DREAM38【その心の中】
鈴神さんとオリンポスコロシアムに向かう途中、私の脳裏に懐かしい景色が浮かんでいた。それはまだ幼かった頃の私とレイ君が浜辺で遊んでいる姿だった。
今思えばあの頃はお互いに純粋無垢で毎日が楽しかった、笑顔が溢れていた。でも突然現れたアンチネスに私は浚われ、十年もレイ君やみんなと切り離された。その時は多大な絶望感に襲われた。これから私はどうなるのだろう?もうみんなに、レイ君に会えなくなるなんて考えただけで身体に震えが走った。
囚われている間は食事以外は常に拘束され、厳重な警備が施された檻に閉じ込められ辛くも何とか生き永らえる事が出来た。全てはもう一度、せめてレイ君に会うためだったが、時が経つにつれてその希望は薄れていった。
そんな時、ついに私の王子様は現れてくれた。何一つ変わらぬ彼が私を助けに来てくれたのだ。あのときは最高に嬉しかった、もう人生の運を使い果たしたと思えるほどに。だが運命は残酷で繰り返される事件は少しずつ彼を変えていき、ついに彼は二度も世界を救ったが何処かに消えてしまった。
あのとき私はいなかった。当時の敵であるDEDの一員にやられ病院に入院していた為何も出来なかった。凄く悔しかった、でも彼とある約束をした。なのに彼は何一つ言わず私達の元を去ってしまった。
きっと昔の私のように何処かで苦しんでいるのかもしれない。レイ君は優しくて強いけど優しすぎて目の前にある全てを自分一人で背負おうとするだろう。ならばやることは一つ、今まで通りレイ君に繋がるヒントを探して見つけ出し、彼をサポートしてあげる事だ。
それが、今の私に出来る事だから
「………待ってて、レイ君……」
目を閉じて大好きな彼の姿を思い浮かべる。その笑顔は想像の中でさえ輝いて、私には眩しすぎる物だった。私は意を決して一つの決意をした。
「私が、君を守るから……」
■作者メッセージ
久々の更新!皆様大変遅れてすみません!今後はクロスオーバーズや短編集などで更新が遅れるかもしれませんが宜しくお願いします!