DREAM35【本心は…】
「はぁぁぁあ!!」
「でうりゃっ!」
「せやっ!」
私達三人はそれぞれ手分けしてナイトメアを倒していっている。私は空中、ダーク君は地上東エリア、アディアは地上西エリアだ。ナイトメア達は数こそ多いがやはり単体では弱い。なので全員特に苦戦する事は無いが体力面が心配だ。
「くそっ、こいつら何体いるんだよ!?」
「軽く百万とか?」
「落ち着いて言うなよ逆にこえーよ!」
アディアが何時も通り冷静に答え、それをすぐにダーク君が突っ込んだ。確かにそんな大きな数をさらっと出されては恐ろしい。
「二人とも!」
そこへ私が空から駆けつけ、飛行ナイトメアを倒しながら着地した。天使のジョブチェンジは飛行スキルに関しては文句なしの性能を誇る為、思うままに飛行出来る。
「クロナ、空中のやつらは?」
「まだたくさんいるけど……大分減ってきてる」
鈴神をディアに任せた後、フラワーストームやブロッサムレインと言った得意技で空中のナイトメア達を蹴散らし、一気に数を減らした。パット見でも三千はいそうだが、先程のアディアの予想数に比べれば対したことはないだろう。
「よっし、一気にかたずけるぜ!」
そう言ってダーク君はガンブレードを構えながら走り、その圧倒的な豪腕で目の前に敵が現れ次第すぐに倒していった。私達はそれを見て頷き、その後を追いながら立ちふさがるナイトメア達を倒していった。
「こいつら……本当にしつこいね」
「えぇ、何か見られたくない物でもあるのかしら?」
前に行ったワンダーランドでは確かにナイトメアはいたがここまで大量ではなかった。その上ドゥーハのいた場所には対して大事そうな物も無かった。つまり今回は何かを用いてこの世界を破壊すると言う事だろう。その“何か”が何なのかはわからないが。
「だとしたら……この町の何処かに七星座がいるはず!」
アディアの言葉に強く頷き、キーブレードで目の前に立ちふさがる敵を蹴散らして行きながら先へ進んでいく。至近距離の相手は私が、遠距離の相手はアディアの魔法がそれぞれ倒し、この町の何処かにいるであろう七星座を探す。
一方その頃、ディアと鈴神は町の上空にあるオリンポスコロシアムの入り口前にいた。鈴神は何の抵抗もせず、逃げ出す気配すら無いままディアに見張られていた。もっとも、ディア自体心の中ではとっくに理解しているはずなのだが。
「……どうしてさっきから何も喋らない?」
長い沈黙の中、やっと口を開いたのはディアだった。突然の質問に鈴神は困惑し、自分の今の状態を再認識しながら頭の中を整理して言った。
「……貴方にも、言えたことじゃないですか……」
「まぁな……」
彼女の発言に少々溜め息をついたディアはふと鈴神の手首に目をやった。まだ縛られている。特に細工がされている訳でもなく、寧ろディアが拘束した時のままに等しい。
「言っておくが、俺はお前みたいな闇を許さない」
ディアの言葉に鈴神ははっとした。それも驚きを微塵も隠せずに。
「闇があるから争いが生まれる、闇があるからハートレスやアンチネス、ダークエンドも生まれてしまった。だから俺は全ての闇を滅ぼす。自分の闇でさえもな」
光の存在になりたいディアにとって闇とは言わば憎むべき敵のような物で、自身が意味嫌う過去の自分でもある。かつて自分のせいであんな事件を引き起こしてしまった罪悪感は凄まじく、それは彼を光になる切っ掛けとなった。だからこそ闇を消し去りたいのだろうが、鈴神の表情は何処か複雑だった。
「ディア…さん。私は貴方達に敵意はありません、本当です!」
「ならそれをどうやって照明する?」
心ではわかっていても、やはりディアは最後まで疑って掛かるようだ。そんなディアに鈴神は冷静に対応してみせた。
「……この手首のロープをほどいてください。そうしたら照明します」