「せやっ！」

俺はこれまでの冒険で前よりも強くなっている気がする。なのでアンチネスとは対当に戦えているのだが、ベルを守りながら戦うのは流石に苦戦を強いられるようだ。

アンチネスの一体が氷魔法、ブリザドを放ってきた。恐らくアンチネスのほとんどは氷の鎧のパーツをつけているので、ブリザド系統を使って来るだろう。飛んでくる氷の弾丸をキーブレードを使って弾き返した。

「数が多い！」

フィルとの特訓を得て、前よりも体力がついている物の、この数の多さにはやはり苦戦するようだ。

「どうするの？」
「う〜ん、えーっと………」

ベルにどうするか訪ねられ、頭に思考を巡らせる。アンチネス達は自分達を取り囲んでいる。その数は恐らく30体。全員が下級ハートレスのシャドウのアンチネス版であるヘルドゥ。

…………そうだ！

あることを閃き、キーブレードの姿を斧に変えて、城の天上まで高く飛んで、そこから斧をアンチネス達に向かって放り投げ、斧となったキーブレードはそのまま衝撃波を起こし、アンチネス達は全滅した。

幸いベルは俺のこの動作の隙に避難したようなので、衝撃波のダメージは無い。

「よし、これが俺の新技、【アンチネスブレイク】だ！」

新技の誕生を喜び、飛び上がる。このはしゃぎようはまるで幼い子供のように見えただろうか。