DREAM33【彼女との再会】
私達四人はオリンポスコロシアムに来ていた。オリンポスコロシアムとは英雄ヘラクレスが日夜ハデスから送られてくる異界の怪物と戦っている場所と言う印象が持たれやすいが、本当は神が作り出した闘技場である。しかし、そんなコロシアムもここでは夢の存在でしかない。
ふと空を見上げるとすでに飛行系ナイトメアがたくさん飛んでいた。しかもそれら全てがオリンポスコロシアムの真下にある街を攻撃している。
「始まっちゃってる!」
私達は今コロシアム前の広間にいるのだが、そこから見下ろす限りだと地上にも数十体ほどのナイトメアが街を巡回しているようだ。空中、地上に限らず人や建物を見つけ次第攻撃している。
「まさに外道だな……これは」
「またそれ?」
ディアのコメントにハッキリと突っ込むアディア。ディアはワンダーランドでの戦い以降、この台詞をよく多用するようになった。気に入ったのならそれはそれで良いのだが、こちらとしては少々鬱陶しい。
「だが事実だろ」
確かにディアの言うとおり開幕襲撃は予想外であり外道だった。それにあの数。空中と地上を合わせて軽く300匹は越えている。確かに恐ろしいが、そもそも発言した本人自体が本当は人と言う存在ではない(所謂外道な存在)だと言う事に誰も突っ込まなかった事もまた恐ろしい。
「とにかく、下に降りようぜ。出来るだけ街人を助けるんだ!」
ダーク君の言葉に全員が頷き、急いでコロシアムの真下にある街へと降りていった。階段その物は長かったが、私だけは以前ローグから受け取っていたジョブストーンを使って再び天使の姿となっている為、私が空から先行する事になった。
空を飛ぶ時のスピードは通常人が走ったりしているよりも数倍を行く。その速度であっという間に地上に降下していく。途中空中のナイトメア達に襲われたが、意外とあっさり倒す事が出来た。数だけ多くて個体の実力は低いのかもしれない。
ナイトメアを倒しながら私はやっと地上に降り立った。コロシアムと街を繋ぐ階段を見上げて見ると、ダーク君達はまだ中間辺りだ。私はみんなが降りてくるまで出来る限りのナイトメアを倒す事にした。
「はぁ!」
早速天使の姿となっているメリットを利用し、空中からのダイブアタックを華麗にヒットさせた。もちろん空中からもナイトメアが来るが、それらは殆ど1、2発で仕留める事が出来る。地上のナイトメアは確かに強かったが、こちらが空中で戦ってしまえば何て事は無い。
ナイトメアを大体倒し終わった頃、街中にある人影を見た。その人影は走って逃げており、物陰に隠れてしまった。
「待って!」
その人影が気になった私は飛んでそれを追った。人影はこちらに気がついたのか、急いで逃げようとするが、空を飛ぶ速度と走る速度とでは目に見えている為、すぐに追い付いた。そしてその人物の見事な白髪が見えた。どうやら女性のようだ。
「あの……大丈夫?」
私は恐る恐る声を掛ける。その女性は警戒心を緩める事なくそっとこちらに振り向いた。
「えっ……?」
しかし、その顔には見覚えがあった。それも今まで会っていなかった人物の中である意味一番記憶に新しい。
その女性は鈴神だった。
■作者メッセージ
お知らせ!
以前スペシャルエピソードとしてライガが主人公の話を書いた事は覚えていますか?実はこの度、スペシャルエピソード2を書くことにしました!今回の主人公はヒトミです!公開予定日は4/20日!お楽しみに!
以前スペシャルエピソードとしてライガが主人公の話を書いた事は覚えていますか?実はこの度、スペシャルエピソード2を書くことにしました!今回の主人公はヒトミです!公開予定日は4/20日!お楽しみに!