しようとしていた。しかし、そのドゥーハはもういない。ベネトナシュに任せると言う事は彼らにとっては屈辱的なのは言うまでもない。
「ドゥーハがやられたくらいで何よ!頭脳無くしたくらいで動けないの!?ドゥーハが考えて私達が動く!今までそうしてきたじゃない!今まで出来た“動く”と言う仕事がどうして出来ないの!?」
頭脳を無くしたくらいでは胴体は砕けない。知識が無いならひたすら動けば良い。メッグレスは二人にそう訴えた。メラクリオンとフェクドはメッグレスの言葉に深く頷き、その場を後にした。
「ドゥーハ……貴方の分まで頑張るから……」
そう呟いてメッグレスもその場を去った。
一方その頃、夢の世界のとある場所では
「はぁ……はぁ……」
一人の小柄な女性が何かから逃げている。急いで壁に隠れると、自身を追う者達、ドリームイーター達を視界に捉えた。
「(早く……どっか行って!)」
そう心の中で強く願うと、その数分後にドリームイーター達は別の場所へと移った。女性はそこで隠れるのを止め、走り出した。
「早く……安全な場所を見つけないと……!」
朦朧とする意識の中、自分自身の目的を常に意識し続けながらただ走り続ける。
「クロナ………さん……!」